至急、バッドエンドを上書きせよ‼︎
しゃも
第1話
どこかの部屋の一角で、少女と少年が話をしている。少年の顔は、霧がかかったように思い出せない。もちろん、少女の方も。
「ねぇ…もし、もしもだよ?自分がこの先、何をやっても…辛い結果になるって分かってたら、どうする?」
少年は、徐に口を開くと、そう訊いてきた。今思えば、少年はちゃんとした回答なんて求めていなかったのだろう。
だって結果は変わらないから。途中式は、解答欄に必要ない。
でも少年は質問をする。その結果に納得がいかないから、目を背ける。
「ごめん、変なこと訊いちゃったね。今の忘れて…」
少女が何も答えないからか、自分でもこんな質問に意味がないことくらい分かっていたからか、少年はそう言った。
その瞳には、少女が映っているようで、映っていない。
部屋を、救いようのない静寂が襲う。刻一刻と進む時計の音が、異様に大きく、ゆっくりと響く。
それでも少女は何も言わない。多分、素直に最初の質問の答えを考えているのだろう。
答えなんてどこにも無いのに…
「…?大丈夫だよ、だって…」
少女が口を開き、少年の止まっていた時間がようやく動き出す。
少年の心境を知ってか知らずか、少女の瞳は希望に満ち溢れていた。
それが更に少年の胸を締め付けていることを、きっと少女は知らない。
少年は、そらしていた目をようやく少女に向ける。その顔に少し後悔の色が見えるのは、きっと気のせいじゃない。
そんな少年の顔を、少女は見つめた。そして、かなりの間を置いて、少女は不敵に笑う。
「だってそんな未来、わたしが変えちゃうもん‼︎」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます