第39話 下着の話〜竹彪彩葉〜 完

彩葉は両手で体をさすった。下着のみでいるには少し肌寒い。手近に脱ぎ捨ててあった服を着た。

「おま、何勝手に服着てんだよ!」

「うっせぇな!寒ぃしお前のノリが気持ち悪ぃからだよ!…あ、待って、これ」

彩葉が着たのは竹彪のシャツだった。小柄な彩葉に竹彪の服はとてつもなく大きい。尻まで隠れている。

「やば…服着てるほうがエロくね?」

大きく開いた胸元は少し引っ張るだけで中が覗いて見える。足元は少し動かすだけでパンツが顔を出してしまう。はからずも、ワンピースを身に着けたように見える下半身が色っぽくて、彩葉は自分の体なのにドキドキしてしまった。

竹彪は口元を抑えて再び床に崩れ落ちる。狙っているのか、いないのか。彩葉は竹彪が一番してほしい格好をしてくれた。今までさり気なく彩葉の服を隠して竹彪のシャツだけを数枚枕元に置いてみたりしていたのに、まったく叶うことのなかった夢の姿だ。あの時は致した翌日で、服も下着も隠したことを彩葉に怒られぶん殴られた。

「彼シャツとか、おま…おまぁああっ」

「何、死ぬの?お前。大丈夫?」

頭を抱えて断末魔を上げる竹彪に彩葉は近づいた。最期を迎えようとしているのかと思い、彩葉は怖くなった。床に手と膝をついて、彩葉は猫のように竹彪に寄っていく。

「待っ、お前、そんなエッチなポーズ…!」

「はぁ?…あ、まじだ、エロ!見んじゃねぇよ!」

彩葉が竹彪の視線を追うと、四つん這いになったせいで大きく開いた胸元からブラもパンツも丸見えだった。慌てて座り込んで、彩葉は体を隠す。

「見るに決まってんだろ!おま、ほんと、たすかる。可愛い、エロくて可愛い。ありがとう、白い下着の猫ちゃんかわい。かわ、エロ、」

「ゾンビ?ゾンビになった?やべぇウイルス感染してんな、これ」

「…っつってな。やっぱ白だっただろ」

「賢者タイムなのよ。いつ?いつイったんだお前、まじで今日飛ばし過ぎてんぞ、色々と」

「ほんと、お前は可愛いのポテンシャルが高すぎるな」

冷静になった竹彪は彩葉に手を伸ばす。しかし、あとちょっとのところで逃げられてしまった。

「何触ろうとしてんだ、てめぇ…俺は他のも着るんだよ、邪魔すんな」

「それはそれとして白で一回やっとこう。一回、一回だけ」

「先っぽだけ、のノリで言ってんじゃねぇよ、一回じゃ終わんねーだろ!」

「じゃあ三回、三回やったら次行こう。ほんと、かわ、ありがとう、地球。かわ、かわい」

「また感染してんな!怖い怖い、助けて!ちょ、やめろって、」

竹彪はじりじりにじり寄り、立ち上がって逃げようとした彩葉の足にしがみついた。目と鼻の先に白い清純そうで逆にエロいパンツが見え隠れしている。竹彪はたまらず、シャツの中に頭を突っ込んだ。

「いぎゃーっ!変態!痴漢!!こら、あっ、おいっ…やばい、これ………えろ、…」

彩葉から見ると、スカートの中に頭を差し入れられているように見える。かなり扇情的な光景だった。するつもりはなかったのに、彩葉の呼吸と心拍数は同じように高まっていく。

「な、エロいよ、お前。可愛い。ほんと、エロくてありがとう。かわ、すき」

「うっせぇな!人の股間で喋んな!」

彩葉はゾンビ化した竹彪に拳を振り下ろした。




END

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時々女体化する話〜蜂に刺されたら女の子になりました〜  (BL) Oj @OjOjOj123

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