至急、バッドエンドを上書きせよ‼︎

しゃも

第1話

 どこかの部屋の一角で、少女と少年が話をしている。少年の顔は、霧がかかったように思い出せない。もちろん、少女の方も。


「ねぇ…もし、もしもだよ?自分がこの先、何をやっても…辛い結果になるって分かってたら、どうする?」


 少年は、徐に口を開くと、そう訊いてきた。今思えば、少年はちゃんとした回答なんて求めていなかったのだろう。

 だって結果は変わらないから。途中式は、解答欄に必要ない。


 でも少年は質問をする。その結果に納得がいかないから、目を背ける。


「ごめん、変なこと訊いちゃったね。今の忘れて…」


 少女が何も答えないからか、自分でもこんな質問に意味がないことくらい分かっていたからか、少年はそう言った。

 その瞳には、少女が映っているようで、映っていない。


 部屋を、救いようのない静寂が襲う。刻一刻と進む時計の音が、異様に大きく、ゆっくりと響く。


 それでも少女は何も言わない。多分、素直に最初の質問の答えを考えているのだろう。


答えなんてどこにも無いのに…


「…?大丈夫だよ、だって…」


 少女が口を開き、少年の止まっていた時間がようやく動き出す。

 少年の心境を知ってか知らずか、少女の瞳は希望に満ち溢れていた。


 それが更に少年の胸を締め付けていることを、きっと少女は知らない。


 少年は、そらしていた目をようやく少女に向ける。その顔に少し後悔の色が見えるのは、きっと気のせいじゃない。


 そんな少年の顔を、少女は見つめた。そして、かなりの間を置いて、少女は不敵に笑う。






「だってそんな未来、わたしが変えちゃうもん‼︎」




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