朝焼けに夢を見る

葉月

第1話 新年早々


目が覚めた6:30…仕事は明日からだから。

あぁ、もう少し眠れるな…。





月夜で薄明かるい自室、ベッドの上にいる。


グループLINEに私の悪口が書いてあるのを眺めて悲しくなっていた。人間は他人をランク付けするのが好きだ、前職場のアルバイト達は私を底辺にいる人間と見ていた。


目を刺激するスマートフォンの画面を眺めながらふと思う。


私はさきほどまでロッカールームにいた。

自分のロッカーを開けようと近くのロッカーを開けていた女子に覆い被さり、なんであんな開けかたをするのだろう?と注目を浴びていると思いながら自分のロッカーを開けて黒いフリルのある服を手に取った。


そのうち一人がロッカーの鍵が無いと騒ぎだした。


眼鏡の女性教師に相談に行くと、他メンバーが二次会をやっているお店に行って10万円を借りてきてと言われた。それで合鍵を作るからと。


私はロッカーから服を出した。小さくて着れない子供サイズの服だった。

イラついて中に戻していると男性から声をかけられた。


「○○さん、前に失くした鍵は見つかったの?」

「鍵?なんのことだっけ」

「ほら、この間、公園に三人で探しに行ったじゃん」


記憶が甦る、私は誰かと一緒にベンチの下を覗き込み、緑色のタグがついたロッカーの鍵を探していたのだった。


「あぁマズイ、見つけていなかった」


私はもう一人の鍵を無くした女性に車で一緒に行こうと言った。




気がつくと雨に濡れる畦道を全力で走っていた。

そういえば一緒に行こうと言った女の子がいない…ふと思い出して引き返すと女の子は後ろから追ってきていて、ずぶ濡れだった。


「ごめんね、一緒に行こう」


二人で車に乗り、雨が降る道路へと急発進した。


あの後…どうなった?

それからの記憶が無い。


再びベッドの上でLINE画面を見る私。


マネージャーから怒りを露にした文面のLINEとスタンプが届いていた。


「ホテルどないなっとんねん、こんな状況やぞ?」


はて、なんのことだ?

困惑した。

画面の右下に四角い赤に白抜きの文字が出ていることに気づく。


【死亡者専用】


「は?……私、死んでいるの?」


車に乗ったあとの記憶が無い。

二次会現場に行く予定だったのに、気がついたらベッドの上。

死んでしまったからここにいるの?


嫌だ嫌だ嫌だ!死にたくない!



焦りの中で目が覚めた。

うつ伏せになり非常に息苦しい夢を見ていた。








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朝焼けに夢を見る 葉月 @fencer-hi

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