第42話 つんつん 過去編①
「ゆず、ママの手離して走っちゃ、め!でしょ」
「そうだぞー、ママの言うことは絶対。
ママの言うこと聞かなかったゆーちゃんは今日、お帰りかなぁ」
翔の元に走ったあたしに直ぐに追いついたママはあたしを抱き抱えるとおでこに軽くデコピンする。
あたしはおでこを抑えた。
翔のママが頭を撫でながら笑う。
この人はいつも笑ってるイメージがある。
「これななの!」
「おれの!」
「しょーくん〜、ななちゃん〜喧嘩はダメよー」
怒るとママより怖いけど!
「だって、しょー貸してくんないんだもん!」
「ななもだろ!」
「ふーん、仲良く出来ないなら捨てるよ?」
「...」
あたしは一人っ子だからおもちゃは全部あたしのものだけど、兄弟がいるとそうじゃないみたい。
「なな、つかっていいよ」
「しょーいいよ」
譲り合う二人、少し苦笑い気味だ。
「あやせちゃんは?」
「今、パパとお昼寝してる」
あやせお姉ちゃんはおひるねか。
今、何時だっけ?
「あれぇ?おひるねかなぁ?
ねんねする?」
「うん」
「しょっかぁ」
あくびをするとママは優しくナデナデしてくれる。
あたしは小さく頷き、目を瞑った。
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「あら、しょーくん、ゆずちゃんのことツンツンしちゃって、好きなの?」
「うん」
ママに抱っこされ、眠る柚葉を見た翔はママに抱っこをせがみ、抱っこされると柚葉のほっぺを指でツンツンした。
「おっきくなったらよろしくね」
「うん」
そして、さりげなく恵に将来を託された。
ーーゆずは、やわらかい。
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