第28話 雑談
「キャッチボールってさ、やっぱり硬球だと痛い?」
「私とやる時は結構軽くやってくれるよね」
コンビニの駐車場にて、各々買ったものを食べていると俺を挟むようにして、立つ英玲奈と絵里が視線を向けて来る。
「絵里に140以上投げるわけにはいかないしな」
「えりち、シニアだっけ?そこでやってたから捕れるんじゃないの?」
「いやぁ、同じシニアにそんな子いなかったからね、弱かったから私のいたとこ」
俺と絵里は同じチームでやったことはない。
対戦したことはあるが俺のチームは全国常連の名門だったからほとんどコールド勝ちだった。
「一之瀬って、ポジションどこ?」
「ショート、肩は結構自信あったから」
「リトルとか入ってた感じ?」
「うん、一応ね、そこもめっちゃ弱いけど」
「強いとこ行こうとは思わなかったん?」
「女の子だと強いとこじゃ試合出れないからね。
それに私、パワーないし」
「あー、それだとキツイな」
「うん、だから今はマネージャー」
「いい判断じゃね」
「多分ね」
輝の質問に答える絵里はかなり謙遜しているが怪我する前の絵里は女子ならかなり上手い方だった。
特待で何校か誘いがあるほどに。
残念なことに怪我してなくなったらしいが。
「椎葉はやっぱりずっと凄かったん?」
「世代別日本代表には2回呼ばれてるし、小学5年生でウチの学校に特待で来てくださいって言われたくらいには。
ちなみにずっと全国常連チーム」
「すっげ」
「やっぱり全額免除?」
「親に聞いてみないとわからないけど、多分そうじゃない?」
「やば」
英玲奈は身長こそ低いものの持っている才能は日本の宝と呼ばれる程に突出しており、将来日本代表として、プレーするのを確実視されているほどだ。
「ちょっとトイレ」
「水野も含めてお前らって中学からじゃん。
やっぱり、ずっと仲良いわけ?」
「俺と英玲奈はそうだな」
「席隣だったもんね」
「何度怒られたことか」
「お互い様でしょ」
「だな」
海がトイレに駆けて行くと浅野が問う。
ーー思い出すな、入学式の日。
英玲奈も同じことを思っているんだろうか。
俺たちはニッと笑い合う。
「私は二年生で初めて同じクラスになったから二年生からだね」
「絵里と海はそうだな」
海は英玲奈と仲が良かったから比較的早めに打ち解け、休みの日や放課後に遊びに行くような仲になったが絵里は最初から仲が良かったわけじゃない。
仲良くなったのは夏休みが明けた頃だ。
「何の話してんだ?」
「中学の頃から仲良かったかって話」
「アタシと翔は球技大会だったな」
「だな」
海の言う球技大会は英玲奈が体調不良で欠場して、俺と海がチームを纏めた。
これが海と俺の仲をかなり深めたきっかけだな。
「相良、お前前世でどんだけ徳積んだんだ?」
「さぁ」
「翔みたいな人生面白そう」
「楓も十分面白いだろ」
「そうかなぁ」
「そうだよ」
まぁ自分でもかなり良い人生だと思うが楓も負けず劣らずだと思う。
だって、楓の家めっちゃ金持ちだし、楓も妹もお母さんもめっちゃ美人だし。
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