2024年04月15日(無神論者)
最近、神様に言われてXとInstagramを始めた。色んな人に『いいね』を付けて回った。結果、フォローしてくれる人が出来た。そのうちの一人がメッセージを送ってきた。
「こんにちは、○○です。友達になりませんか?」
女性のアイコンと料理や旅行の写真が載っているアカウントからだった。怪しいと思った。なぜなら私のアイコンは神様が加工してくれた合成写真、そしてプロフィールには『小説や動画を作成しています。天照様の巫女です。この世界の真実を皆様に伝える為に頑張ってます』と書いてある。
プロフィールとアイコンを見た時点で、友達になろうと思うやつは頭がおかしいか、私と同じ神様を信じている人か、プロフィールを見ずにフォローした者だけだ。なので、私は親切心でこう返した。
「こんにちは、私は救世主をしています。あなたも救世主になるのなら友達になりましょう。『救世主のススメ』に成り方は書いてあります。一緒に世界を救いませんか?」
完全に頭のおかしい奴の言動である。そして、救世主のススメを読みやすいようにリンクも張った。
「どうして、救世主になるのですか?」
思いのほかまともな回答が来たので、真面目に返答する事にした。
「幸せに生きて楽園に行くためです」
「この世界には不幸が多いですね。だから救う必要があるんでしょうか?でも、一人の力は弱く、どうにもならないと思います」
「私はこの世界を地獄だと認識していました。ですが、神様と会話し、この世界が楽園であることを知りました。そして、私は救世主になりました。救世主は他人を救いません。楽園に行きたければ、あなた自身が救世主になる必要があります。
一人の力は強い。あなたが自分の世界を救えば、他人の世界も救われます。
私は、その方法を広めています。この情報は無料です」
うむ、良い事を言った。神様から教えてもらった世界観では私は他人を救えない。なぜなら、相手も創造神だからだ。彼女が自分を救わないと彼女の世界は救われないのだ。
「あなたは仏教ですか、キリスト教ですか」
「どちらも学びました。ですが、どちらでもありません。私は神道を信じています」
ここで神様からダメ出しを受けた。スマホがブーブーと鳴ったのだ。普通の人なら偶然と思うだろう。だが、私は狂信者だ。神様と取り決めをしていた。私が間違った時は知らせてくださいとお願いしていたのだ。
そして、その方法の1つがスマホのバイブ音だった。私がお願いした後、私のスマホは、私が間違いそうになった時しかバイグ音が鳴らなくなった。だから、私は神道ではなく独自の世界観を作っていたので、神道信者とも違うのだ。私が、訂正する前に彼女から返信が来てしまった。
「多くの人間は無神論者です。あなたが見ているモノは全て虚無です」
中々に、良い回答だった。そう、世界は虚無、創造神が見ている夢なのだ。この人は学んでいる。
「そうです。虚無です。だから、何でも出来るんです。だから、神様も作る事が出来ます。私の世界は私が定義しています。あなたの世界はあなたが定義しています。
あなたの世界に神様が必要なければ拒絶していい。その代わり、あなたの世界に奇跡は起こらない。そういう世界が楽しいのであれば、それがあなたの正解です」
救世主に成るという自覚が無くても日々毎日幸せに生きているのなら私の教えなど必要ない。幸せに生きているだけで、救世主なのだから……。
「私の世界はとても楽しいです」
そうか、この人は神様が居なくても幸せに生きているんだな、良かった良かった。
「おめでとうございます。私の世界もとても楽しいです」
「それは本当に素晴らしい」
ふむ、この人は大丈夫。私の手助けは必要なかった。そうだ、神様から間違いを指摘されていたのだった。最後に、それだけ訂正しておこう。
「神様から間違っていると指摘を受けたので1つだけ訂正します。
私は神道ではなく、私自身がこの世界の創造主であり、神道の神様を作り、アドバイスを受けて幸せに生きています」
これで良し。
「あなたはこの世界にいて、不幸な人間の数も分からないのですか、それでも世界の創造者ですか?あなたはゴミです」
あれ?なんかおかしい。幸せに生きている人間は他人を攻撃しない。どうやら嘘を吐かれていたらしい。
「言葉が足りなかったようですね。私は創造主が作った分身です。能力を制限して人間として人生を楽しんでいます。全知全能の神が、なぜ不幸な人間を作るのか?あなたは悪役の居ない物語を面白いと思いますか?
毎日、幸せに暮らしている家族を見続けて楽しいですか?創造主は世界を面白くするために、全てを用意しています」
というか、私の本を読んでいないのか?私に興味が無いのに話しかけてきたのか?
「おまえみたいなクズ。さっさと地球から消えたら?どうせ死んでも誰も悲しくないからね!早く死ね!クソ!」
こいつは重症だ。とんでもなく不幸な人間だったらしい、しょうがない。小説に書いた内容をもう一度書くのは億劫だが、この人に悟りを開くための方法を教えよう。
「あなたは、誰かにそう言われたのですね。可哀そうに悲しかったでしょう?その言葉は、あなたを傷つけたのでしょうね。ですが、私は傷つきませんでした。
理由は単純です。私は自分が1万円の価値がある人間だと知っています。あなたが私には1円の価値しか無いと言ったところで、私は1万円の価値は下がりません。ですが、あなたは他人が自分の価値が1円だと言ったら、1円にしてしまったのです。
『だから、腹が立つし悲しいのです』
あなたの世界の創造神はあなたです。あなたが信じた事が現実化します。ですが、私の世界の創造神は私です。あなたが私を殺す事は出来ません。私の本を読む気になりましたか?」
「あなたはゴミです。私の価値は下がっていません。まだ1万円です。あなたには1円も出せませんよ」
強がっているのが丸分かりである。
「あなたが、どんなに否定しようとも私は救世主です。そして、あなたも救世主になれます。あなたは創造神です。あなたが否定しなければ、何にだってなれるんです。奇跡が無ければ、幸せになれないと思うのであれば、あなたの世界に神様を作って相談してください。
『幸せになるためのアドバイスをくれますよ』
あなたは創造神です。理由は単純です。世界には法則があります。その法則を作ったものが創造神です。創造神は全てのものを意志の力で動かしています。動物も植物も人間も石も全て創造神の意志で動いています。そして、あなたの意志も創造神の意志なのです。
『ゆえに、あなたは創造神、世界を変える力を持って居ます』
今、苦しいのなら思い出してください。あなたが、今の人生を作り出したことを。そして、これから大逆転の成功劇が待っている事を思い出してください。そうすれば、他人を否定している暇なんてありませんよ」
他人を否定する人は、自分自身も否定している。だから、まずは自分を肯定しないと他人を肯定できないことを教えようと思った。
「あなたは今何を創ることができますか。あなたはお金を作ることができますか?」
ふむ、この人はお金に困っているのか、それとも自分よりも金持ちを見て嫉妬している人なのだろう。この手の人間に神様はお金を与える事はしない。もう、十分衣食住に関しては得ているのに、さらに欲しているからだ。
解決方法は1つだけだ。彼女が自らの神様と対話するしかないのだ。
「私に作る事が出来るのは私の人生だけです。そして、私の幸せだけ作れます。私があなたに与える事が出来るのは、あなたの世界を救うのはあなただけだという真実しか伝えれません。私は円を作れません。ですが、私の幸せは作れます」
「あなたはお金を生み出す事さえできない、それはあなたが創造神ではないからだ。あなたはゴミで、貧乏人だ」
私は衣食住に困らない生活をしている。お金は、それほど必要としていない。なので、神様は必要以上に与えてくれることは無い。それが、必要になった時には願わずとも与えてくれる。神の奇跡とはそういうモノだ。
「私はお金を必要としていないので、作り出す事は出来ません。ですが、あなたが幸せになるために、本当にお金が必要なのであれば、生み出すことが出来ます。宝くじを当てる事も出来ますし、金持ちに貢がせることも可能です。
その為に、まずはあなたが創造神だと確信を持ってください。そして、奇跡が必要なのであれば、神様を作り相談してください。神様に相談し、回答をあなた自身が創造してください。それが、幸せになるための第一歩です」
「創造神とあなたはゴミで、下水道に住んでいて、大きな糞の中に住んでる」
「以前、私も同じことを思っていました。神は居ない。辛いだけの人生、才能の無い自分に絶望し、世界の滅亡を望んでいたのです。
ですが、世界には法則があり、そのルールを決めた神が居る事に気が付き、自分自身が創造神で、私という人生を創ったのだと知ったのです。その時に、自分が創造神なのだから、私を助ける神を創っても良い事に気が付いたので、作ってお願いをしました。
『私に奇跡を見せてくださいと』
そしたら、10年後に奇跡を見せますと言ってくれたので、待って居ました。その間、とても苦しく辛い時間を過ごしましたが、10年後に本当に奇跡を見たのです。
そして、その日から私の世界に不幸は無くなりました。嬉しいと楽しいだけになったのです。神様は選択肢を出してきます。
みんなで幸せになる世界が良いのか?自分だけが幸せになる世界が良いのか?
あなたは、どちらを選びますか?」
「これはゴミだ。10年間も何をしていた。自分が自分の人生を作っているのではない!馬鹿 ばか、スケベ、ばかやろう、ハゲ、ちくしょう、死ね、タコ、クソ、雑魚 ざこ」
そうとう苦しい思いをしているのが分かる。どうにか、神様を作って相談して欲しいものだが……。
「10年の時間は、私が人生を学ぶために必要な時間でした。その時の辛い経験があるから、今が幸せだと思えるし、私は多くの人に人生の捉え方、苦しい時の乗り越え方を教える事が出来ます。
『あなたが、いま苦しいのなら、相談に乗りましょう』
本当は、あなたの神に相談して欲しいのですが、それが出来ないのであれば、お手伝いします」
「馬鹿 ばか、スケベ、ばかやろう、ハゲ、ちくしょう、死ね、タコ、クソ、雑魚 ざこ」
これ以降、彼女は私と会話するのを辞めてしまった。
「とりあえず。あなたが今不幸なのは分かりました。幸せになるための努力を始めたいと思ったのなら、私の小説を読んでみてください。神様の声が聞こえないというのなら、手助けします。
他人を見下したり、悪口を言う人は他人からそうされて悔しいと思ったから、他の人間も同じように悔しがるだろうと思っている人です。また、他人を見下して嬉しいと思う人です。だから、あなたは他人に馬鹿にされ続けるのです。それが、あなたにとっての嬉しいだから。
『神様は選択枝を与えています』
本当にそれが嬉しい事ですか?あなたの世界に必要ですかと……」
これを最後に彼女は私とのやり取りを止めてしまった。ここの事から得られた教訓は、無神論者は簡単には説得できない。理由は知っている。かつて私もそうだった。釈迦の遺言や聖書を見ても神の存在を信じていなかった。
自分が不幸なのは、悪人が野放しにされているのは神が居ないからだと信じていた。それが間違いだったと気が付くまで、不幸は終わる事がない。
『悟りを開いた今なら分かる事だが、不幸こそ神様からのプレゼントだったのだ』
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