第51話 新しい家族? 大きいフルフルのお腹

「あぅ~!!」


『ぷぴぃ~!!』


『ぷうぅ~!!』


『くぅぅ~!!』


『フルー様。ありがとうございます』


『何、これくらい何ともない。こんなチビども、重さも感じないしな。ガハハハハハッ!!』


 海で起こっている出来事に、いくら避難は完了して、落ち着いてきたとはいえ、それでも父さんも母さんも、他の人達も忙しくしている中。


 今日母さんは姉さんと一緒に街の薬屋さんへ。昨日から姉さん咳が止まらなくて、治癒師に診せながら、もし何かがあって、治癒師に頼れない時の場合に、薬を買ってくるって。他にも何か色々見てくるって言っていたけど。


 父さんとルスは、他に戦力になってくれる魔獣達と、これからについての話し合い。何処を誰が守るかとか、戦闘することになったら誰がどう戦うとか。色々話し合うことがあるんだ。


 あっ、ちなみに。大きいフルフルはフルー、プレルスはルスって、仮の名前で呼ぶことになった。いや、同じ種族が集まっているからさ、差をつけて呼ばないと、みんなフルフルだし、みんなプレルスに。だから仮の名で呼ぶことになったんだ。


 そんなみんなが忙しくしている中、この頃庭に出て遊べていない俺達に。先に色々と、父さんと話しをしていて、話し合いに参加しなくてもいいフルーが、俺達と遊んでくれると。ルスは魔獣達の代表ってことで、話し合いに参加中だ。


 それで俺達は遊び部屋で、普通のベッドの大きさの、5倍くらい変身してくれたフルーのお腹に乗せてもらって遊んでいる所だ。これがとっても楽しかった。


 フルーがいい具合にお腹に力を入れてくれて、誰かがお腹の上でジャンプして着地すると、その反動で周りに居るみんなが一緒に跳ねて。それ繰り返しで、ポヨンポヨンと跳ねて遊びぶ俺達。


 着地に失敗しそうになったり、別の方向に飛んでいきそうになると、カータレットさんが風の魔法で軌道修正してくれる。だから問題なく何回も遊べるんだ。


「うにょお~!!」


『ぷぴぃ!!』


『ぷうぅ!!』


『くうぅ!!』


 最後に鳴いたのは1番小さい、俺に懐いてくれたあのフルフルだ。ここで嬉しい報告がある。俺の相棒として、そして家族として、1匹大切な子が加わることが決定!! 


 そう1番小さいフルフルが、俺達の家族になってくれたんだ。しかもつい昨日、決まったばかりで、家族ほやほやな俺達だ。

 

 昨日の夜、夕食が終わった後、すぐにフルーに、フルフル達が居るお風呂場に呼ばれた呼ばれた俺達。何かと思えば1番小さなフルフルが、父さんサイズに小さく変身したフルーの隣に立っていて。

 そして他のフルフル達は浴槽の縁に綺麗に並んで、入ってきた俺達の方を、心配そうに見ていた。これには父さんも何かあったのかと、すぐにフルーに質問をした。


 が、帰ってきた答えは、心配なことではなく。いや、フルフル達にとっては、とても心配なことだけだったんだけど、俺にとってはとても嬉しいことだったんだ。


 すぐに1番小さなフルフルの話しを聞くことになった俺達。ここへ避難してきて、すぐに俺達と仲良くなって、それで毎日遊んで。1番小さいフルフルはとても楽しかったって。


 でも、楽しかったからこそ、後の事を考えて、とても寂しくもなったって。もし今のドタバタが終わったら、フルフル達は元の住処に帰ることに。

 そうなれば、そう簡単には遊びに来れないから、今みたいな毎日楽しいはなくなるし、せっかく仲良くなれた俺達と離れるって考えると、とってもとっても悲しくて。


 それで1番小さいフルフルは考えた。フルフル達の中で1番小さくて、歳も1番下のフルフル。1番小さいフルフルは1歳だった。その小さいフルフルが、一生懸命考えて、そして答えを出したんだ。

 このドタバタが終わっても、みんなと帰らず、ずっと俺達といる。家族になって、ここで暮らすと。


 そう決めた1番小さなフルフルは、すぐにお父さんフルフルとお母さんフルフルにその話しをした。

 もちろんお父さんんとお母さんはとても心配した。だかどこれまでの俺達のことを考えて、そして自分の子供の意志を尊重して。1番小さなフルフルのしたいようにさせることにしたらしい。


 その事をお父さんお母さんフルフルはフルーに伝えて、人と話すことができるフルーが、代わりに俺達に伝えてくれたんだ。


 それを聞いた俺もモフモフ達も大興奮だった。だけどそれに待ったをかけたのは父さんと母さんで。

 もう1度しっかりと、その意志を確認したかったらしい。モコモコの時もモコモコがしっかり納得しているか確認していたからな。


 ちょこちょこ、ペタペタ、俺の前に歩いてきた1番小さいフルフル。そうしてくぅくぅと何かを話し出し。すぐにフルーが通訳してくれた。


『ずっとお友達、ずっと家族。僕、みんなと一緒。いつまでも一緒』


 そう言ったらしい1番小さいフルフル。その後はしっかりと俺を見てきて、うんうん頷いてきた。俺もしっかりと頷く。そんな様子を見て、父さんも母さんも納得してくれ、俺達は家族になる事が決まったんだ。


 心配そうに見ていたフルフル達が一斉に鳴き、盛り上がった。そして1番小さなフルフルのお父さんとお母さんが、俺の方へ来て何回も頭を下げてきて。

 大丈夫。モコモコ達と同じ、俺達はもう家族だ。絶対に離れたりなんてしないし、家族を蔑ろになんかしない。


 俺が、今度は両親達に強く頷けば、納得してくれたようで、2匹は少しホッとした顔をしていた。


 それにさ、別に1番小さいフルフルが、両親の所へ帰りたい時は帰れば良いじゃないか。父さんか母さんに連れて行ってもらえば良いよ。それで里帰りをして、リフレッシュして帰ってきてくれれば良いんだから。


 こうして家族になった1番小さいフルフル。そんなフルフルとモコモコ達、そして俺が、今までで1番高く跳ねた時だった。一瞬フルーとカータレットさんの表情が、厳しくなったような気がして。でも次に見たときには。いつも通りの2人に。


 その後何回か遊ばせてもらって、今日の遊びは終了。フルーにお礼を言い、俺の部屋に戻ると、リズと交代でフルーとカータレットさんが出て行った。


『動き出したな』


『ええ、そのようで』

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