第77話 道着に着替えただけだけど

 次の日の夕方


17時から稽古があるってことで、16時くらいから実家で道着に着替えることにした。

おふくろが、俺か隼が、昔 着ていたような幼児サイズの道着をどこからか出してきた。

懐っ!!マジで懐かしいヤツ出てきた!!

白地にかすり模様というのか、小さな子はよく

このてのヤツを着ていたよな。


それと、柚希ちゃんこれ着れる?って、俺の妹の智奈が高校の頃に着ていたであろう道着を持ってきた。


「智奈ちゃん着てたやつなら、たぶん大丈夫だと思います。

背丈同じくらいなので。

お借りしちゃっていいですか?」

と、肩に当ててみてる。


じゃ、着てくるね、と、2階へあがって行った。


たのしみ、たのしみ、たのしみだ~~~~!!

柚希の道着姿なんて、何年ぶりだよ?

21年ぶり?


数分後、柚希が着替えて降りてきた。


「ゆき!!」


そう言って、俺は柚希を抱きしめた。


「えっ?なに?なに?どうしたの?」


「いや、マジで、俺、感動してる」


「あははっ! なにに?」


柚希が、道着に着替えただけだけど。

本当に、めちゃめちゃ似合うんだよな~!!

ってか、大好き!!


いつのまにか、隼も帰ってきていて、奏の着替えをやってくれている。

あ、それは父親である俺の仕事だったか。


着替えをして、道着、袴で奏がバタバタと走ってきた。


「ママーー!!!! 着替えたよ~!!

隼くんが、お着替えさせてくれた~!!

ワッ!!ママ!!かっこいい!!」

そう言って、柚希に抱きついた。


「ありがとう。奏も、メチャかっこいいよ!!

あれ?峻も着替えたの? すっごい 似合ってるね!!」


えっ?

峻も?


やらなくてもいいから、着替えて一緒に行こうと、隼が気を遣ってくれたみたい。


峻も、まんざらでもないって顔をしている。


普段、剣友会に行くことはない隼も、峻の付き添いで行くって。


これ、この感じって、昔 夏まつりに行くって時の感じと同じ。

浴衣とかを着せてもらって、家族みんなでウキウキ ワクワクって感じがしてた。


剣道の稽古に行くのに、こんな楽しい気分って、マジで久しぶりだな。








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