序章-5 一歩ずつ、確実に
「まずは基本的なことからお教え致しますが、清花お嬢様にとって女とは何でしょうか?」
僕の部屋で行われる倉橋さんからの授業の時間、黒板ならぬ白板に大々的に「女とは何か」と大きく書かれる。
女性として違和感のない基礎的な動きを履修した後は座学ということで、僕とペンを持った倉橋さんと対面して座っていた。
ちなみに、動きの方は未だ赤点ではあったりもする。
「はい。それは生物学的にですか? それとも概念的なことですか?」
「その返しは予想していませんでしたが……そうですね、まずは生物学的なことから聞きましょうか」
「分かりました」
この大きな屋敷を一手に担っている倉橋さんはそう暇な時間はない。ご自身は結婚をして子供と孫までいるからとこちらのことを優先してくれてはいるけれど、それに胡座をかいて無駄な時間は使えない。その限りなく少ない時間をこうして授業に当ててくれているのだから感謝しかない。
だからこそ、この時間を無駄にはしないと心に決める。
「僕にとっての女性とは人間という生物を雌雄に分けた場合の雌です。その役割とは、遺伝子を受け継いだ子を次世代に遺すことですね。胸が大きいなどの特徴はそこに付随して付け足されたものであり、やはり子供を産む、これが女性というものではないかと」
「間違いではありませんね。子供を産むことは男性には決して出来ないことですから。かといって女だけでは子供を出来ない。お互いに必要不可欠な存在になります。ですが、その理論で言いますと清花お嬢様は子供を産めるということですか?」
「産んだ経験はありませんが、月のものは来ているので恐らくは。転身の術は体内の臓器構造そのものまで変えてしまうのであり得なくはないかと。とはいえ、実際に出来るのかはきちんとお医者さんに診断してもらわないと分かりませんが」
転身の術は主に動物や空想上の生物に変身することが目的だけれど、それには相応の知識が必要になる。
例えば犬に変身しようとしたら骨格や内臓の位置、どんな臓器があってどこに位置しているのか、その生態は、その歴史は、その起源は、というように無限にも思えるような
「…………なるほど。……なるほど。私の認識が甘かったと今自覚致しました。覚悟が足りませんでした」
「それはどういう意味なんでしょうか?」
「私は男の子である貴方を女の子らしい生活が送れるようにすることを思い描いておりました。所作、言動、常識、それらをある程度教え込めばそれで足りると。ですが、貴方は……今の清花お嬢様は"女の子"なんですね?」
「肉体的な意味で言えば。はい、そうです」
見た目は完全に女の子のそれだけど、中身も相応に変化している。裸に剥かれたって僕を男だと思う人はいないだろう。
倉橋さんは僕の答えを受けて強く頷いた。
「で、あればお教えするのは上部の知識ではなく心構え……在り方になるでしょう」
「在り方……ですか」
「女性が日々、何を考え、どう生きようとしているのか。これでも私は何十年とその世界に身を浸してきました。その経験を惜しみなく伝えさせて頂く所存でございます」
そう言って微笑む倉橋さんからは、なんと言うか物々しい気配が漂っていた。
人生の大先輩であるこの人の人生経験は物凄い物なのだろうということが会話の中から読み取れる。
霊力は多少はあるものの、退魔師としてやっていけるような家系ではなかった倉橋家は幼い頃から宝蔵家の侍従をしていて、紆余曲折を経て咲夜付きの教育係になり、そうして今に至るという。そこまで何十年という時間があり、当然ながらあの宝蔵家に平穏なんて期待出来るはずもない。
怒涛の日常の中、女性だから求められること、女性だからこそ起きること、その対処の方法等々。
その出来事を出来るだけ客観視して、僕にも分かりやすいように伝えてくれる。
「……今語ったのは私が十代の頃から二十代前半までのことになりますが、今回はここまでにしましょうか」
「そ、そうですね……。少し、受け止めて消化しきるまでには時間がかかりそうです」
理解は出来た。その時の倉橋さんや相手の心情も推察して解説してくれたので納得も出来た。
だからこそ内心は複雑だった。これから出会う女の人がそんなことを考えているのかと想像するだけで憂鬱になりそうだ。
「清花お嬢様の場合、浄化の力のお陰でそうそう滅多な目に遭われることはないとは思いますが」
「でも、咲夜はそういう世界で戦っているんですよね。だったら、そういうのは少しでも知っておきたいです」
「似たようなことを仰いますね……」
「えっ?」
「いえ、お気になさらず。本人は直接的な危険がない分、清花お嬢様の道よりはマシだと言っておられますよ。ですので、お互いにお互いの道を頑張って進んで行けば宜しいかと存じます。私から見ればお二人ともまだまだ危ういところがあるのでしっかりと大人を頼って欲しいところですが」
先ほど聞いた話の中には倉橋さんがどうやって咲夜と関わって行くことになったのかの経緯はなかった。
だから二人の間にどんな会話があってここに至るのか、いずれ話は聞いてみたいものではある。
「咲夜はそう言ってるみたいですが、僕からしたら咲夜の道の方がもっと難しいと思いますよ。倉橋さんの話を聞いていて更にそう思いました。頼って欲しいと仰ってますが、僕も咲夜ももう全力で頼らせて貰ってますよ。食事だったり洗濯だったり、こうして貴重な話を聞かせて貰ってもいますから」
これからも咲夜は複雑な腹の探り合いをしながら多くの人と関わっていくのだろう。それに比べると、単に命のやり取りをしている方が自分に合っていると思ってしまう。だからといってこれからもずっと彼女任せだけは出来なくなってくるだろう。
有名になればなるほど咲夜だけでは対処しきれない事も増えてくる。そうなった時に彼女の足を引っ張らないようにしなければ。
そういった意味でも倉橋さんの話は非常に有益だった。
「それを聞いて少しだけ肩の荷が降りた思いです。ちなみに、清花お嬢様は結婚相手にはどちらを選ばれるのですか?」
「…………はい?」
いきなりの話題の転換に疑問符で頭に浮かぶ。
唐突過ぎて何かを言っていたか理解が出来なかった。
倉橋さんはそれ分かっていてなおも続ける。
「結婚相手は男性と女性、どちらにされるおつもりなのですか? とお聞きしました」
「いえ、それは理解出来ました。そうではなく、なぜその質問をしたのかと逆に聞きたいのですが」
「先ほど言っておられましたが妊娠が出来るかもしれないということは、つまり結婚相手に男性も視野に入るということ。このまま指導が続き、何年もそのお姿で生活していく内に内面まで次第に女性になっていき、男性が恋愛対象になる可能性は低くはないのではと思いまして」
「ないです」
「ないんですか?」
「ないです!」
心の中で多分とつけ加えた。似た事例を知っている身からすれば笑い話ではない。
少なくとも今は確かに男としての精神や心を持っているし、恋愛対象は女性のみだ。男となんて想像したくもない。
例えこれから女性としての知識を身に付けていったとしてもそれは変わらない……はず、はずなんだ。
「では、今はそういうことにしておきましょう。例えそうならなかった場合は咲夜お嬢様を娶って頂ければ一向に構いませんので」
「え、えっと……ご希望に添えるかどうかはちょっと分からないです?」
本人の前で口にはしないけれど、彼女は美人系の美少女ではあると思っている。男として惹かれる容姿をしているのは間違いない。
けれど、今は異性と言うよりも戦友や仲間といった意識の方が強いので恋人だとかは考えていない。なので約束は出来ない。というより、それは咲夜の方から断るのではないだろうか。
「私は、咲夜お嬢様のことは幼い頃から見ているので孫のように思っているのです。勿論、清花お嬢様にも同じような想いを抱いております」
この人に育てられて、どうしてあんな風に捻くれてしまったのかと。
撫でられたその手を跳ね除ける気にはなれず、そのままの状況を甘受してしまう。この人には実母には感じなかった包容力なようなものを感じる。
「祖母がいたらこんな感じだったんでしょうか」
「分かりませんが、きっと可愛がってくれたと思いますよ。清花お嬢様さえ良ければそのようにさせて貰いますが」
「は、恥ずかしいので遠慮しておきます」
「そうですか。残念です。私が勝手にそう思わせてもらうのは構いませんか?」
「それは……はい、そこまで嫌って訳ではないので」
流石に血の繋がっていない、それもまだ会ったばかりの人に家族の癒しを求めるのは流石に躊躇われる。
でも、もしもいつかそうなったらいいなと思いながら、将来自分が同じような立場になった場合は倉橋さんのようになろうと決めた。
自分の周りには尊敬出来るような大人は全くいなかったけれど、倉橋さんのことは純粋にそう思える。
浄化の力がなかったら中々そうは感じなかっただろうけれど。
「ありがとうございます。では、あともう少しは女性に関する知識を蓄えることとしましょうか。その方が後の実践でも意識して出来るでしょうから」
そんな感じで、倉橋さんの僕を鍛えるべく行われる授業方針は決まっていった。
暫しの休憩を挟んだ後、今度はまた別の場所に向かうこととなっている。
倉橋さんが女性についてのことを教えてくれるなら、大門先輩は戦いのことについて教えてくれるらしい。
彼は霊力を殆ど持たないが為に妖怪と戦うことは難しいけれど、格闘術などで優秀な成績を持っていると聞いた。
その実力は霊力さえあればと惜しまれた程だという。
「はい、そこ! 意識が出来てない!」
しかして、それはやってみればすぐに体で理解させられた。確かにこの人は凄い。
襲いかかってくる拳をいなしていると、不意に視界がブレて地面に寝転んでいたくらいだ。自分でもどうしてそうなったのか理解が出来ない程に鮮やかに転ばされた。頭の横を大門先輩の足が強く叩く。
「次!」
「よろしくお願いします!」
大門先輩曰く、まずは体に覚えさせるとのこと。
例えどんなに理屈を並べたところで、本人の知識が足りていなければ理解には到底至らないから。
「視界は常に全体を見る!」
右側の攻勢が強いと思いきや、いつの間にかに左手に袖を掴まれて投げられる。
叩きつけられたと同時に拳が眼前の床に振り下ろされる。
「受け身が全く駄目。投げられたらその体勢から出来ることを意識しなさい」
「はい!」
指摘されたところを直す為に徹底的に投げられた。前へ後ろへ、様々な角度で何度も何度も。
身体能力が向上しているとはいえ、肉体の硬度が増した訳ではない。殴られれば痛いし、斬られれば血が出る。当然のように地面へ打ち付けられればその部分は途轍もない痛みが襲う。
「もう終わりにしますか?」
「はぁ……はぁ……いえ、まだやらせて下さいっ」
怪我自体は自分で治すことが出来る。なら多少の無茶をしてでも訓練を優先する。
口の中が血の味でいっぱいになりながら、何度も打ちのめされて少しずつ成長をしていく。
初めに対応出来なかった行動に適応出来、その直後に別の技で叩きのめされる。
その繰り返しを気力が果てるまで続けた。
「初めの頃に比べればかなり良くなったと思いますよ。弟子を取ったことはありませんが、成長していく子を見るのも楽しい物ですね」
「ぜぇ……ぜぇ……っ! ぜ、全然息が切れていないのはお、おかしい……」
「いえ、これでも結構疲れていますよ。それを我慢して平常を保っているだけです。
その技術を是非とも教えて欲しいものだ。こちらは全身が気怠く、もう指一本動かすことすら億劫なくらいなのだから。
自分で出した浄化の水を飲み、全身にも浴びせかけて内側と外側から身体を癒していく。
流石に気力まで完全回復とはいかないけれど、肉体的な疲労は段々と少なくなっているのが感じ取れる。
「おっと、では体を拭いて汗を落とした後に振り返り学習を行いましょう。きちんと新しい物に着替えてきて下さいね」
「わ、分かりました」
こちらに視線を向けずに去ったことに疑問を感じたけれど、体を起こした時にそれは理解した。
全身に水を浴びせかけたせいで白い胴着が完全に透けてしまっていたからだ。わざわざ見ないように気を使う辺りは紳士だというべきか。
元々が男だと知っているから気にしなくていいのにとは思いつつ、反対に自分が彼の立場だったならどう思うか考えてみる。
(まぁ……気にしちゃうよねぇ)
視線を向けなかったと言うのはつまり意識をしているからに他ならない。
知っていても視界に入る情報からは女性である以外のものは入ってこない。着用しているのも女物の下着なので意識しない方が無理があるか。
訓練の時くらいはあまり女物だと意識させないような衣類を着た方がいいかもしれない。
とりあえず、汗の染み込んだ服は脱いでおきたいので替えの服を持って脱衣所へ行き、軽く汗を洗い流してから新しい服で訓練場へ戻る。
先に戻っていたらしい大門先輩に頭を下げてから彼の下に向かう。
「お待たせしてすみません」
「大丈夫ですよ。今日の予定はないも同然ですから。早速ですが動きの再現と勉強会を始めましょうか」
「お願いします」
今度は動きをゆっくりと、一つ一つの動きが分かるように、意識が全体に行き渡るように丁寧に指導される。
確かに、これを最初にやるのと後でやるのとでは理解度が違うと分かる。失敗をしたからこそ、改善案をすんなりと受け入れられた。
「先ほども言いましたが、清花お嬢様は飲み込みが大変早い。これならばすぐに結果は出るでしょう。あとは慢心せず、ただ努力あるのみです」
「ありがとうございます!」
「あと、これは一つ疑問なんですが」
「はい? 何でしょうか?」
「時々、稽古の中で鋭い視線を感じました。その際の動きは目を見張るものがあったのですが、何か心当たりはありますか?」
大門先輩との訓練の時は無我夢中ではっきりと全てを覚えている訳ではない。
けれど、動画を見返した中には確かに時折鋭い返しをしようとしている場面がある。こちらの反撃を織り込んでいる大門先輩にはいなされてしまってはいたけれど、その後の動きが巧ければもっと善戦出来ただろう動きではある。恐らくはこれのことを言っているのだろう。
「正直、記憶にはないですが心当たりは確かにあります。というのも僕は元々、転身する対象は動物だったんです」
「その名残があると言うことですか? 確かにそれならば納得出来ますね」
「はい。狩猟犬を元にしていたんですが、過去に似たようなことをしていたような記憶があります。…………それも自覚はないんですが」
その時の僕は言わば本能に従っている状態とも言え、無意識下で相手の隙を見つけてそこを狙っている。本能だから攻撃をするかどうかなんて迷うこともなく、見つければすぐにそこへ噛みつこうとする。
それで勝てたことはあるけれど、今回に至っては獣としての瞬発力を使えていないから動きは緩慢だ。
直線的な動き過ぎて軽くいなされてしまっている。
「なるほど。納得が行きました。でしたら、その本能とやらは今後抑えていかなくてはいけませんね」
「それは何故でしょうか? 動画で見る限り、悪くないとも思ったのですが……」
少なくとも、今までの動きよりは可能性はあったように見えた。けれど、大門先輩の顔は厳しいものだった。
「この動きがそれを誘い出す為の動きであったとしてもですか?」
「…………」
動画を見返してみる。すると、彼の言った通りに動きが誘導されているような。
こちらが食いつこうとした瞬間、それを待っていたかのように袖を掴まれて投げられたのを見てそれが確信に変わる。
「確かに、本来の身体能力の状態でこの反応速度で動けば一撃は与えられるかもしれません。ですが、それは格下相手限定です。格上はこうして相手を誘導し、自分が有利になるよう相手を動かすのです。その結果は体験して貰った通りになります」
「き、肝に銘じます」
「それに」
大門先輩は人差し指を立ててこちらを見る。
「あの動きには次がありませんでした。何振り構わずその一撃にのみ全てを注ぎ込む、そんな動きでした。それがどんなに無謀で無茶なことか、実際に妖怪と戦っていらっしゃる聡明な清花お嬢様にはお分かりになられるはずです」
「……はい」
否定するところなんて全く持って何一つない。実際に指摘された通りだったからだ。
危ないところは今まで戦っていて何度もあった。それでも今もこうして無事なのは偏に浄化の力が強力だったからだ。それを抜きにした場合、僕の戦い方では命がいくつあっても足りないくらいには戦闘経験が少な過ぎる。
自分の為に、これからの戦いの為に今言われたことはしっかりと受け入れて改善していかなくていけないだろう。
大門先輩はこちらが思考する間待ってくれていて、終わったと同時にですが、と続けた。
「勝ちに貪欲な本能も決して無駄ではありません。要はその時に最適な動きを出来るか、その動きをお嬢様が知っているかどうかなのです」
「……何となくだけど、分かります。動画を見た後だと、もっと上手く動けていたらと考えますから」
「つまるところ、何にしても清花お嬢様に必要なのは知識と経験です。それを十全に修めておけば、あの鋭い一撃も一つの武器となるでしょう」
僕の事情を鑑みて、それを教えてくれる先生がこんなに身近にいるのは幸運でしかない。そう心から感じる。
「改めて、ご指導の程をよろしくお願いします!」
「私の訓練は叩き上げの軍人でも根を上げる程に過酷ではありますが、清花お嬢様ならば必ず達成出来ると信じています」
「ひぇ……は、はい。ガンバリマス」
倉橋さんと大門先輩、この二人からの過密と言っても過言ではない授業内容の効果は数日と短い期間の内にすぐに表れた。
女性同士の関わり方については今のところは関係ないので仕方ないけれど、その後に教えてもらった姿勢は咲耶にもよく出来ていると言われたほどだ。
足の開く間隔に手を置く位置、歩く際の歩幅など実に様々なことを叩き込まれたお陰だろう。
「へぇ、それで今日は特に怪我とかしなかったのね」
戦闘特訓の成果も伝えると、書類整理を止めて僕の姿を確認した。
僕自身の課題として弱小妖怪に対しては滅防強いけれど、格上に対しては苦戦しがちというものがあった。
そこで大門先輩の行った近寄られても攻撃を捌く方法、戦いの中でも広い視野を持つ癖をつけること、それから攻撃を受けた時の立て直しの早さを身につける訓練は途轍もないほどの成果を得られたという訳だ。
「そうなんだよ。やっぱり足運びとかが甘かったんだなって痛感させられたって感じ。知らなかったらもっと苦戦したんだろうなって思うしさ」
「たったあれだけの期間の訓練でその成長ぶりは見事なものね」
「成長をしたのはそうなんだけど、それだけじゃない気もするんだよね……」
「どういう意味かしら? それだと別の要因があったように聞こえるけれど」
「僕も口で説明出来るほど正確に把握してる訳じゃないんだけどね。ただ、なんと言うか、以前よりも動きが楽になったなって感じがしてさ」
「…………?」
まだまだ粗はあるものの、無駄の少ない足運びなどをしているからそう感じるのかもしれない。けれど、そうじゃないような感覚が時々感じられるのも嘘ではない。確信に似た何かはあるけど、まだそこまでは至っていないような感じだ。
「自分で何か分かったら報告するよ。今は言語化が難しいって感じだからさ」
「よく分からないけど、貴方がそう言うのなら大事なことなんでしょう。思いついたらしっかりと言うのよ?」
「うん。それで、咲夜の方は今は何をしてるの?」
そのことを自分で理解出来たらきっとこの先も役立つだろうと思いながら、咲夜と一緒にお風呂へ入るのだった。
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