百年坂の魔女の家

※※※あらす※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


 魔女の家に住んでいたことがあるカコちゃんのおはなし。

 真宵が公園でおしゃべりするようになったカコは魔女の家に住んでいたことがあるという。

 そこでの暮らしは楽しかったのに、魔女とはぐれてしまい百年坂にはもどれない。

 この世界では継母にいじめられているという。

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「最近友達ができたんだ~」


 ある日、二人のお茶の時間に真宵は言った。

 机と机を向かい合わせにして、それぞれの机のレース編みのランチョンマットをかけて優雅なティータイムの演出しようとしていたのだが、どうも学習机というのは文化祭にはいろいろなものに化ける癖に、こうやっって日常生活にある分には自身のアイデンティティーの主張が激しい。

 そういえば、このレース編みのランチョンマットも真宵がどこからか持ってきたものでだった。

 家庭科室あたりの備品を拝借したものかと思ったが、もしかしてと思い私は尋ねる。


「友達って、このレース編み作った人?」

「そう! よくわかったね」


 真宵はそういって嬉しそうに頷いた。

 私は繊細なレース編みの端っこをつまむ。

 まるで死んだネズミでも見つけてしまったような気持ちだ。

「真宵には私以外の友達なんていらないでしょ」と思わずあふれ出てくる言葉を飲み込んだ。

 私の葛藤など知らずに、真宵は嬉しそうに話を続ける。


「カコちゃんっていうんだけどね、とっても優しい子なの。手芸とかも得意でね、いつも何か作っているんだよ」

「ふーん。家庭的なんてイマドキ流行らないけどね。なんでも買ってきた方がはやいよ」


 私は思わずちょっとだけ悪口をこぼしてしまう。

 だけれど、真宵は私のそんな腹黒い気持ちにも気づかない。

 真宵のいいところであると同時に、本当にイライラする。

 ただ、真宵の口ぶりからすると、年下の女の子だろうか。それならちょっとだけ安心する。

 そんな子に真宵を横取りされることはないはずだし、成長に合わせて同年代と遊ぶようになるだろうから。


「カコちゃんってどんな子なの?」


 私は足をさスッ、スッと床にこすりつけて苛立ちを無理やり消費させながら冷静な口調で尋ねた。

 自分の嫌な部分や言葉が床に落ちていて、それをつぶして、すりつぶして、なかったことにするようなイメージだ。


「カコちゃんはね……かわいそうな子」


 真宵は少し言葉を詰まらせたあとに、そう言った。


「可愛いこじゃなくて?」

「うん。可愛いけど、可哀想」


 そう言って、真宵は「カコちゃん」のことを話し始めた。


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 カコちゃんと出会ったのは公園だったの。

 そう、そこの窓から見える公園。

 えっ、うちのお庭には鉄棒もジャングルジムも広いサッカーコートもあるのに、わざわざ公園に行くのは変だって?

 それに私は家から離れるの怖がってるのに一人ででかけていたのかって?


 いいじゃない。

 だって、あの三ヶ日公園はすぐ近くにあるし、あそこに行くのに道にまよったことはないんだもん。

 それに、あの場所ならいつでもここから見ることができるから。


 公園って楽しいよ。

 なんか緑がいっぱいあって、芝生もあるし、ベンチもある。

 なんか、ぼーっとするのにいいの。

 いつも、ぼーっとしているでしょなんて意地悪はやめて。


 でね、毎日公園にいっていたら、カコちゃんも毎日公園に来ていてね、それで友達になったの。

 それでカコちゃんはね、レース編みの飾りくれたり、色んなお話してくれるようになったの。

 あとね、カコちゃんは夕方暗くなっても帰ろうとしないから理由を聞いたら、自分のうちに帰りたくないんだって。

「意地悪な継母がいじめるから」ってカコちゃん泣きながら、笑うんだよ。

 その表情がすっごく悲しくて、思わずカコちゃんに理由を聞いてしまったの。

 本当はちょっと深入りしすぎかなと思ったんだけど。


 そしたら、カコちゃんは教えてくれたの。

 カコちゃんは百年坂の魔女の弟子だったんだって。


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 百年坂の魔女の家って知ってる?

 そうあのだれもたどり着けないような崖の上にある洋館。

 どうやってあんな場所に建てたのだろうとみんな不思議がるけど、たいていの大人は大昔の災害で山の一部が崩れてしまったせいだって結論づけるけど。

 違うよ。

 あの家の前には今でもとっても傾斜が急な坂があるの。

 魔女の魔法で見えなくしているだけ。

 それにあそこは百年坂だからね。

 もし、道路が見えたとしても、普通の人はたどり着けない。

 たどりつくことができるようなお年寄りはとてもじゃないけれど、あんな坂は上れない。

 魔女って、とても警戒心が強いの。

 そりゃあ、そうよね。

 だって、魔女というのはずっと迫害されてきた歴史があるから。

 人間ってずるいよね。

 魔女の力を借りたいくせに、自分で使えないからズルだとか、悪者にするなんて。

 本当は自分がそんな力を手に入れたら、もっと悪いことに使うくせに。

 だから魔女は警戒心が強く隠れるようになったの。

 中には人間のふりを上手にするなんて魔女もいるけれど、あたしを見初めてくれた魔女は魔女らしく生きたい魔女だった。

 とんがり帽子に漆黒のマント、大釜に蝙蝠。

 そういう記号じゃなくてね、魔女はね嘘をつけないの。

 本当は。

 水になんか溶けたりしない。

 魔女を殺すのは簡単。

 嘘をつかせ続ければいい。

 嘘をつけば魔力が弱まる。

 人間のフリには嘘がつきものだから、魔女は人間の世界に溶け込んでいるうちに大抵の場合ちょっと不思議な話や薬草に詳しいボケたおばあさんになってしまう。

 でも、あたしのお師匠は違った。

 嘘をつかないために孤高にもあの崖の上にあるお屋敷に一人で暮らしていた。

 魔女らしく生きるってすごいことだよ。

 気高く、完璧じゃないといけない。

 嘘をついちいけないし、自然から無理やり奪うこともしない。

 魔女って、人間よりも大変な生き方だよ。


 あたしの師匠は本物の魔女だった。

 そんなお師匠もね。ある日、弟子が欲しくなったんだ。

 たぶん孤独だったんだと思う。

 そんな師匠にあたしは拾われたんだ。

 家から閉め出され、泣いているあたしをみて、お師匠は手を差し伸べてくれたんだ。

 なんで、家を閉め出されたかは覚えていない。

 でも、あたしを産んだ母親は少々気分にムラがある人で、そんなことはよくあった。

 あたしはいつも母親の機嫌が悪くならないか、その顔色をうかがい、おびえながら暮らしていた。

 それでも、家から閉め出されることはあった。

 食事のとき米粒をうっかり落としてしまったとか、眠っている間に枕によだれをたらしたとかそんな理由で。

 今でいうと虐待といわれるかもしれない。

 けれど、当時のあたしにも母親にもそんな意識はなかった。

 ただ、あたしは気まぐれな母親によって、いつも飢えていた。

 家から閉め出されたときはよくこの公園に来ていたんだよ。

 ここでなら、人目があるし、水もあるからね。

 いつものように夜のカーテンがひかれた公園で一人ぽつんと座っていたときだよ。

 魔女があたしをみつけてくれたのは。

 魔女は他の大人とは違った。

「家はどうしたの?」とか「お母さんは?」なんてつまらないことは聞かなかった。全部しっていたんだろうね。


「うちに来るかい?」


 それだけ尋ねた。

 たぶん、魔女はすべて知っていたんだ。

 あたしがどんな生活をしているか。

 あたしはただ、

「一緒にいく!」

 それだけ答えればよかった。


 そのときの魔女の表情といったら、見たこともないほど嬉しそうだったよ。

 あとにも先にもあんなに魔女が喜んだのはあのときだけさ。

 どんな失敗をしても起こらない優しいお師匠が、あのときだけは心の中から嬉しそうにしていた。

 それが分かって、あたしは安心して魔女に、いやお師匠についていくことができたんだ。


 不思議なことに魔女が笑うとあたりはぱあっと明るくなったんだよ。

 最初はそれはあたしの気分による錯覚なのかと思っていたのだけれど、違うね。

 あれは、魔女の魔法だった。

 お祭りの夜に見る雪洞みないな淡い光の粒がそこら中に漂っていたのさ。


 そして、魔女はそっと手を差し伸べてくれた。

 あたたかかったよ。

 本当の母親の手よりも。


 魔女と一緒に百年坂を歩いたときのことは覚えている。

 とても急な坂で子供の足には厳しかった。

 だけれど、魔女はうちの母親みたいに手を放しておいて行ったりしないと分かっていた。

 うちの母親はね、そりゃあ意地が悪くて、たまに気まぐれにあたしをつれて出かけるんだ。若い娘みたいな恰好をしてね。「お姉さんですか?」なんて世辞を聞きたかったのだろう。確かに母親は綺麗だったよ。あの人は母親に慣れなかったんだ。女のままでいたがった。

 そして、知らない町にいって自分が母親でなく「お姉さん」に見えることを再確認して満足した母親はあたしをいじめることを思い出す。

 知らない町にいって、あたしが疲れて歩くのがつらくなったころに、ふと手を放すんだ。

 そしてずんずんと先に進んでしまう。

 あたしが慌てて足をもつれさせながら追いかけるのに振り向きもしない。

 あたしが泣きながら追いかけてくるのが楽しかったんだろうね。

 母親にはなりたくない、女でいたい。ただ、それと同時に誰かから必要とされたい。

 今考えれば、あたしの母親ももしかしたらあたしと同じように育ったのかもしれない。

 愛情欠乏のゆがんだ人生を。

 可哀想な気もするけど、あたしにしたことは許せない。


 ああ、話がずれてしまったね。

 あたしが百年坂を上り終えられるように魔女はそれは辛抱強くまってくれた。

 時には励ましてくれた。

「魔女なんだから、ほうきでびゅーんって飛んでいけないの?」

 あたしは肩で息をしながら魔女に聞くと、魔女はとても済まなそうな顔をした。


「ごめんね。最初にここにくるときはちゃんと歩かないと。この坂にへそをまげられてしまうからね」


 そんな不思議なことを言った。

 それではまるでこの坂が意思をもっているみたいじゃないか。

 あたしは奇妙に思いながらも、


「じゃあ、百年坂さん。もう少し歩きやすいように緩やかな坂になってくれませんか」


 そう口にしたあとから、すこしだけ歩くのが楽になったきがした。

 魔女は目をまるくしたよ。


「なるほどね、そんな方法があるとは子供はすごいな」


 そう言って、残りの道は二人で夜の散歩でもするようにゆっくりと楽しむようにあるくことができた。


 魔女の館の存在は知っていた。

 公園からも見ることができるからね。

 遠くから見ても大きなお屋敷は、目の前にしてみるともっと大きくお城のように感じたよ。

 古びた西洋のお屋敷はあたしにとって、絵本の中のお姫様が住んでいても不思議じゃないくらい立派にみえたのさ。


「あたし、本当にここに住むの?」


 あたしが思ず尋ねると、別に怖かったわけじゃないんだ、こんな立派な家を汚してしまわないか不安だったのさ。

 だけど、魔女は、


「怖いのかい?」


 と尋ねる。いまならやめることもできるし、元の場所にほうきでひとっとびで連れて帰ることもできるとね。

 あたしはもちろん、ぶんぶんと首を横に振ったよ。


「魔女と一緒にここに住みたい」


 その日から魔女との生活が始まった。


 魔女は家に上げたあたしを綺麗にお風呂にいれてくれた。

 新しい服も着せてくれて、食事もくれた。

 食後にアイスクリームを初めてたべたときはびっくりしたよ。

 雪のように冷たいのに、甘くておいしいって。

 あたしがあまりにもその味に驚いているのをみて、魔女は自分の分をあたしにくれたよ。


「特別だよ。普段は一つまでだ。おなかをひやすといけないからね」


 魔女はいつだって優しかった。

 魔女はあたしに色んなことを教えてくれた。

 それこそ世の中の母親のように、米の炊き方や髪や肌の手入れ。

 あたしが知らないことを多いことにちゃんと気づいていたんだろうね。

 あたしが魔女から教わったのは魔女の修行というより、世の中を生きるために必要な知識だった。

 読み書きなんかも教えてくれた。

 魔女の言葉を聞くだけでなく、色んな本から知識を手にいれられた方が役にたつとね。


 魔女との暮らしは本当に幸せだったんだ。


 だけれど、魔女は楽しいときであればあるほど、時々寂しそうな眼をしているんだ。

 まるで、この楽しい日々に終わりがくるとでも。

 あたしが幸せであればあるほど、魔女は忠告した。


「もし、お前にとってここが嫌な場所になったらいつでもでていっていいのだからね」


 と。そんなわけないと、いつもあたしは首をちぎれんばかりに横にぶんぶんと降るのだが、魔女は信じていなかった。

 あたしは捕らわれているつもりなんてないし、本当にもとの生活なんかもどりたくなかった。

 いつも見守ってもらい、世話をしてくれ、あたたかな食事や洗濯した清潔な服を着せてもらえる。普通の子供として暮らせる魔女の家での生活はあたしにとっては夢そのものだった。


 だけれど、あたしはある日、間違いを犯しちまったんだ。

 あの頃は魔女との生活にも慣れて油断していたのだろう。

 うっかり、魔女の大事にしている本のページを破いてしまったのさ。

 たぶん、魔女は正直に言えば怒ったり、罰として食事をぬくなんてことはしないだろう。

 だけれど、小さなころからの癖であたしは思わず逃げ出してしまったんだ。

「叩かれる」「ひどい目に合わされる」そんな嗜好があたまのなかをぐるぐると回りながらいっぱいになって言ったんだ。

 紫と茶色と黄色がマーブル上にになって脳みその表面をぐるぐるとなでまわして、耳からあふれて、「逃げろ」って声に変っていったんだ。


 気が付くとあたしは家の外に向かって走り出し、百年坂をくだっていったんだ。

 百年坂は下り坂のはずなのに、やたら駆け降りるのに時間がかかった。

 あれはもしかしたら、百年坂自身が、あたしが我に返るか。

 逃げ出したあたしを魔女が捕まえられるように時間稼ぎしてくれたんだろうね。


 だけれど、パニックを起こした頭はポンコツで、気が付くとあたしは手足はずきずきと痛み、喉はからからの状態でこの公園にいたのさ。


 あたしは後悔したさ。


 魔女との暮らしはあたしにとってかけがえのないものだったから。

 もちろん、あたしは魔女の家に戻ろうとしたよ。

 だけれど、どんなに探しても百年坂の入り口が見当たらない。

 魔女の館もその前に広がる百年坂も、あんな遠くにあるのははっきりと見えたのに。

 百年坂の入り口はどこにもないんだ。


 あたしは待ったよ。

 何分も、何時間も。

 だけれど、魔女が姿を現すことはなかった。

 どこかで魔女はきっと迎えに来てくれると思っていたのに。

 日が暮れて独りぼっちになったとき、裏切られた気分だった。

 また、最初に逆戻りしただけなのに。

 あたしは前よりも寒くてひもじくて、そして悲しいという感情に襲われた。

 魔女に出会うまでは独りぼっちでもそんな風には感じなかったのに。

 気が付くとあたしは、近所の人に通報されたのか大人に引き取られた。


 だけれど、あたしはあきらめきれないんだ。

 魔女との生活が。

 いつか戻れるかもしれない。

 そう期待しながら、毎日この公園にきて、百年坂を登るための入り口を探しているのさ。

 魔女はもしかしたら、あたしが嫌になって逃げたと思って傷ついているかもしれない。

 せめて謝りたいんだ。

 そして、今日まで生きられたのは貴方のおかげとお礼をいいたいんだ。


 でも、最近継母がうるさくてね。

 すぐに迎えに来るんだ。

 だから、最近はなかなかうまく探せなくてね。


 だけれど、今日は運がよかったみたい。

 ほら、あそこ。

 ツツジのちょっと奥に、道があるんだろう。

 どうしていままで気づかなかったんだろうね。


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 カコちゃんはそういうと、ものすごいスピードで歩き出したの。

 普段は杖をついているのに。

 杖も持たずに、なにもない。ただ、公園の端のツツジの木に向かって進んでいったの。

 ああ、まずい。とめなきゃっておもったけれど、私が止めようと声を上げようとしたとき、カコちゃんは消えてしまったの。


 私はびっくりして、動けなかった。

 しばらくして、カコちゃんが消えたほうにいってみたけれど、そこにはツツジの木とその向こうはフェンスがあるだけだった。

 足の悪いカコちゃんがこのフェンスを越えていけるとは思えない。


 きっとどこかに道があるはず。そう思って探しても見つからない。


 しばらくすると、


「お義母さん、どこですか?」


 女の人の切羽詰まった声が聞こえてきた。

 その女性は私の姿をみると、一枚の写真を取り出して見せた。

 カコちゃんの姿がそこには写っていた。

 じゃあ、この人がカコちゃんの言っていた継母か。

 エプロンのままかけだしてきた、目の下にクマができるくらいの疲労で少し色あせているけれど、綺麗な女の人がカコちゃんの言っていた継母。


 おばあちゃんのカコちゃんよりもずっと若いこの女性が継母。


 大変だろうな。

 私はそんなことをぼんやりと思った。


「さっきまで、お話していたんですが、あっちに行きましたよ」


 カコちゃんが消えた方を指さす。

 すると、その女性はふと表情をゆるめた。


 何もない場所を指さして、「ふざけないで」と怒られるかと思っていたので意外だった。


「もう、百年たったのね」


 そう女性はつぶやくと、カコちゃんの行ったほうに走り出した。

 そして、女性もカコちゃんとおなじように消えてしまった。


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「だから、もう友達はいなくなっちゃったの?」


 真宵は「おしまい」と言いながら寂しそうに笑った。


「話長すぎ」


 私はつい、冷たくいいはなつ。

「ごめん、ごめん」と真宵は私をなだめるようにいいながら、


「ねえ、このレース編みのテーブルクロス。遺品とかになっちゃう?」


 とふと、真剣な顔をして悩み始めた。


 暗くなった外をみると、窓の向こうの景色に見慣れないものがあった。

 崖の上にある灯のついた洋館。

 洋館があるのはしっていたけれど、古びていて、そもそも人がいけるような場所にないので空き家だと思っていた。

 なのに、今日はあかりがともっている。


 もしかしたら、百年坂の魔女とその弟子が再び、家に帰れたのかもしれない。

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