第46詩「おとなになりたい女性とイブの精霊」恋愛詩🌟2021年ココア共和国2月号佳作

 クリスマスイブ、背伸びして大人ぶってみる。

 髪を下ろして、メガネをはずし、ターコイズブルーのスーツ。


 真っ赤なルージュ、ハイヒール、香水付けて。

 悲しいけれどいつまでも、子供じゃいられない。

 まだ、信じていたいけど……


 そんな心を見透かされたように、月を隠していた雲が晴れ

 私の目の前に現れたのは、金髪きんぱつ碧眼へきがんの青年。


「あんた誰?」と聞いたら腕引かれ、空飛ぶソリに乗せられていた。

 聴いたことのない国の言葉。言葉は通じないけど、


 その笑顔が少年のようで、もしかしてと胸が高鳴る。

 夜空の散歩はとても、楽しくて時を忘れた。


 知らないのに警戒心は、不思議となかった。ただ、夢なら覚めないでと願う。

 彼は去り際、寂しがる私に額に短いキスをして。


 メリー・クリスマスとささやいた。やっぱりこの人はサンタ?

 私の手に収まっていたのは、小さなスノードームだった。

 私はまた、サンタクロースを信じてみよう。そう思えた。


 そしてもう少しだけ、背伸びはお休みにしようと

 クリスマスの日だけでも、子供の心でいたいから。

 空から粉雪が降りだして、胸が温かくなった。


 ありがとう、私のサンタクロース。おじいさんじゃなかったけど。

 そうきっと、あの人は……

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