帰りの車中


 ──ファミレスから家へと向かう帰路の車中。


「はあ……なんかとんでもない目にあったな」

「過去形より現在進行形の方が正しいんじゃないか?」


 後部座席に座っている俺の言葉に、運転席の二宮先生が反応する。


 助手席に座っている二宮は寝てしまっているらしい。

 まああれだけファミレスで狂喜乱舞していたら、そら体力もなくなるわ。


「まあ教師として、勝手に人の動画を上げるのはいただけないからな。後できつく叱っておくが」

「後輩へのプレゼントっていうか、絶対ただ自分たちがやってみたかっただけだと思いますけどね」


 様々な角度でカメラを設置したり、素材を丁寧に編集したりして、ドッキリ動画は本当に力が入ったコンテンツとなっていた。

 ちなみに、放送室のマイクが勝手に入っていたのも、先輩たちの仕業ということも判明した。



「放送に関してはお前らが勝手にやった後、あれこれ文句を言われるのは私なんだからな」

「うっ確かに……それは、まあ……すみません」


 俺たちは放送をやり逃げしているだけなので、別に誰からも注意を受けていないが、確かに顧問の立場となれば話は違う。


 きっと旧部顧問の二宮先生は、お偉いさんからお叱りの言葉の一つや二つ、もらっているに違いない。


「先生方の、あの放送に対する反応は目に浮かびますね……」


 そう考えると……本当に申し訳ない気分になってくる。


「ああ──職員室は大いに盛り上がっていた」

「なんでだよ」

「2回目の放送時は、普段は新校舎の職員室にいる先生もわざわざこちらに来ていたくらいだ」

「仕事しろ」

「女性陣からはあまり評判は良くないが、男性陣はけしからんと言いつつ、放送にしっかりと耳を傾け、私に止めさせろと言う人は誰もいなかった」

「大丈夫かこの学校」

「旧部OBの武勇伝を聞いている時は、しきりに頷いていたな」

「同類かよ」

「ただ、お前がOBを土下座させた時は、「人としての道を踏み外すな!」と言っていた」

「互いにな」

「メッセージ送ったのに読まれなかったと、悔しがっている先生もいたくらいだ」

「もう転校しようかな」


 ……この学校の先生方は大丈夫なんだろうか?


 でも高校教師になる男なんて、8割方ロリコンって聞いたことあるし、特に二宮の幼女関連の話がドストライクなのかもしれない。ヨシ! 大丈夫!


「にしても、知り合いが勝手に申し込むって、昔のアイドルみたいなきっかけって今でもあるんすね。あー今からでも取り消せねえかなあ……でも二宮は絶対出たいだろうし……」


 と、独り言をぶつぶつ言っていると、


「じゃあ──主催者に直接相談しておいてやるが」


 先生が思いがけないことを口にした。



 ……どういうことだ?


 軽々しく言うからには、なにかツテでもあるのか?


「──着いたぞ。夜も遅くなってしまったから早くいけ」


 いつの間にか車は俺の家の前に着いており、会話はそこで終了してしまった。



────────────────

あとがきのこーなー!


『おい白崎! オレたちの作品がランキング入りしたぞ!』

「おめでたい!」

『現代ドラマの日刊25位だぞ!』

「おお……微妙な数値だけどおめでたい!」

『ちなみに作者のizumiは大喜び』

「本当におめでたい!」

『だがこんな作品がランキング入りしたのは妹たちのおかげだ!』

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