剣豪にて候~転生したら丸目蔵人佐になっちゃいました!!~(仮)
生虎
第1話
俺はどうやら死んだようだ。
何で死んだかは覚えていない。
大往生だったのか事故死だったのか病没だったのか・・・
次に気が付くと時代劇で見た様な恰好をした女性に抱かれている。
こちらを覗き込むようにニコニコ顔で眺めているがどうやら俺はこの女性に抱きかかえられている?様である。
周りを見渡すと昔に行った田舎の婆ちゃんの家よりも古めかしい。
そして、明かに自分の体のサイズが小さいようだ。
死んだ後にこれってことは・・・どうやら俺は赤ん坊の様だ。
何か言おうとするが声帯も舌も十分に育っていないので「あ~」だとか「う~」だとかしか喋れない。
まぁ赤ん坊が行き成り「ここは何処だ?」とか言ったら変な目で見られるだろう。
お釈迦様は産まれた瞬間に立ち上がり「
聖人に失礼か・・・可笑しくなり笑ったと思うと「キャッキャ」と赤ん坊の笑い声になる。
まぁ今の俺にはお釈迦様の真似は無理なのが理解できた。
そうこうしていると髭面の小汚い男が部屋に入って来た。
俺の母らしい女はニッコリと微笑みその男に語りかける。
「あなた見てください、山本家の跡取りですよ」
髭面の男はどうやら俺のパパさんのようだ。
確定だな・・・どうやら俺は大昔の日本の何処かに転生した。
そして、山本さん家の子供になったようだ。
早い物で7歳になった。
7歳までは神のうちと言うが神様の様に大事に育てられたイメージは無いが虐待も受けていないのでこの時代では大事に扱われたのかもしれない。
7歳までに色々と知る事が出来た。
どうやらここはMy故郷の熊本県、今は肥後国の八代郡と言うらしいがそこらしい。
名前から前世の熊本県では県の第二都市の八代市辺りだと思う。
時代を確認する為にもNEWSには敏感で居る様にしている。
情報ソースはほぼ親父。
2年前に管領の細川晴元が京を焼いただとかいう話を聞いたので戦国期だと思われる。
去年足利家の新しい将軍様が決まった噂を少し前に親父の食事の席での話題で聞いた。
名前を
俺の知る戦国期の将軍と言えば足利義輝なのだが義藤とか知らない名前だ。
若しかすると俺の知らないパラレルワールド的な戦国時代なのかもしれない。
戦国時代と言っても俺の知る歴史と違う世界に来た可能性を考えるが将軍の名前から多分間違いない。
この名探偵様の冴えた推理で全ての謎が解けた。
ここは俺の知る日本の戦国時代に凄く似ている別世界だ!
将軍の名前が違うだけで殆ど同じな俺にとって都合の良いご都合主義的な世界でパラレルワールドなんだ!!
おっと、そんなことや京都のことは一先ず置いておこう。
将軍の名前は違ったがこれだけ似た世界だきっと居るはずだ。
熊本と言えばクマモン!!
違った・・・剣豪、
またの名を丸目
前世では彼の
俺の通っていた道場の爺様がよく彼の武勇伝を聞かせてくれたものだ。
爺様の口癖は「郷土の誇り」だったな~
多分、近くで産まれている筈なので如何にか知り合って仲良くしておこう!!
世に言う先物買いと言う奴だな。
これぞ前世が未来人の歴史チートですよ!!
丸目蔵人佐とマブダチになるのが俺の今世の目標だ。
そう言えば俺の名前を名乗って無かったな。
誰に?それは勿論これを見ている者たちにだ!!
俺は
この年になっても母の名前は知らないが・・・
親父は「おい」とか「おまえ」としか母の事を言わないし、俺も「かくさん(熊本の方言で母)」としか言わない・・・
それで通じるので言う必要もないと言うのが我が家の方針だ。
それで良いのか?山本家・・・
俺は
話は変わるが、数日前に夜中に忍び込んで来た泥棒をブチ殺してやった。
7歳児がやることか?と思うかもしれないが、この時代では泥棒・野盗の類はGと同じ存在だ。
見つけたら速やかに処すべし!!
今はまさに
親父も母も大喜びで褒めてくれた。
特に親父は「よくやった」と言いながら「長には武の才がありそうだな」とか言っている。
偶々夜中に催して便所に向かおうとしたら忍び込もうとした泥棒を見つけ巻き割り用の斧を持ち出してこっそり後ろから脳天目掛けて振り下ろしただけである。
完全に油断していた泥棒は呆気無く脳天を割られて死んだだけ。
前世で熊本産スイカを使い鍛えたスイカ割りの妙技が予もや今世で活躍しようとは何が功を奏するかは解らんものだな。
それにしても、武の才?多分、近くに本物の武の才のある神童がいるはずだから俺の事をあまり褒めていると後々恥掻くだけだよ親父殿。
それにしても周辺には「丸目」と言う苗字の者は居ない・・・
まだまだ子供で行動範囲が狭いので知らないだけだな・・・是非とも丸目君とは仲良くしたいものである。
そんなことを考えていると昔取った杵柄、久しぶりに剣術をしたくなった。
庭先で棒っ切れを振り回してタイ捨流の型を練習する。
タイ捨流の基本の構えは至ってシンプル。
「右半開に始まり左半開に終わる、すべて袈裟斬りに終結する」と言われる構えを取る。
簡単に言うと、半身になり袈裟切りを行うのである。
示現流の基になったと言われる流派で一撃に重きを置くのである。
一心不乱に同じ型を繰り返し繰り返し続けるがまだ小さい体では体が流れて上手く振れない。
流石は7歳児である。
ムキになって続けていると、視線を感じる。
振り向くと親父が見ている。
「長よ、剣術か?」
「父上」
「続けよ」
そう言うとじっとこちらを見ている。
小声で「やはり長には才能が」とか言っているが本当に止めて欲しい・・・
何故か親父が俺に剣術を教えだした・・・
まぁ一応武士だし健康の為にも鍛えておくことに損は無いだろう。
そして、字の練習などをさせられるようになった。
偶に親父が「長はお釈迦様の生まれ変わりじゃ!!才能の塊じゃ!!」と言うのは止めて欲しい。
産まれて直ぐに叫んでないしこれは前世の記憶のお陰なのだから恥ずかしいからやめてくれ~
それにしても崩し字難しいな・・・ミミズの這いつくばったような字で人によって癖がある。
何書いているか正直言って理解できない。
多分、練習して行けば読めるようになるだろう。
感じろ・・・違った・・・慣れろだ!!
そして月日は流れ14歳となりもう直ぐ15歳となる。
未だ丸目君を見つけられていない・・・
「俺、剣豪丸目蔵人佐の幼馴染なんだぜ~」と言う計画が脆くも崩れそう・・・いや、もう崩れているな。
少し遠出したりして探して回ったが丸目何某さんは何処にもいらっしゃいません。
そうこうしている内に15歳となり
そして、この年に俺は重大な事実を知ることとなった。
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