俺はVRMMOでもう一度剣を掴む!

パクリ田盗作

初期エリア編

第1話 九角武丸、幼馴染みからVRMMOに誘われる

「武丸ちゃん朝だよ、起きて」

「んあ?」


 耳元で俺を起こす女性の声と体を揺らす振動で目が覚める。


「おはよ、武丸ちゃん。朝ごはん出来てるよ」

「ふあ~………おはよう、ラウラ」


 目を開けると窓から差し込む光に照らされて、ビターチョコレートの褐色肌に金髪の欧州系ハーフの少女が俺に笑顔を向ける。

 彼女の名前は毒島ラウラ、隣に住む女の子でで幼稚園から高校までずっと一緒の幼馴染みだ。


「はい、着替え。手伝うね」

「おう、悪いな」


 幼馴染みのラウラは当たり前のように洋服タンスから俺の着替えを取り出して、俺の着替えを手伝う。


「つっ!?」

「あっ、ごめん!」


 ラウラが俺の着替えを手伝ってくれてる最中右腕に激痛が走り、声を漏らして苦悶の表情を浮かべてしまう。

 ラウラは驚いたように俺から離れて申し訳無さそうな、怯えたような顔で俺の右腕を摩る。


「ごめんなさい………私のせいで………」

「気にするなって言ってるだろ」

「だって、私のせいで武丸ちゃんの腕、もう二度と動かなくなって………」

「それはお前のせいじゃない、俺が未熟だったからだ」


 ラウラは泣きそうな声で何度も謝罪してくる。

 俺はまだ自由に動かせる左腕でラウラの頭を撫でて慰める。


(本当に俺は馬鹿だったな)


 右肩の傷痕を見ながら俺は悔恨の念にかられる。

 中学の頃、ラウラは社長を勤める父親の企業が担当した土地開発事業に反対していた地元の過激勢力に誘拐されそうになった。

 たまたま誘拐現場を目撃した俺は、自分の祖父から剣術を習っており、慢心感から大人に頼らず自分でラウラを助けようとした。

 そして未熟だった俺は愚かにも誘拐犯の反撃を受けて右肩をナイフで刺され、運悪く腕を動かすのに必要な神経や腱をやられて動かなくなった。


 全部俺の慢心と未熟さが招いた自業自得だ。ラウラが気にする必要はないと何度も言っているが解って貰えない。


 昔から俺にべったり気味だったが、その事件以来ラウラは更に俺に付きっきりであれこれと世話を焼いたり介護をしてくれる。

 ただ、時折後遺症なのか右腕に激痛が走る時があり、今回のように運悪くラウラに目撃されると今回のように泣いて何度も謝ってくる。


「あー………ラウラ、下も着替えるから一旦でていって貰えないか?」

「何で? お互い裸見せあったじゃん、今さらだよ」


 何とかラウラを泣き止ませて着替えの手伝いをして貰い、上半身は着替え終わる。

 流石にズボンやパンツは自分でやりたいし、お互い年頃なので部屋から退室を促すが、ラウラは恥ずかしがる様子もなく、キョトンとした表情でそんなことを言ってくる。


「それは幼稚園時代に一緒に風呂に入ってた話で、それも小学校に上がる前にはやめただろ!」

「じゃあ、言い方変えるね。将来私をお嫁さんにしてくれる約束したでしょ? 夫婦になるんだからセーフ」

「結婚前だからアウトだよ! それにその約束も幼稚園の頃だろがっ!」


 ラウラはそんなことを言いながら、俺のズボンを脱がそうとし、俺は自由に動く左腕で必死に抵抗して、ラウラを部屋の外に追い出すことに成功する。


「そうだったね~、俺がお前と結婚したら名字変わるから、結婚しろっていって約束したんだったね」

「それはお前が自分の名字が嫌だっていうからだろ」


 部屋の扉越しに会話しながらズボンを履き替える。

 ラウラの母親は外国人のモデルで、ハーフの外見と毒島と言う名字から幼稚園時代苛めを受けていた。


 それをみかねた俺が介入して苛めをやめさせ、自分の名字が嫌いだと泣くラウラを慰めるために、俺はあやふやな知識を動員して俺の名字にしてやると結婚を申し出た。


 ラウラは未だにそれを本気で受け取り、親同士付き合いもあり、誘拐未遂事件もあって双方の親も俺とラウラを許嫁扱いしている。


「さっさと朝飯食って学校行くぞ」

「はーい。あ、今日の朝食は私も手伝ったからね」


 着替え終わって部屋からでると、俺はラウラを連れてリビングダイニングへ向かう。


「じいちゃんおはよう」

「総師範、おはようございます」


 俺とラウラがリビングダイニングに到着すると、テーブルの上座に白髪のオールバックの偉丈夫な老人こと、俺のじいちゃんが新聞を読んでいた。


「ん、おはよう」


 俺とラウラが挨拶すると、じいちゃんは新聞を折り畳んで返事をする。

 じいちゃんの名前は九角鉄斎。九角流兵法術と言う戦国時代から受け継がれる古流武術の総師範をやっている。

 怪我する前は俺とラウラもじいちゃんから九角流兵法術を指導して貰っていた。


「武丸、ラウラちゃんおはよう。ほら席について」


 じいちゃんに挨拶していると、キッチンから着物の上から割烹着をきた中年女性がお鍋を持ってやってくる。


「あ、お義母様手伝います」

「いつもありがとね」


 ラウラは俺の母親である九角巴から味噌汁が入った鍋を受けとると、お椀によそおい配膳していく。


「おはようございます。お義父さん、巴、武丸。それからいつも悪いね、ラウラさん」

「いえいえ、将来必要なことですから」


 最後にリビングにやってきたのは小太り体型の中年男性で、俺の父親である九角隆。

 ラウラから味噌汁を貰うとお礼をいい席に座る。


「いただきます」

「頂きます」


 じいちゃんが箸を持って声をかけると、家族全員で復唱して食事に箸をつける。


「そうだ、武丸ちゃん。VRMMOに興味ない?」

「VRMMO? いきなりそんな話してどうした?」


 食事中、ラウラが声をかけてくる。

 ゲームはクラスメイトと話を合わせる程度しかだプレイしたことのない俺にそんな話を持ちかけてくるラウラに思わず首を傾げる。


「えっとね、お父さんの会社で新型のフルダイブVR機器が開発されて、よかったらモニターになってくれないかって聞いてこいって言われてね」

「別に俺じゃなくても、有名ストリーマーとか芸能人に声かければよくないか?」


 ラウラは自分の父親の会社が開発した新型機のモニタリングにと声をかけてくるが、あまりゲームをしたことがない俺よりももっと相応しい相手がいると思い口にする。


「新型VR機器はね、身体障害者でも仮想現実では五体満足に体を動かせるの。その………」

「腕のことは別に気にしてないって言ってるだろ?」


 ラウラは俺の動かない右腕をチラチラ見ながらゴニョゴニョと歯切れの悪い言い方をする。


「武丸、そう言ってやるな。向こうからのせっかくの厚意だし、モニターとして受けてやりなさい」

「そうそう、最近はVRMMOとか凄い流行ってるらしいじゃないか。遊んでみないか?」

「毒島さんとこもせっかく枠用意したんだから受けなさいよ」


 無言で話を聞いていたじいちゃんがラウラの援護に入ると、親父とお袋もラウラの味方をする。


「いや、別にやらないとは言ってねえし」

「なら決定じゃな。ラウラ、お前んとこの親御さんには話を受け入れたと伝えておけ」

「はい、総師範!」

「VR機器なら空いてる部屋に置けばいいな、母さん」

「そうね、設置や初期設定も向こうがやってくれるみたいですし」


(こりゃラウラのやつ、事前に根回ししてたな)


 四面楚歌と言う言葉が似合いそうなほど俺の家族はラウラの味方をする。

 話の流れ的に根回ししていたなとラウラを見つめると、テヘペロと言う感じで舌を出して微笑むラウラ。


「で、なんてゲームをやればいいんだ?」

「特に拘りがないなら私がやってるエターナルクエストオンラインはどう? よくある剣と魔法のファンタジー物のVRMMOで、武丸ちゃんが好きそうな和風のサムライっぽい国もあるよ」

「ならその国から始めるよ」


 あまりゲームをしたことがない俺はラウラにお勧めを聞くと、ラウラは自分がプレイしているゲームを勧めてくる。

 じいちゃんの影響で時代劇好きな俺の琴線に触れるようなワードを述べられると俄然興味が湧く。


「じゃあ、私も新しくキャラ作って一緒に遊ぶね!」

「ん? お前もうキャラ持ってるんじゃ?」

「あるけど、私は武丸ちゃんと一緒に遊びたいの! 駄目?」

「いや、駄目ではないが………」

「じゃあ、決定だね! 学校終わったら初期設定しようね!」


 ラウラも新規キャラクターを作成して一緒に遊ぶと言ってきて、俺は思わず聞き返すと、ラウラは潤んだ目で俺を見上げて見つめてくる。


 ラウラのその仕草に弱い俺は押しきられるようにゲームを始めることを承諾した。




 






 





 

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