第104話 くんずほぐれつうんぬんかんぬん。
「ここの編集はこうすると見やすいよ姉ちゃん」
「なるほどっ」
あれからわたしはタクにお願いして動画編集のお仕事を手伝わせてもらっている。
歩けないわたしでもできる仕事はやっぱり少ないと思っていたけど、タクの作ってくれた動画を見てわたしも動画編集を学びたいと思ったから。
お願いしたらタクはとっても嬉しそうにしてくれた。
それがわたしにとっても嬉しかった。
独学で学んだタクの編集技術は癖がわりとあるのでややこしいかもだけどとタクは言っていたけど、わたしにとっては手取り足取り教えてくれるタクはとても有難かった。
今はまだ簡単なことしかできないけど、それでもタクと一緒に同じ仕事ができて助け合えていると思うと嬉しかった。
むしろ歩けなくなって良かったとすら思えてしまうくらい。
でもタクはわたしに甘いのか甘やかしてしまうので厳しく指導してほしいと言ったら、なんか変なスイッチでも入れてしまったのかとても変態的な指導になってしまった……
色んな素材となる動画があるわけだけど、動画主さんの顧客の需要によって力を入れるべきところが違うのでそこをどう魅せるのかとか。
それこそ色んな動画主さんから依頼がくるから、ちょっと過激なやつとかだとタクがわたしに「心の中に童貞を飼え」と言われた。意味はわからなかった……
タクが事故の怪我から復帰した後、初めてタクに抱かれた。
子宮を失ったわたしは女として愛されることなんてないと思っていた。
目覚めてから性欲があったわけではなかったし、そんなことを考えている余裕もなかった。
けどお医者さんから卵巣は残っているから女性ホルモンは分泌されているし、毎月の月経はなくなるので精神的には安定するはずですとは言われていた。
たしかに生理周期のストレスからは解放されたけど、それよりも家族を作れなくなった喪失感の方が強かった。
お医者さんからも喪失感についてはメンタルケアなどが必要だと言われていたし、それでもやっぱり心の傷は大きかった。
けど、タクに抱かれて嬉しかった。
それでも愛してくれるタクに喜びを感じた。
椎名ちゃんも交えての行為だったけど、椎名ちゃんもタク以上にえっちだった……
というかふたりで攻めてこられてむしろ怖かった。
快感に溺れそうになっていくのが恐怖だと感じるほどの夜だった。
椎名ちゃんとキスをしたのはタクとは別の背徳感があって、なんか凄かった……。
わたしに関してはタクとは生でしたんだけど、生でいいよって言った時のタクの興奮度が前よりも異常だったのでちょっとだけこわかったけど、求められている感じが伝わってきて嬉しかった。
けど生でシた時の感覚は前よりもタクを感じられた。
ただ3人でするとなるとわたしの体力の無さがかなり目立った。
ふたりが積極的にしてくれたのもあるけど、ヘトヘトになってしまった。
というか仲直りしてからのタクはとにかくがっつき過ぎて大変だ。
椎名ちゃんに「あんたの脳みそ下半身に付いてんじゃない?」って呆れ気味に言われてタクが「椎名、それは違う。下半身にも付いてんだ!!」ってドヤ顔で言っててわたしは笑ってしまった。
すんごい自信満々にそんな事を言うものだから、むしろ清々しいとすら思ってしまった。
……けど個人的にはあんまりそういうえっちなことばっかりなのはダメだと思います。姉としてはそう言っておかねば……
最近では動画編集も少しは板に付いてきて、任せてもらえる仕事量とか内容も上がっているんだけど、とある目標の為にやっていることもあって毎日大変だ。
しいちゃんパパとしいちゃんママにも協力してもらっているけど、やっぱり一筋縄ではいかない。
けれど、今は毎日が楽しい。
スーパーの仕事をしていた時よりも充実していると感じる。
ある意味、タクとふたりで動画編集のお仕事をするのが前のわたしにとっても1番いい環境だったと思う。
もっとそういう事に早く気付いていれば良かったと思う反面、今だからこそ気付けた幸せだとも思う。
タクは動画編集のお仕事を通じて色んな有名配信者さんとも交流があるらしく業界内では評判も良くてわたしと椎名ちゃんはタクに近寄ってくる女の子に嫉妬している。
まあでもタクなら手を出したりしないんだろうなぁという謎でもない安心感はあるわけで。
とくに姉我好妹子先生というくだんのエロゲのシナリオライターさんはある意味別格だった。
なんかね、タクと同じ
話を聞くとお姉さん大好きシスコンな女性らしく、タクとは盟友でありシスコン
紹介してもらっている最中に急に女性用の下着を取り出して嗅ぎ出した時にタクが「姉我好先生……うちの姉が居る時くらい我慢できませんかね?」って呆れながら言ってたのを見てわたしは安心した。うん。
たぶんタクは姉我好妹子先生の事を実質的に男だと認識してるんだろうなぁって思った。
ちなみに話の流れで幼馴染の椎名ちゃんともそういうことを3人でしているという話になってしまって姉我好妹子先生が鼻息荒く「女の子同士のえっちってどんな感じなんですか?!」と凄く興奮気味に聞かれて怖かった。
堂々と「私は姉と百合えっちをするのが夢なんです!!」と言われてびっくりした。
そりゃタクの「盟友」なだけあるなと思ってしまった。
タクも姉我好妹子先生も行き過ぎた性欲魔人過ぎて世界は広いんだなぁって悟りを拓きそうになった。絶対違うんだけどね……
「新年、あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」
「あけましておめでとうございます。こちらこそよろしくお願いします」
わたしが目覚めてから半年。
新年を迎えた。
無事に新年を迎えられて、本当によかった。
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