筍や 見える大きさ 食べられぬ


たけのこや 見える大きさ 食べられぬ



 筍がにょきにょきと伸びて行く季節ですね。


 それを見ていてふと、かなり昔に地方都市の郊外の山に行って、筍堀りをさせていただいた時の事を思い出しました。


「わーい、わーい! 美味しそうな筍がうじゃうじゃ生えてる~! 

 どれから採ろうかな、ワクワク……。これなんかいいですよね、この土から10センチくらい頭出してるやつ、スーパーで見かける大きさですもんね?」

 と、はしゃぐド素人の私。


「だーめ、そんなの食べられない。もう固くって。

 そうじゃない。もっと探して、若いやつ、若いやつ。」

と、筍堀り名人。


「え? だって、探せませんが? それ以上ちっちゃいのは土の上に顔を出していませんので……。」

と私が戸惑っていると、名人、クワで私の足元を示し、

「これこれ、いま、あんたが踏んでる。こういうのが美味いの。」

とおっしゃるのですが、足元には何も見えていません。


 仕方ないので落ち葉を足でギューッと踏みしめて見ると、ほんのちょっとだけ足に触りました。何かとんがったものが。これかあ、若い筍。これが見つけられるなんて、名人、一体どんな目をしているんだ。


「それ。周りの土を丁寧に掘ってから、クワで一気に切るの。」


とのことでその通りやってみたら、そりゃあまあ柔らかくて絶品の筍が採れましたとさ。



2024/4/25

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