この台詞の後に何かを続けるのは野暮だと思うんだ。
突然の電話でしかも非通知設定。
嫌がらせの類かと一瞬思ったが……このタイミングで電話をかけてきそうな人物に心当たりがある……残念ながら。
俺はボタンをタップして──
「──お前神崎だろ?」
『……チッ、つまんねーなァ』
スマホから、本当に心底残念そうな神崎の乾いた笑いが聞こえてくる。
「……ちなみになんで俺の電話番号知ってんだよ?」
『クックック……細けえことないいんだよ。ずいぶんと面白いことになってんじゃねえか』
人の個人情報を何だと思ってんだよ。
『だが……思ったより元気そうでつまんねえな』
「誰のせいでメンタルが鍛えられたと思ってんだ」
こちとら
そんなことを経験してしまえば、嫌が応にもメンタルが鍛えられるというもの。
それに、見えない世間の声よりもクラスメイトからの純粋な殺意のほうがはるかに怖い。
のうのうと生きてるそんじょそこらの人間と比較されてなんて心外。
──乗り越えてきた修羅場とくぐり抜けてきた死線の数が違うんだよなあ……!
「で、何の用だよ? からかいに電話かけてきたんなら切るぞ?」
『……』
「じゃーな」
『……ソラ、てめーこうなること予想してただろ?』
「…………急に何だよ」
『かなり炎上してんのによォ、今のお前は流石に冷静すぎて気色悪いんだよなァ……違うか?』
電話口から聞こえてくる、人のことを見透かしたような薄笑い混じりの低い声。
……やはりこいつのことは気に入らない。
「……やっぱお前のこと嫌いだわ」
『良いねえ、やっぱてめー最高じゃねーかァ……!! で、これからどうするか考えがあんだろ? 是非ともオレに聞かせてくれよォ……!!』
面白がっている声色を隠そうともしない神崎。
こいつやっぱイカれてるわ……
『オレに言っておいて損はねえと思うぜェ? 力になってやる』
「俺の直感がお前にだけは頼るなって言ってるわ」
と言い捨てて、俺は遠慮なく電話を切った。
過去の経験から学んでいる。
あいつに絡まれるとろくなことにならない。
それになんとなくだけど……神崎の背後に来崎さんが控えているような気がする。
またラジオに引っ張り出されるのも御免だ。
ただ……あえて今の俺の心境を表現するなら、かの有名な一言につきるだろう──
──計画通りっ……!!
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