駆けたるは星空。

逢坂 晴月

魂を守る者

第1話

 吐く息も、見据える瞳も、響く足音も。全てが凍てついたかのような雰囲気で少女は目の前を見つめていた。


(……これが噂の『空を駆ける列車』)


 少女は固唾を呑みながら見据え続けていた。が、次の瞬間。背中に衝撃が走る。電流が体を駆けてゆくように、鋭い痛みが少女を襲った。


「なっ」


『何』と少女が口を開くよりも前に衝撃の元凶が口を開いたのである。


「お姉さん、列車これに乗るなら僕も乗せてくれないかな」


 元凶──少年が微笑みながら言った言葉に愕然とする少女。五秒後、少女の叫び声が響き渡った。


 これは空を旅する者達の回顧録である。


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