第17話:受け取れ!これがプティングだ!
無事にプリンを作り終えた私は食料保管庫にプリンを託して、その後はのんびりと過ごした。
翌日になってモールさんたちのお茶会の前に取りに行った。その際にルンさんの分のプリンを頼んでおいた。喜んでくれると良いなぁ…。
「あ!ユミねぇ、こっちこっち!」
大きく手を振るパルナちゃんに導かれるままにガゼボと言ったっけな…白を基調とし、柱を屋根の円形のガゼボの中にはお茶会の舞台が出来上がっていた。
私は早速手に持っていたバスケットの中からビンに入ったプリンを取り出し、机の上に置いた。
「はい、こちらがプリンです」
「わぁー!おいしそう!」
「ふぅん」
興味津々にビンを覗き込むモールさんとパルナちゃん、とてもかわいい…ついでにコマも机に前足をちょぴっと乗っけて覗き込んでる…かわいい……。
早速、お茶会を開幕させてプリンの蓋を開ける。
モールさんもパルナちゃんもワクワクとした様子で、パルナちゃんに至ってはもう涎が垂れそうだ。
先陣を切ってパルナちゃんがスプーンでプリンを掬って一口、口に運んだ。
「おいしいー!!!!!」
パルナちゃんは元気よく顔をあげて声高らかにそう叫んだ。頬は先程よりも赤くなっており、興奮気味なのが伝わる。
「こ、こら!下品よ!……でも、確かに美味しいわね」
モールさんもパルナちゃんに注意しつつも一口含み、ポツリと嬉しい感想をつぶやいた。
そんな様子を嬉しく思いながらも、足もとでソワソワとしているコマにコマの分のプリンを与えた。セレストにもプリンを与え、ようやく自分の分に手を付ける。うん、相変わらず美味しい。
「………」じー
ふと視線を感じて、視線の方向に目をやるとパルナちゃんが空になったプリンの容器を悲しげに見つつ、こちらを……いや、私のプリンをチラチラと見つめていた。
「……いる?」
「いいの?!」
私はそんなパルナちゃんの瞳に抗えるわけもなく、パルナちゃんに私の分のプリンを差し出した。
「あ、こら!そんなおやつ食べちゃすぐお腹いっぱいになっちゃうでしょ」
「えー、いいじゃん!」
モールさんの静止も聞かず、あっという間に私の分のプリンを食べ終わったパルナちゃんはゆったりとカップに注がれた飲み物を飲みはじめた。
「はぁ…ごめんなさいね。また今度レグナでの美味しい食べ物、あげるわ」
この国でのおいしい食べ物……どんな食べ物なんだろう。食堂で食べるものも美味しいけどいまいちなんの具材が使われているのかわからないし、待ちで食べ歩きなんて言うものもしてみたいな……刺される可能性もあるけど…。
人間の丸焼きなんていう料理がないことを祈りながらもモールさんに『ぜひ!』と元気よく返事をしておく。
「レグナではね、『ビブルプの丸焼き』が大人気なんだよ!」
び、『ビブルプの丸焼き』…?
どんな料理なんだろ…。肉系かな?肉系だとしたら何の肉なんだろ…。お姉さん、ちょっと怖いかなぁ…。
そうしてモールさんとパルナちゃんとともにのんびりとお茶会しているとコマの話になった。
「コマちゃんの尻尾はどうして丸まったままなの?お病気?」
パルナちゃんはコマの尻尾を真っ直ぐに伸ばそうと撫でながら心配そうに聞いてきた。
私も昔気になって調べたなぁ……確か長い歴史の中でそうなったんだっけ?
「コマの犬種はね、とっても長い歴史があるから段々変わっていったんだよ」
「へー…コマは豚さんなのかと思っちゃった!」
「くぅん?!」(ぶ、ぶた?!)
「あはは…確か豚のしっぽが丸まるのも似たような原理だった気が…」
「わん!」(コマは豚さんじゃないよ!)
コマの尻尾を興味深そうに見つめるパルナちゃんとモールさん。モールさんも気になっちゃうんだね…かわちい…。
コマをみんなでわちゃわちゃしていると凄まじい地響きとともに何かがこちらに猛スピードで向かってくるのが見えた。
「え?!な、なに?!」
困惑する私を他所に他のみんなは一気に戦闘態勢に入る。
猛スピードで向かってきた何かは私の前でピタッと止まった。
砂埃が立ち込める中よくよく見てみると何かの正体はルンさんだった。
「る、ルンさん…?」
「……ぃの」
「へ?な、なんて」
「何よあの美味しいのぉ!!!!!!!!!」
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