後悔後に立たず

@kogataka

第1話 出会いと結婚

もう我慢できない。

喧嘩の度にこの感情が湧き上がる。

どこの夫婦も同じだよ。ってよく聞くが。

本当にそうなのか?

一人の人間にこんなに嫌悪感を抱いたことはない。


A型の私は、B型とは合わない。

いや、B型人全員と合わないわけではない。正確に言えば、今までこの人と合わないなと感じた人は、全てB型だった。

こんなことを言うと、血液型で人を判断するなと言う人が必ずいる。しかし、私の人生の中で、この人とは無理だと本気で思ったのは3人いる。3人ともB型である。4種類の人間がいるのに、こんなに偏るものだろうか?誰が何と言おうと、血液型に何かしらの傾向があるのは間違いないと私は思っている。


しかし、その3人のうちの1人が妻だった。

結婚前から前兆はあった。しかし、両親が周りよりも年寄りだった私は、早く子供が欲しいと言う欲求があった。

何故、結婚したら変わるだろう、と淡い期待を持つのだろうか?今ならはっきり言える。結婚して性格がよくなるわけがない。むしろ、嫌悪感は日に日に募るばかりだ。


大学生の時に、彼女は3歳上の23歳。当時の彼氏から略奪した形になった。その彼氏は28歳。こんな20歳の学生が社会人から彼女を略奪する。そんなありきたりな恋愛小説はどれだけあるだろう。ただ、20歳の若造はそれで有頂天になってしまったのか。その後の苦労をまだその時に知る由もない。


時々、おかしい事が要求される。誕生日は高級なレストランじゃないのか?夜景を見ながら都市高をドライブしないのか?何故一人暮らしじゃないのか?


家が裕福ではない私は、実家から通える田舎の大学に通っていた。バイト代で携帯電話と自分の小遣いを確保。何なら教科書代も自分で支払う事もあった。

高級レストランなどこんな田舎にあるわけもない。都市高や高級レストランがある都心に行くことなど、年に数回で、そもそも車で行くわけもなく、電車に長時間乗って行く程度。車は親のをほぼ独占して使っていたが、ただの軽自動車で、都市高をドライブするような車ではない。あ、そういえば、大学に車で通っていたが、ガソリン代も全て自分のバイト代だった。と言っても実は、パチスロで稼いでいた当時は、それでもどうにかなった。だからと言って、余裕があるわけではない。


年上と付き合ってきたからなのか、ちょくちょく比較される。

記念日はもっと良いものを食べていた。

たまにスポーツカーでドライブしていた。

彼は一人暮らしだったから、自由に泊まれた。


恋愛小説に登場する女性像からは想像もつかない。あんなにハッピーエンドの物語達も、実は後日談はこんなものなのだろうか。それとも私の彼女が特殊なのか。


何故こんな女性をわざわざ略奪したのか?自分でも分からない。恋愛ってそういうものですよね。恋は盲目とはよく言ったものだ。


とにかく、私達は喧嘩が絶えない。でも何故か仲直りする。それの繰り返し。体の相性がいいのか?そういえば、エッチすら元カレと比較された事もあったな。今考えても、人として何かが欠落してるとしか思えない言動が多数あった。


それでも、別れる寸前のところでまた戻る。これを繰り返しながら、ようやく私が社会人になり、23歳で結婚。


25歳の時に待望の赤ちゃんが生まれた。私と妻のいいとこ取りをしたような可愛い男の子。子供の頃に弟が欲しかった私は、絶対に男の子が欲しいと思っていた。こんなに嬉しいことはなかった。

その後2歳差で更に男の子が生まれた。この頃が幸せの絶頂期だったかもしれない。

2人の男の子は、龍之介と宗次郎と名付けた。2人は可愛くて仕方がない。初めてのハイハイ。初めて歩いたこと。初めての言葉。全て鮮明に覚えている。とにかく子供達は可愛かった。


しかし、それでも喧嘩は絶えない。もちろん自分にも問題はあったのだろう。確かにキレやすい性格ではある。だから、出来るだけ冷静に話し合うように努めた。それでも、話し合いにならない。とんでもない言葉が妻から発せられる。呆れてものも言えない。妻は、自分が資産のない家に嫁いだのだから、あなたが我慢するのは当然だ。とまで言ったこともある。


もはや、話し合いをするだけ無駄である。極力妻とは話さない。何か決める時も、妻には相談しない。自分で勝手に決めて事後報告。何か文句を言ってきても無視する。妻がどう思おうと関係ない。


人の顔色を伺う事を辞めたらこんなにも楽なのか。開き直ってしまえばこんなに楽なことはない。

しかし、妻との距離は離れるばかり。喧嘩して仲直りを繰り返す方がまだ良かったのかもしれない。

喧嘩するほど仲がいいという言葉にはあまり共感出来ないが、会話すらしない関係はそれ以下である。




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