しりとり

海村 凧

しりとり

「なあ涼太。しりとりしようや。」


同じクラスの高梨がそんなことを言ってくる。


「やだよ。ガキじゃあるまいし。」


「仕方ねーなー。じゃあ何したい?」


彼は人の話を聞かない。


「いや、話聞いてた?」


「確かしりとり以外の遊びを…」


「俺そんなこと言ってねーぞ。」


諦めてくれと思いながらそう返す。が、分からなかったのかまだこんなことを言ってくる。


「そんなこと言わずにさぁー。」


「遊ぶ気分じゃないんだよ、今は。」


「はぁぁー?遊びたくないと思ってる人間なんかいるか。」


鬱陶しいな…


「かんけーねーだろ。他人は他人だ。」


話を打ち切ろうとしたとき、教室に先生が入ってきた。


「よーし、授業始めるぞー。号令ー。」


今日の日直の号令がかかる。


「きりーつ」


授業が始まったのでこれ以上絡まれることもないだろう。


だが、なおも高梨は話しかけてくる。この期に及んでまだ遊ぶ気なのか。


「だったら授業終わったあとどっか行こうや。もう6時限目だし、カラオケにでも行こうぜ。」


「絶対嫌だ。お前めっちゃ音痴だし、時々替歌混ぜてくるからな。行かんぞ。」


「そこが楽しいんだ。」


「多分楽しくないやつの方が多いんじゃないか?それは。」


反論しようと高梨が口を開きかけると、


「高梨ー。お前ちゃんと話聞いてたか?真面目に授業受けろ。」


ざまあ見やがれ。


「はい。すいません。」


殊勝に頭を下げる高梨。


あっこいつ…。


「よっしゃ!俺の勝ちー!」


勝利の雄叫びが静まり返った教室に響いた。

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しりとり 海村 凧 @toos

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