転生とかしてないのに突然なんでもできる力を与えられて困ってます

@tukimiyashin

第1話

「なんだ…これ…どういうことだ…?」

授業中、何の気なしにトイレに行きたいと考えたら、その次の瞬間にトイレにいた。


さっきまで教室で普通に英語の授業を受けていたはずだ。

お昼に飲んだ缶コーヒーが利尿作用をもたらしたのだろう。

授業が始まってまもなくトイレに行きたくなった。

我慢できないほどではなかったが、退屈な授業であることも相まって、それなりに強くトイレに行くことを欲してしまっていたのかもしれない。


だからといって、なぜ俺は今トイレにいるのだろう。

トイレに行きたいと考える以外は何もしていないはずだ。

これが所謂タイムリープというものなのだろうか。

それにしても親切なタイムリープだ。

トイレの便座を開けて、ズボンとパンツを脱がせて座らせてくれている。

ーちなみに俺は小でも座ってする派だー


いや、待てよ。

タイムリープの場合、自分の意識だけが過去に戻っている場合もあるのではないだろうか。

つまり、今はどこかのタイミングでトイレに行っていた俺に意識だけが飛んでいる状態なのかもしれない。

未来に戻るのかどうかわからないが、とりあえず用を足して、教室に戻ろう。


……………


ガラッ

「春日井くん、どこに行っていたんですか?気づいたらいなくなっていたのでびっくりしましたよ。生理現象ですから、トイレに行くことをだめとは言いませんが、せめて報告してから行きなさい」


どうやら俺はタイムリープをしたわけではなさそうだ。

教室に戻ると、英語教師から困惑と少しの怒りを込めた叱責がぶつけられた。


軽く謝罪をして自分の席に戻ると、後ろの席の生徒から「お前どうやって教室から出てったんだよ。全く気配なかったぞ」という若干の尊敬を含んだ軽口が飛んできたが、まさか気づいたらトイレにいた、なんて言っておかしな人認定されるわけには行かないため、軽く流してそのまま授業を受けることにした。


この一件が、これから始まる大騒動の序章になるとも知らずに…

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