科学で幻想を超越せよ!~空想科学ファンタジア~
kuro
第1話、序
~1~
3XXX年、
「ああ、どうして。どうしてこんな事に……」
場所は家の近くにある小さな
僕の足元には、血だまりに
そう、これは僕の弟だったものだ。弟だったものが、足元に転がっている。既に、弟はこの世に
そう、
「うっ、うううおえええええええええええええええええっっ」
頭の
この声は、
人類に
そう
殺したくなんてなかった。けど、死にたくもなかった。ただ、それだけだった筈なのに。僕は弟を殺してしまった。そう、弟を殺したのは僕だ。
こんな事、僕達には
その筈だったのに……
この声が、この声の
この声の主が、僕達の
だとしたら。ああ、だとしたら、こんな事は到底許せないだろう。そう、僕は天高くを
「神を、
僕達の
神を、絶対に
そう、心の奥底で
~2~
これは二年ほど前の話。僕がまだ、小学六年生になったばかりの
相手の
僕はそれを主張した。そして、再び取っ組み合いの喧嘩に
それでも、相手が真っ先に謝った事で多少の
……その日の帰り道、母さんがそっと僕を優しく
「イブキ、
「……どうして、母さんが
母さんはとても
とても
そんな母さんの事を、僕も弟も
「イブキ、今後一切。
「…………だから、どうして母さんが泣いているんだよ?母さんは全く
「母さんね、イブキが
「……分かったよ、母さん」
本当は、あまり
けど、それでも僕は約束をした。その約束が、僕を縛り付ける
僕は、きっと母さんの事が
けど、それでも弟だって母さんの事が大好きなんだろう。
僕は
だからこそ、僕は弟がいじめを受けている事を知って
きっと、それだけの話だったんだろう。そう、思うから……
「ごめんなさい、母さん……」
そう言って、僕は母さんの
ああ、だからこそ……
~3~
声は言っている。心を殺せ。我に身を
嫌だ。お前は
そんな僕の抵抗を、
その
人類は何時だって
ふざけるなっ!
僕は、声の限り
例え、神にだって
神は敵だ。僕にとって、敵なんだ。僕達にとって敵なんだ。どれだけ
こいつは殺す。絶対に殺す。こいつは僕の敵なんだ。僕達にとっての敵なんだ。こいつだけは、絶対に
そんな、僕の
愚かな。尚も感情に振り回されて
お前の事は
そう、僕は深い
~4~
「う、んんっ……?
目を
此処は、
しばらく考えて、思い出す。
「……っ、そうだ!弟は!シブキは!……っ、ぐぅっ……⁉」
勢いよく
だけど、そんな事を言っている場合ではない。
「っ‼」
あまりにも
そう、半ば現実から目を
「い、いけません!今起き上がっては……ほら、
「で、でも……弟は?僕の弟、シブキは⁉」
「っ⁉と、とにかく……今は
その
僕の
「……はい、私です。患者が目を
そう言って、看護婦は僕に向き直った。その
僕は、すっかり意気消沈してしまっていたらしい。自分自身、それが理解出来るくらいに希望というものが
「……やはり、僕の弟は……僕が、」
「申し訳ありません。私自身からは何とも。ですが、その……」
「いえ、すいません。言いにくい事を……。その、此処は
「……はい、県立の総合病院です」
「そう、ですか……」
そう言って、それっきり
それを
……どうして、こんな事になってしまったのだろうか?分からない。
分からないけど、これだけは分かる。
きっと、これも神の
~5~
それから、少しして一人の男性医師が病室に
「初めまして、僕の名前は
「……叢雲、フブキ?」
その苗字に、僕は思わず
そうだ、誰かに
そう思っていたら、フブキ先生は僕の傷口の
「はい、僕の
「あ、は……はい。よろしく、お願いします?」
そう言って、僕は頭を下げる。イブキ先生は、やはり穏やかな表情をしている。
だが、そんな表情をほんの僅かに
「それで、えっと。イブキ君は自分の
「……はい、僕が弟を殺しました。突然、表情を
「すいません。そのような事を聞いてしまって。お
「いえ、ではやはりあの時聞いた
「はい、あの時世界中に
「……………………」
やはり、あの時の事は全て
そして、世界中の人達が、あの時の僕と
そして、
「……えっと、フブキ先生。母さんは?
その言葉を
母さんはとても
だからこそ、僕と弟が殺し合いをしたと知ったらどうなるのか?
……そんな事、火を見るより
だけど、フブキ先生から聞いた話は僕が予想していたよりも遥かに
~6~
僕は、病院の廊下を必死によろけながら
今、気にすべき事はこんな事ではないだろう。
病院の
神を名乗る者により
今、この病院に居る
それくらいに、
そうだ、大切な人や家族を
起きる
ふがいない。そう、自分自身を
事実、母は今寝たきりになっているんだ。僕達のせいで、僕達が殺し合いなんてしてしまったから。だから、
「っ、くそっ‼」
ふがいない。自分自身がとてもふがいないと
殺したくなんてなかった。殺されたくもなかった。
それは、
けど、今はそんな事を考えている
そして、そうこうしている内に僕は病室の前に
僕は、少し荒くなった息を
~7~
病室の中に、母が居た。
ベッドに寝ている。少しやせ
だけど、
ずっと、母はこうして三日間もこの病室で
思わず、僕は涙を
「ずっと、ユリさんは
「……っ‼」
そう言うフブキ先生の声は、とても
僕は、
そうだ、僕は弱い。あまりにも弱すぎる。誰も、
そうだ、僕はこれ以上奪われたくないんだ。強く、なりたい。
「……ユリさんから、以前頼まれたんだ。もし、自分自身の
「……………………」
「どうか、僕の事は
そう、フブキ先生は言った。
恐らく、フブキ先生なりに僕の事を
きっと、フブキ先生は優しいのだろう。とても、優しいのだろうと思う。だから、こうして僕の事を気遣ってくれているのだろう。
「フブキ先生……いえ、
「はい、何でしょうか?イブキ君」
「僕は、
「……………………」
義父さんの表情が
けど、もう僕は自分の
弱いんだ。
「強くなりたいです。どうしようもないくらい、弱い自分が許せないです」
「イブキ君は、
「はい」
「……君の
「はいっ」
「そう、ですか……」
フブキ先生は、義父さんはとても悲しそうな
だけど、それでも僕は……
「付いて、来て欲しい……」
そう言って、義父さんは部屋の扉を開いて病室を
~8~
僕を
「義父さん、
「僕の個人的な
「研究者……」
研究者。つまり、科学者という事か……
でも、どうしてそんな事を?そう
「僕はね、元々研究者をしていたんだ。僕自身、人を
「じゃあ、義父さんの
「はい、人を
そう言って、義父さんは地下室を
其処は、もう
そんな僕に、義父さんは
「大丈夫ですよ、大丈夫……」
「うん」
そう言って、僕と義父さんは手を
やがて、僕と義父さんは一つの
「最後に、僕から言っておくことがあります。本当に、イブキ君は
「……………………」
恐らく、義父さんは
でも、それでも僕は……
「義父さん、僕をあまり
「……………………」
「
「そう、ですか……」
分かりました。そう言って、義父さんは
義父さんは、僕を
その部屋の中には……
~9~
その部屋の中には、研究用の
そして、何よりも目を強く引く物が
「
「そう、ですか……?」
「はい、僕個人の研究室なので、不用意に
そう言って、義父さんは
まあ、
だったら、不用意に研究成果を
「えっと、じゃあ僕が此処に入ったら本当は
「いえ、まあ君なら
「いえ、まあそうですが……」
「大丈夫です、これでも僕はイブキ君の事を
そう、義父さんは言った。
確かに、僕は義父さんの研究資料を
けど、これは
けど、やっぱりそういうのは言うだけ
「始める前に、この
「……これは?」
義父さんに
でも、これは……
「
「……………………」
紙束を次々とめくって
確かに、これは今の僕にとっては必要な技術なのだろう。
「義父さんは、どうしてこの技術を?」
「僕は、人類を救う技術を研究していました。更に言えば、人類を恒久的に
「……えっと?」
「この技術は、人の持つ
「……えっと、それが人類のサイボーグ化技術?」
「はい、そうです。
「……よく分からないけど、それが義父さんの描く
「はい」
「……そう、ですか」
そう言って、僕はこれ以上言及するのを
だから、僕はこれ以上言及するのを止めて話題を元に
それを
だから、僕は敢えて
「では、その
そう言って、義父さんは
その冷気が、僕には死者の
だけど、僕は強くなるって
義父さんが、パソコンを
それでも、僕はきっともう
そう思い、僕は……
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