ワタシの事が嫌いなキミに、すべてを奪われるシナリオ

双葉音子(煌星双葉)

第0話 僕が好きだった君に、すべてを狂わされるプロローグ

「えっと、その。好きだから!付き合って!」


 2年前のある日。中学生だった僕――椎名しいな燦葉あきはは、ずっと好きだった幼馴染の女子に告白した。

 だが、僕は物語の主人公じゃない。この告白が上手くいくだなんて思ってない。


「……ごめんね」


 結果は予想通りだった。僕は振られた。

 それだけなら良かった。良かったんだ。


「私、彼女いるんだ」


 その一言だった。悲しみが、怒りに変わった。

 もし、彼女が同性愛者でなければ、付き合えたかもしれない。そんな勝手な妄想からだと思う。

 余りにも我儘な考え。今は多様性を尊重する時代。僕は淘汰されるべき存在だろう。でも、それを可怪しく感じる。


「でも、私達は友達だから」


 よくもまぁ、そんな都合の良い言葉が出てくるな。お前なんか消えろよ。

 ついさっきまで好意を向けていた相手に、そんな言葉をぶつけたい衝動に駆られた。

 僕は、何も喋らなかった。喋れなかった。

 そんな愚者を置いて、時間と共に彼女はその場を去ってゆく。

 その日から、僕は女性同士の恋愛ゆりに対して、嫌悪感を抱くようになった。

 それに加え、クラスの女子からイジメを受けた。これでも女性を苦手にならないという人間がいるのならば、是非会ってみたい。

 そうして、彼女と再び言葉を交わすことは無く、僕は卒業した。


 時は経ち、高校生となった僕は、小説を書き始めた。

 それは、花々を枯らす――。

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