木道探偵物語 第一章「痛くない自殺の方法」

@komame-kurata

プロローグ

 長く続いた夏も終わり、ようやく少しは涼しくなってきた、そんなある日のことだった。


 「たのもー! 誰かいないのー?」


 僕の平和な日常は、バカでかいノックの音によって儚くも崩れ去った。


 「麻雪まゆきちゃん、わかったから」


 僕は呆れつつゆっくりとドアを開ける。そこに立っていたのは、セーラー服姿の少女(といっても、もう21歳だが)だった。僕のいとこ、麻雪だ。


 「あら、桜太郎兄さん。しょうがないわ、本当はちいちゃんに頼みたかったんだけど、兄さんを見込んでお願いしましょ」


 「何のこと~? 何かあったの~?」


 僕の問いかけに麻雪は表情を変える。どうやら質問の答えはイエスのようだ。


 「そうよ! 大変なのよ! ちょっと来て!」


 そう言うと麻雪は突然走り出す。僕もあわてて後に続く。


 一体、彼女の身に何が起こっているというのだろう。


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