誰か達の何か

ミヤコヒト

プレゼント

「ねぇ、女の子からプレゼントされるなら何がいい?」

「は? プレゼント?」

 

「うん。今度好きな人に渡したいんだけど、男子って何を貰ったら喜ぶのかなって」

「お前好きな人なんていたのか」

 

「いるよそれくらい。で、何がいいの?」

「そう言われても、何が嬉しいかは人によるだろう。相手はどんなやつなんだ?」

 

「ゴリラみたいな人」

「ゴリラ」

 

「うん」

「えっとそれは……。体格が? それとも顔が?」

 

「んー……。雰囲気? 何となくこの人前世ゴリラだったんだろうなーって感じの人なの」

「どんな雰囲気を発してるのか気になり過ぎる。うーん、でもそれだけだとあんまりヒントにならないなぁ。他の特徴はないのか?」

 

「他かぁー。なんかこう、ミステリアスかな」

「ミステリアスゴリラ」

 

「不思議な空気を醸し出すんだよねー。そこが良いの」

「へぇー。ちなみにお前はそいつのどんなところに惚れたんだ?」

 

「恥ずかしがって笑う時ね、素敵な顔をするんだ」

「ハニカミミステリアスゴリラ」


「その顔を見た時、この人良いなぁって思ったの」

「ふーん。もう少し特徴を聞いておきたいな。他には何かないか? 趣味とか好きなものとか」


「趣味かぁ。確かゲームが好きって言ってたかな」

「ゲーミングハニカミミステリアスゴリラ」


「食べ物だとカレーとか辛いものが好きだったかも」

「スパイシーゲーミングハニカミミステリアスゴリラ」

 

「他は……。あ、この前漫画読んでたよ。ほらあの、アーニャのやつ」

「スパイシーゲーミングハニカミミステリアスゴリラファミリー」


「そうそう、好きなゲームはスマブラだって」

「大乱闘スパイシーゲーミングハニカミミステリアスドンキーコングファミリー」


「好きな音楽はずとまよ」

「ずっと大乱闘スパイシーゲーミングハニカミミステリアスドンキーコングファミリーでいいのに。」

 

「それとねー」

「もういいよ。収拾つかないよ。見たこともないそいつの存在が俺の中で大きくなり過ぎてるよ」

 

「それで、結局何をプレゼントしたらいいと思う?」

「バナナでもあげとけ」



 



「昨日は相談にのってくれてありがとう。はい、バナナ」

「俺のことだったんかい」

 

「うん」

「…………。俺の……ことだったんかい……」

 

「ふふ、やっぱりその顔素敵」

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