ビスケットへの執着
理科室に待機している中に、6・7人のお年寄りのグループがいる。
そのうちの1人が大きな声で、「マイナンバーカードは持ってきたか」と騒ぎ出す。マイナンバーカードさえ持っていれば、死んだ時に身元が確認しやすい。だから、マイナンバーカードだけは持ってきた方がいい! 俺は死ぬ準備は出来ていると、理解の出来ない力説を始める。
皆が不安な中で、さらに不安を煽る行動。そして、年寄りグループの1人が泣き出してしまうが、それでも誰も止める者はいない。明らかな暴走行為だと思う。
しかし、皆余裕があるわけじゃない。無駄だと思えることに力を使う必要はなく無視している。この部屋には、赤ちゃん連れの家族が2組いる。
そんなお年寄りグループは、ビスケット支給の連絡で静かになった。
■人数の分のビスケットは十分に確保されている
■各部屋に配りにくるので、部屋で待っていて欲しい
内容は2点だけだが、不慣れなこともあり言葉を思い出しながらの辿々しい説明に、お年寄りグループからの突っ込みが入る。「本当に人数分あるの?」・「誰が持ってくるの?」等々。
死を覚悟しているはずだが、それ以上にビスケットに異様な執着を見た。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます