第30話
「僕、は、意識したのは、告白されてからなんですけど…そばにいてくれるのが当たり前だと思っていたけど、ずっと、そばにいてほしいなって、思って…強くて、かっこいい所が、す、すきです」
「か、楓…俺、かっこいい?」
梅寿は楓を見て、楓も梅寿を見つめ返した。お互い真っ赤になっている。楓は梅寿に頷いた。
「ッカーッ!甘酸っぺぇなぁ、おい!こんな青春を送りたい高校時代だったわ!あー悲しい。なんでこんな可愛い彼女できなかったの、俺」
「これが尊いってやつなんか…攻撃力高すぎんだろ、キュン死ぬ。死人が出る、これは」
彩葉と竹彪は両手で顔を覆って身悶えていた。楓と梅寿はうっかり、二人の存在をちょっと忘れていた。楓は勇気をだして彩葉に声をかける。楓にも聞きたいことがあった。
「あの、黒木さんは、タケさんのどんなところが好きですか?どうやって、付き合ったんですか?」
彩葉はすんっと表情をなくして楓を見た。予想外の質問だったようだ。あまりの感情の落差に楓はびくっと怯えた。彩葉はうーやらあーやら声を出す。楓から視線を反らしながら答えた。
「どうやって、付き合ったか、かぁ…」
「はい、あの、僕たち周りに隠してて…僕の体が女の子になっても、元が男同士なので。普段、どんなふうに過ごしてますか?どうやってイチャイチャするんですか?」
「イチャっ…?!」
「どこで手をつないだりとかするんですか?大学でこっそりチューしたりしますか?」
「どうした楓、すげぇグイグイくる」
「どっちから告白したんですか?!いつ好きになったんですか?!どんなところが好きですか?!」
「落ち着け落ち着け、声でけぇって!」
どんどん声の大きくなる楓を彩葉は必死に止めた。成り行きを見守っていた竹彪と梅寿は固まっている。
梅寿は竹彪に頭を下げた。
「す、すみませんタケさん、彩葉さん…楓、落ち着こう、な?」
「…ごめんなさい、興奮しすぎました…でも、男同士ってどんな感じか、知りたくて」
楓はふぅふぅと荒い呼吸を繰り返している。真剣な楓に、彩葉は隠し事は良くないだろうと思った。彩葉も真剣に、真面目に楓に答えた。
「タケとどうやって付き合ったかって、セフレだと思ってたら実は違かったっていう…付き合ってたんだって、実は。ごめん、ほんとごめん、キレないでタケさん。でもこれが正直な真実だから。もうね、ほんと最近。つい最近なのよ、発覚したのが。だいぶ前から俺たち付き合ってたんだって。コイツ、俺のこと好きだったんだって。知らなかったよね~全然。だからイチャイチャなんてしたことないし手をつなぐなんて考えたこともない。付き合うってよくわかってないんだよね、正直。これ、俺の正直な本音だよね」
「正直が過ぎるだろお前…」
「ごめんよぉ、俺だってこんなこと言いたかねぇよ…でもこんな、真剣な楓とウメを目の前にして嘘つけねぇし!でさ、意識するじゃん、付き合ってたんだーって。ほんで今なのよ。付き合うって何?何するの?イチャイチャって何?ナニしかしてこなかった俺らがナニ以外何すんの?逆に教えてほしい。ごめんな、ただれててごめん、こんな先輩でほんっとごめん!」
「お、落ち着いて下さい、彩葉さん!」
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