第395話 ステルス隕石爆弾
オーク帝国のステルス隕石爆弾を防いだ我々は、オーク帝国に警告するためにステルス隕石爆弾で仕返しする事にした。
「ゼン、警告に使う小惑星は、どれほどの大きさにしましゅか?」
サリオが質問してきた。
「大きいほど良さそうだけど……いや、大きいと発見される可能性が高まるのか? 簡単に発見されて処理されたのでは、警告にならないな」
スクルドが頷いた。
「オーク帝国だと高性能な重力波レーダーは持っていないと思うけど、大きすぎる小惑星だと発見されるわね」
話し合って直径四キロほどの小惑星に決めた。これくらいだと大気中で爆発して分裂しても大都市を消滅させるほどの威力がある。しかも惑星環境にも影響を与えるほどの大爆発になるだろう。
ちなみに、恐竜を絶滅させた原因ではないかと言われている隕石の直径は約十キロくらいだと言われているので、直径四キロでもかなりの威力を持つ。
「問題は、小惑星の制御でしゅ」
サリオが指摘した。小惑星をステルス隕石爆弾にするには、ステルス機能付き小惑星移動装置が必要だ。小惑星を移動する事なら、金属小惑星のアムダ鉱星を移動させた経験があるので、どんな装置が必要かは分かっていた。その装置の制御が問題だという。
「艦船用の制御脳を使えばいいんじゃないのか?」
「普通の制御脳は、レーダーなどの情報を基に軌道計算をしましゅ。ステルス隕石爆弾だとレーダーが使えないので、映像情報を基に操縦しないとダメなのでしゅ」
スクルドが頷いた。
「それに近付いてくる艦船があったら、その軌道を予測して相手に気付かれないように避ける必要があるわ」
相手はステルス隕石爆弾が見えていないはずなので、ぶつかる軌道を選ぶ可能性がある。そういう事も予測しないと作戦が成り立たない。
「サリオ、制御脳の改造はできるか?」
「できましゅけど、スクルドに手伝ってもらわないと時間が掛かりましゅよ」
スクルドに目を向けた。
「仕方ないわね。オーク帝国には腹が立つから、手伝ってあげるわ」
アンドロイドなのに腹が立つと言っているところが異常なのだが、スクルドは開き直っているようだ。
「よし、次は作戦に使う小惑星を探さないといけないな。ステルス偵察艦を派遣しよう」
ステルス偵察艦は、最新のステルス技術と統合垓力エンジンを組み合わせて開発した最新型偵察艦である。攻撃力はほとんどないが、ステルスと推進機関の最新技術を取り込んで開発されている。
「あのステルス偵察艦なら、秘密裏に小惑星を探し出すなど簡単ね」
ステルス偵察艦の開発に関わったレギナが、自信ありそうに言った。
「それなら手配してくれ。サリオとスクルドは制御脳の改造を頼む」
オーク帝国の都はゾバーク星系の第二惑星メルズに存在する。ステルス偵察艦は、ゾバーク星系の外縁部で遷時空スペースから通常空間に戻った。
外縁部には数多くの小惑星が漂っており、その中からステルス隕石爆弾に使えそうな小惑星を絞り込んだ。三つの小惑星が決まり、その情報を持ってステルス偵察艦は帰還した。
小惑星をステルス隕石爆弾化する装置『ステルス隕石マシン』と名付け、大急ぎで開発された。制御脳以外はアステロイドシップを改造する事で間に合ったので、非常に短期間で開発ができた。
三基のステルス隕石マシンが完成すると、イズモに積み込んで出発した。ゾバーク星系に飛んだイズモは、外縁部でステルス隕石マシンを放出して選んだ小惑星に設置する作業を始めた。
イズモのアクティブステルス機能を作動させているので、オーク帝国は気付かなかったはずだ。小惑星にステルス隕石マシンを設置してタイマーをオンにすると、イズモに乗った我々は撤退した。
◆◆◇◇◆◆◇◇◆◆
オーク族のゲルグオ帝は、情報局のビンザク局長を呼び出した。宮殿の執務室にビンザク局長が入ると、ゲルグオ帝が鋭い視線を向ける。
「バオドはどうなった?」
「宙域同盟に連行されました。そのせいで手を出せないようになってしまいました。裁判になるだろうと思われます」
「優秀な弁護士を派遣するのだ」
「バオドを助けるのですか?」
「いや、ステルス隕石爆弾の件も含め、全ての罪をバオドに押し付けてしまえ」
「畏まりました」
「ロード・ゼンから抗議はないのか?」
「はい。我々の仕業だと分かっても、陛下が怖くて声を上げられないのでしょう」
「ふん。小さなスペースコロニーの指導者など、そんなものだ。それよりデルトアースという資源惑星を、やつから取り上げられないのか?」
「購入するという事でしょうか?」
ゲルグオ帝がジロリとビンザク局長を睨んだ。
「失礼しました。取り上げるのですね。それならば、ロード・ゼンの暗殺が効果的だと思われます」
「後継者に代わるだけであろう?」
「いいえ、ロード・ゼンに後継者は居りません。唯一のロードを失ったデルトコロニーは、混乱するはずです。そこに付け込んで、デルトアースを騙し取るのです」
ゲルグオ帝が悪い顔になる。
「面白い。だが、どうやって殺す。ステルス隕石爆弾も通用しなかったのだぞ」
「オーク族は警戒されていますので、外部の暗殺者を雇うしかないでしょう」
その時、軍務大臣のヴァゾフから緊急の連絡が入った。
「陛下、何かがメルズに近付いております」
「どういう事だ?」
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