神話の勇者の次は宮廷魔導士、その次は?
鋼音 鉄@高校生
第1話 追放とは別れ、別れとは新たなる出会い
ルビエル王国王城、ある部屋でつまらなそうな顔をした女性と、美人の女性を侍らせてある男が其処に居た。いや、正確には他の者達も居たのだが。
「ルビエル王国第五王子、シャルネント・ルビエルとして命じるぞ!お前を宮廷魔導士会から追放し、二度とこの城へ入る事を禁じる!」
「分かりました」
つまらなそうな顔をした女、私は王子の言葉を完全に聞いた後、自身の足元に魔法陣を展開した後、青空に転移する。
「あー!こんなに綺麗な景色を堪能できるなんて…………何年振りだろ」
私は青空の綺麗な景色に、どうしても顔から笑みが溢れてしまう。此処数百年はルビエル王国の宮廷魔導士会の会長をやってて、最近の数年は一般宮廷魔導士になってたとは言え、忙しかったのには変わらないからねぇ。まぁ、勝手に出てきたのは、
「よーし!それじゃあのんびり旅をしようかな!」
私はそんな事を口にした後、上空から地上へと降りる。私が降りた先には大きな草、つまり草原が広がっていた。何処まで続いてるんだろ…………もしかして此処って
思い立ったが吉日って言うしね!レツゴー!私は少しの力を込め、平原を走り抜ける。ふふ、最近はこれも出来なかったけど、久しぶりにやったら気持ちいいね。…………いや、気持ち良いのは元からだっけかな?うーん、よく覚えてないなぁ。私って、年齢的にはもうお婆ちゃんだからね。なんか言ってて悲しくなってきた。
『此処から離れなさい。弱き者よ!貴方がいて良い場所は此処では無い!』
「弱き者…………?私の事?」
『それ以外に誰が居るというのですか!?』
「ふーん、そっか。まだ居たんだね」
『…………………?』
「私を弱者と評価する愚か者が」
私は少し殺気を生み出し、此処一帯に開放する。魔力に住む精霊達の、草木達の、そして目の前に居る狼の悲鳴が聞こえてくる。やっぱり弱いね。あの時代ならこの程度の殺気は耐えれたんだけどね。この時代の者達じゃあ耐えれないか。
「その殺気、抑えてください。ミネリア」
「ふふ、ごめん。ちょっと遊び過ぎたね」
「遊び過ぎたって…………まぁ、良いですよ。何の用件ですか?」
「久しぶりに会いにきたんだよ」
「そうですか、奇遇ですね。私も久しぶりに話をしたいと思っていましたから。来てください」
『お母様!?こんな得体の知れない奴を住処に入れるのですか!?始末した方が………』
「貴方では殺せませんし、私でも殺せませんよ。それに、この方の正体は分かっております。
『こ、こんな奴が!?』
こんな奴って……………酷くない?まぁ、さっきの行動は割と軽率だったとは思うけど。というかね、狼ちゃん。勇者って割とロクなのがいないよ?今代の勇者は快楽主義者だし、前代勇者は魔法主義者だし。勇者に夢を見るなんて間違いなんだよ。
「というか、ミネリア、貴方はこんな所に居ても良いので?確かこのルビエル王国の宮廷魔導士会の会長をやっていたみたいですが…………」
「それねぇ、昔の事だよ。3年前くらいに会長を引退したんだよ。まぁ、その後も宮廷魔導士は続けてはいたんだけど、今日宮廷魔導士会を追放されちゃってね」
私が今日あった事をチャルに言うと、チャルは驚愕したような顔で固まってしまった。確かに私もこんな事を言われたらこうなっちゃうよ。私の強さを知ってるから身をすれば余計にね。
「それをしたの、誰なんですか。あの国王と王妃ではありませんよね?」
「そうだね、あの二人じゃないよ。態々バカをやる訳が無いじゃん。やったのはあの二人の息子、シャルネントだね」
「なるほど、あの若者ですか…………まぁ、あの二人から本当に生まれたのかと思う程にバカでしたからね、いつかはやらかすと思ってましたよ」
私はチャルのその言葉に苦笑いをしつつも、心の奥で頷いておく。私って数年前まで宮廷魔導士会の会長をやってから、王族達と居る機会もあったんだけど………………王族としての責任を感じていない、民を大事にしようとしない。なのにプライドだけは一丁前に存在している。あのバカがいるなんて、大変そうだなぁ、私はあの二人に同情を抱えながら、目の前に出されてあるお餅を食べる。
「これ、美味しいね。確かヒエンの国の食べ物だっけ?」
「そうですね。ヒエンからプレゼントとしてもらいました。また今度会ってみたらどうですか?」
「気が向いたら会うよ、気が向いたら、ね」
「ミネリア、あなたって人は本当に…………」
「だってあそこは今、ヒエンとイカヅチで戦ってるじゃんか。やだよ、雷と炎が常に存在している戦場に行くの」
「私たち星戦時代の英雄たちではあなたが一番強いではありませんか」
「確かに一番強いけどさぁ………………完勝は絶対と言っていいほどにできないじゃんか」
私の言葉に、チャルは大きなため息を吐く。そもそも、そもそもだよ?私は利益のない戦いはしない主義なんだ。
「それにねぇ、あの二人がいる戦場に行ったとして、私が行ったら止めることになるでしょ?なんで態々戦いを止めに行かなきゃいけないわけ?私たち超越は長いきなんだから気にしなくて良くない?まぁ、厳密には不老長寿だけど」
「はぁ、わかりましたよ。貴方がトウセンに行きたくないのは理解しました。話を変えてこれからの話をしましょう。貴方、宮廷魔道士をやめたのなら、次はなんになるつもりですか?」
「なんになるんだろうね。私って特にそういうのは決めてないから」
「そうですか、ならば貴方に提案があります。_______になりませんか?」
「うえっ!?私にできるかなぁ…………」
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