第6話 夢
彦徳は夢を見ていた。
誰かに追いかけられている。
それももの凄く近い距離で、首筋に相手の息がかかる程だ。
とにかく必死に逃げる。
場所は学校で、廊下から階段を降り、踊り場で折り返す際に目の端で相手が少し見える。それを何回も繰り返す。
絶対に手が届く距離なのに、捕まえたり殴ってきたりしない。それがまた不気味で彦徳はずっと逃げる。
しかし、全力疾走は長く続かない。
渡り廊下付近で諦め、足を止めようとした。
その時、急に口の中が血生臭く感じ、気がつくとベッドでうつ伏せになった状態で目が覚めた。
枕は血だらけだった。
どうやら口の側面を噛んだか何かで、血が出ていた様だった。彦徳は怖い夢から覚めてよかったという感情と、口の中が切れて痛い不快感が混じった、なんとも言えない気分になった。
「チッ」
舌打ちの様な音がすぐ後ろで聞こえた気がした。
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