第381話

大成功!!

千代と共に開発した新技炸裂!!

五十騎ばかりの騎馬武者を一網打尽にしたのは、遠当て+威圧+幻術の合わせ技だ。

遠当てというのは「遠当ての術」を指す。

漫画や小説・アニメなどに出て来るような相手に触れずに倒したり投げ飛ばす術ではない。

まぁ開発の前段階でアニメやゲーム、漫画なんかに出て来るような、か〇〇め波とか波〇拳とかみたいな物は仙術には無いのかと聞いたら、「そんな物は無いのじゃ」と即答された。

しかし、前世で読んだか観たかした某有名漫画のストーリーを語って聞かせると千代が興味を持ち食付いた。

そして、どうすれば触れずして敵を倒せるかを二人して時には嫁たちを交えて考えに考えた。

威圧は相手に殺気を当てる事で威圧する事が出来る訳だ。

そこに合気道の「遠当ての術」を混ぜる。

相手に触れないで相手の攻撃の動きを止める攻撃技と言われるだけあって相手を気の力で威嚇する。

遠当ても威圧も似た様な物なのだが、込める物が違うので重ね掛け的に相乗効果で相手にかなりの衝撃を与えることが出来る様だ。

これだけでも相手は衝撃を受け硬直するのであるが、ここに幻術を混ぜる。

今回は相手の首を刀で斬り飛ばしたイメージを相手に見せる。

そうするとあら不思議、本当に首を飛ばされたと思って大概の者気絶する。

これは何度も野生の動物とか野盗何かで実験したので間違いない。

しかし、威圧に怯まず、遠当てに中てられない者には不発に終わるが、そんな強者はほんの一握りだから殆どの者が一発で意識を刈り取られる。

今回は全員がそれに中てられて気絶した。

馬上で気絶したから大怪我した者が多いし、打ち所が悪ければ死出の旅路に旅立った者も居るのかもしれない。

勿論、馬と人間を別けて掛ける事など出来ないので、馬も絶賛気絶中だ。

あの先頭で叫んでいた江川太郎何とか君は運よく大怪我を免れたようだが、気絶までは防げなかった様で、倒れ伏している。

打撲等はしているかもね。

この技を出来るのは今の所俺のみなので、開発協力してくれた千代も悔しがっている。

千代曰、出来る気がしないというけど、「諦めたらそこで終わりですよ」とある有名な指導者のお言葉を教えてあげたので、絶賛練習中だ。

嫁たちの中では春麗が近い事は出来る様になったけど、気絶までは至らないので同じく悔しがっている。

春麗の場合は昔から得意な幻術は完璧なんだろうけど、他が今一なんだろうね~

チラリと豊臣方の陣を見れば、お猿さん(豊臣秀吉)たちが騒いでいるようだ。

今回、俺の事を見世物としようとしやがったので意趣返しと言うか何と言おうか、ある物を持ち込んで見るなら見ろと言う感じで渡している。

言うなれば、今後、商品として売るから言い値で買ってね!!というアピールの場として有難く使わせて貰った。

何を持ち込んだかと言うと、望遠鏡と双眼鏡だ。

カブラルのおっさんの眼鏡見て思い出した。

丁度良い事に欧州に行くこととなったので王様の伝手でレンズ工房を紹介して貰い、交渉して弟子を送り込み技術を覚えさせ更にその者たちが開発して出来上がった物で、最近、俺の所の貿易船に乗せられてやっと送られて来た。

ヨーロッパでも馬鹿売れらしい。

次代の針を少し先に進めてしまったのかもしれない。

サークルアイの社名に相応しい商品だろ?

さて、そんな望遠鏡と双眼鏡は小田原征伐時に諜報で試験運用してから朝廷に献上し売り出す予定だったけど、軍需品として考えれば丁度それを欲しがりそうな連中にプレゼン出来る良い機会だと思い、お試しで貸し出している。

長門守たちはまだ秘匿したそうだったけど、こういう物は売り出して何ぼだし、諜報用には確りと性能が上の物を用意しているぞ。

技術者たちには次は倍率調整出来る物を開発するようにと発破をかけている。

取り合えず、お猿さんたちの方に向かって手を振っておいた。


「お!お猿さんが慌てふためいておるな~」


可成りの距離があるけどその位の確認はできる。

これも仙術の一つで、「千里眼」とか「遠視術」とか「鷹の目」とか呼ばれる術らしい。

用は遠くが良く視えると云ったところ。

要領は気を目に集中させて見るだけと中々に簡単な様に感じるけど、気を一所に集めたり留めるのって中々に難しい。

藤林の諜報員に便利なので覚えさせたが、出来るようになった者は一割も満たない。

そんな事をしている間に韮山城の城門が閉められた。

韮山城は典型的な平山城で、丘陵に沿って縦に曲輪が連なっている形状の城だ。

小山を利用して池や川を取り込み自然を存分に利用したその城は確かに攻め辛いとは思うが、正攻法でない方法で攻めれば難なく落とせそうな気がする。

しかし、今回の一人攻めでは敢えて正攻法と言うか何と言うか、ある程度は相手をしてから城を落とそうと思っている。

行き成り忍び込んで助五郎(北条氏規)に後ろから刀を突き付けるとか、後で卑怯だ何だと訳の分からない文句を言う輩が出ない様に、ある程度俺の力を見せつけるつもりでいる。

この計画を話すと、今回連れて来たメンバーの殆どが呆れ返っていたが、美羽・春麗

・長門守は付き合いも長いので、俺らしいと言って笑っていた。

意外だったのが、長門守の息子・藤林長門介保正は目を輝かせて「楽しみです!!」と言っていた。

そんな彼に助五郎への伝言お願いしたんだけど、まさか忍び込んで寝所で伝えるとはね~

流石忍者と言うべき?

普通に城門で取り次いでもらい、伝言して来てくれれば良かったとは今更言えなくて、満足そうに「ご苦労!!」と言っておいたよ。

さて、倒れている北条方の者たちは死んでいる訳ではないので、配下の者たちに救護を任せますか。

そして、俺は城攻めの続きをする為にゆっくりと城門を目指した。


〇~~~~~~〇


「遠当て」とは漫画やアニメ・小説等々では剛拳の風圧による衝撃波によって、離れた間合いから相手を攻撃する技だったり、二重〇極みの応用で、両刃の直剣を地面に突き刺し地中に二〇の極みを伝導させることで、間合いの離れた相手に衝撃を与える技だったりと、兎に角相手に触れずに衝撃を相手に伝える技の様に書かれていることが多いので、「遠当て」とか聞くとそのような技を連想する方が多いのではないでしょうか?

それって・・・物理法則なんて完全無視してないか?と言う様な神業ですが漫画なんかでもよく出て来る技ですね。

合気道にも「遠当て」という技があるのはご存じでしょうか?

漫画やアニメのような神業ではありませんが、かなりの高等技なのは間違いないようです。

相手に触れないで相手の攻撃の攻撃技となり、気功師が使う気功と似たようなものなのかもしれませんが、声を出さなくても「遠当て」の技をかけられるらしいので、驚かせてとかそういう物ではないようです。

合気道の話となりますが、人が前に出ようとする瞬間、兆として気がでるそうです。

そのタイミングでこちらも相手に気当てすると相手が一瞬硬直する。

それが合気道の「遠当て」の正体らしいのですが、相手の気を読みタイミングを合わせるだけらしいのですが・・・

出来るか――――――!!

ぜぇぜぇ、はあはぁ・・・

まぁ常人には難しいようです。

修験道にも「遠当て」と同じような秘術があるそうです。

「不動金縛りの術」という名前の術らしいのですがご存じでしょうか?

修験者の秘法の一つで、不動明王の持つ羂索けんさくによって悪魔を縛る術と云われています。

転じて、人を自由に動けなくする術を指しますが、修験者は手印を組み、真言を唱え、気合の一閃として「エイ!!」とか「やー!!」等の掛け声で相手の体を金縛りに常態にするようです。

この物語では相手を死に至らしめる様な技としては出しておりませんが、中国には百歩神拳という伝説の技があり、百歩はなれたところから相手を殺すことが出来るそうです。

少林七十ニ芸 秘伝の一つと云われますが、結構眉唾物でもあると思いつつも、ロマン技だな~と思います。

ああ、もし仮に覚えた方が居たとしても、危険ですから人に向けて打たないように注意致しましょう!!

望遠鏡・双眼鏡の話も入れたかったのですが長くなりそうなので次回にでも!!

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