第39話 海の調査と避難(シェリアーナ視点)
『みんな気をつけて。何かあったらすぐに連絡を』
皆に支持を出し、それぞれが各場所へと移動を始める。私とセシル、アイリーンも、自分達が調べる場所へと移動し始めたわ。海の中でも動きやすい格好に着替えて。
私達は別に魚の姿へ変身しなくても、海の中で行動することができるわ。もちろんそれはちゃんと呼吸ができるからよ。でも人の姿よりも魚の方がスピードが出るから、遠くへ移動する時は、魚の姿で移動するの。
そして移動が終われば、結界を張り空間を作って、その中で着替えをする。もちろん外から見られないようにするけどね。それと見張りに必ず3人は魚の姿で待っていてもらうわ。
着替えは、特別な物を持ってきているの。海の中でも問題なく動けて、しかも邪魔にならないように、シンプルな物をね。きちんとした洋服だけれど、普段の洋服とはまるっきり違うのよ。特別な素材で作られているわ。
その洋服に着替えて武器を持ち、外で見張りをしている人と交代して。全員の準備が整えば、後は作業に移る。それがいつもの流れね。
今回は緊急ということで、私がリーダーとなって、私の部下と、志願者の数人について来てもらっているわ。全員で50人。本当は少ないくらいだけど、でも街を、国を守らないといけないから、そこまで連れては来れなかった。
それにきっと他の街でも、今回の事に気づいているでしょうから、そちらとの調査を合わせれば、かなり調査はできるはずよ。それときっと、私達が戻る頃には、ブレンデン様様から何かしら知らせが届くはず。後はそれに従って行動すれば。
『それにしても、突然だったわね。通り抜けていったわよね』
『ビックリしたわよ。ジョーイも気づくくらいだもの。グレンヴィルは大丈夫だった?』
『あの子は、2日目の爆発の時なんて、自分のモコモコ2匹と一緒に、3人でお腹を出して寝ていたわ』
『え? 何それ、見てみたいのだけど』
『今度遊びに来た時、お昼寝の時間なら見られるかもしれないわよ』
『それにしてもあれで起きないなんて。人だから気づかなかったのかしら。それともやっぱり赤ん坊だからかしらね。そういえば隣の家の赤ちゃんも騒がなかったみたいだし。流石に赤ちゃんはね』
『どうかしらね。人の子だから、その辺はまだ分かっていないと考えた方があっているかも。これから色々教えていくけれど。海の住むのだから、海の危険は色々と教えないと』
『でも先ずはこの異変よね』
今回私達が調べる場所は、ある子達が住んでいる場所で。その子達の状況を見て、避難した方が良さそうなら、私達と一緒に来てもらうつもりでいるわ。
『魚達が避難を始めているわね。魔獣達も。他の移動が遅い子達を連れながら避難してくれているわ。本当に助かるわね』
『ええ、そうよね。私達は残りの避難が難しい子達の避難をさせれば良いのだから』
海の中に住んでいる生き物はどれだけいることか。でも避難する時はなるべく遠くへ逃げれば良いから、こういう時優しい魔獣や魚達が、移動がしにくい子達を連れて避難してくれるの。本当に助かっているわ。
でも中には、やっぱり逃げるのがどうしても、という子達も。だから私達は異変を調査しながら、そういう子達の避難をさせるのよ。
『それにしてもあの気配。やっぱりアレかしら』
『多分そうだと思うけど。でもね、シェリアーナ』
『ええ、少し気配が違ったわ。……アレの可能性がとても高い』
『私達がアレの気配を間違うはずはないのだけれど』
『アトウットは何て?』
『おそらくそうだろうと。ただやっぱり、変異種の可能性があるそうよ。私達が生まれる前に、1度同じような気配を感じたことがあって。その気配を感じて少しして、別の国にアレの中途半端な変異種が現れて、かなりの被害が出たって』
『アトウットが言うなら、かなり可能性は高いわね』
『ええ。だからその時は私達の所からも応援が。それで何とかなったみたいなのだけれど』
私達が生まれるずっと前、アトウットがまだかなり若い頃、今回と同じようなことがあって。もしそれがまた起ころうとしていたら、きっと大変な事に。国に被害が出たら。国に被害が出るのも大変だけれど、私達の街に被害が出て、もし水が入って来てしまったら。
息吹のパルは十分に用意してあるけれど、それでもグレンヴィルにはとても危険だわ。早く調査を終わらせて、みんなの避難も終わらせて、グレンヴィルのことを考えないと。グレンヴィルが怖がっていないのが救いだわ
色々話しをしているうちに、私達は目的の場所へ着いたわ。私達は他へ行った仲間が持ってくる情報を集めて、それについてまとめる必要がある。だから集合場所へ早く戻らないといけないから、調査するのは1箇所だけ。ここを調べ終えたらすぐに戻らないと。
『みんな出て来てちょうだい』
私が声を掛ければ岩場の陰から、50匹程のフルフルが出てきた。この子達を見たらきっとグレンヴィルは、とっても喜ぶでしょうね。
『みんな怪我はない? これから私達の国まで避難しようと思うのだけど、着いて来てくれるかしら。何が起きているのか、まだ分からなくて、ここは危険かもしれないの』
『くぅ?』
『くうぅ』
『くうう!!』
みんなが私達の方へ歩いて来てくれたわ。良かったこれで避難ができる。私はすぐに空間魔法を使って空間を作り、その中へみんなに入ってもらったわ。
『ここは何も変化はないようね。あの気配以外は』
『そうね。少し向こうまで見て来たけれど、問題はないわ』
『セシル、アーリーン、戻りましょう。他も戻ってくるかもしれなわ』
結局私達の所では、アレの気配を感じただけで、他にも問題は見つけられず。そのまま集合場所へ戻る事になったわ。
*********
お読みいただきありがとうございます。
次回、夕方17時、夜20時に更新します。
よろしくお願いがいします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます