040.水を求めて水竜王
今アルトたちは20階層のボス部屋の前にいる。
えっ、一気に階層を飛ばしすぎじゃないかって? そんなこと言われても見栄えがしないんだもの。しょうがない。
一応言っておくと11階層から20階層では通常の魔物としてBランクの魔物が出てきた。それをアルトは冥左剣シャドウリーパーにアビスファイアを付与して狩る。シャドウリーパーの攻撃で魔力を回復して再度魔法を付与する。永久機関の完成だ。
魔物は大量に出てきて鬱陶しいという意味では大変だったけど、Bランクでは多勢でも手も足も出ない。アルトたちの相手には荷が勝ち過ぎているようだった。
15階層のボスはAランクの竜種の魔物シルフィードウィンドドラゴン。そのドラゴンも特に際立った活躍はなく、ホーリーサンクチュアリと魔法の二重詠唱のコンボで一発で沈んでいった。ちょっとだけかわいそうに思ったのは内緒だ。
そういえばノーアはシャドウリーパーを見ても何も言い出す様子はなかった。冥属性の武器であることは薄々気がついているみたいだけどなぜか放置している感じだ。なぜ放置しているのかは分からない。
そして今、二人は巨大な水辺の中央を位置取る巨大なドラゴンを見ながら……他のことを相談していた。
「水がもうないです」
「ん。倒して水を飲む」<わかってるよ。ドラゴンを倒して湖の水を飲もう>
「あれが海水だったらどうしましょう?」
『あれが海水だったら〈天授〉でなんとかしよう』
『うん。それしかないです』
『それを考えるにしてもまずはあいつをどうにかしなくちゃね』
『はい。セイさん。〈天眼〉をお願いします』
『わかった!』
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種族:ネプトリオンドラゴン
水竜の王であるドラゴン型の魔物。Sランク。周囲の水を自在に操り水の渦巻きを発生させ水流を制御し、高圧の水の物量で攻撃する。主に水中での行動を好むが、魔力を操作して空中でも水の中で泳いでいるかのように飛翔することができる。空気中では水分を集めて圧縮し周囲に濃霧や豪雨を引き起こす。口からは水を高圧縮した高速のブレスを吐き出す。弱点は雷属性。
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早速アルトとウィンドウを共有する。
哀れだった5階層のボス、
『ネプトリオンドラゴン。Sランク。弱点は雷属性だね』
『ですね!』
「ノーアさん。ネプトリオンドラゴンというSランクの魔物です。弱点は雷属性みたいです」
「りょ。〈付与〉と聖域」<了解。ホーリースパークの〈付与〉とホーリーサンクチュアリの準備をお願い>
「わかりました!〈
アルトは自身の双剣とノーアの剣にホーリースパークを付与する。ちなみに聖魔法と冥左剣の相性はあまり良くないけどホーリースパークを付与したのは、
二人が
即時詠唱でホーリーバリアを生成して水上に足場を作りながらアルトたちが
ノーアが雷光を纏った剣をブレスに向かって斬りつけた! しかし、ブレスの威力は強力でノーアは弾き飛ばされてしまう。運よく足場の上に着地したがそこへ
「ホーリーサンクチュアリ!」
アルトの魔法が完成した。聖域に囲まれた
「ホーリースパーク!」
アルトが即座に次の魔法、白い雷撃を
そこにノーアが剣を振り払う。ホーリーサンクチュアリの効果で早くなったその剣先が
「倒しました!」
「ん。水?」<うん。水は?>
魔石の回収よりも早くノーアが水の心配をし始める。あ、水を舐めて顔をすくめた。
「ダメ。海水」<ダメだった。海水だった>
「残念です。でもまずは魔石を拾わないとですね」
アルトが水の中を潜って魔石とドロップアイテムを回収しにいく。が、すぐにアルトは慌てた様子で戻ってきた。
『セイさん!』
『どうしたの?』
『これ、〈天眼〉で確認してください!』
手に持っていたのは透明なガラス瓶だった。ドロップアイテムだけを持ってきたみたい。波紋や龍の刻印が彫り込まれ、蓋には透明な水晶が付けられている。
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名称:水竜王の聖水
ネプトリオンドラゴンからドロップする不思議な力を持つ水。飲用可。飲んだ者の潜在能力を強化することがある。また、回復魔法の毒や呪いを打ち消す効果を増幅する。
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飲み水が手に入りました。
『飲めるね』
『やっぱりそうなんですね!』
「ノーアさん。飲み水がドロップしました!」
「ま!?」<本当!?>
「本当です!」
〈水竜王の聖水〉なんだけど、まあ飲み水と言っても問題ないか。でもこれ一本じゃ、本当の意味で焼石に水じゃないかな?
「周回する!」<ボス周回しよう!>
うん? ボス周回って何?
◇◇◇
アルトたちは
ボス周回というのはその名の通りボスを周回することのようだ。(説明になってない)
ちゃんと説明すると魔石を拾わない状態でボス部屋の入り口に戻ることでボスが復活するらしい。ちなみに通常だとボスは1時間くらいで復活するようで、復活するまではボス部屋に入れない仕組みみたいだ。
二人はもう何十回目になるかわからない
ボスは魔石があるところで復活するのでホーリーサンクチュアリを事前に発動しておく。弱体化した状態でホーリースパークを打ち込む。電撃で動きが止まっている間に付与をした剣で首を刈り取る。その間なんと1分弱。
魔力の消費が半端じゃないのでアルトが冥左剣で雑魚狩りをして魔力を回収する時間もあるけどそれを差し引いてもここ1時間くらいで30体は討伐してるんじゃないかな?
ちなみに、
これってもしかして
そして、今二人の前には2体の
しかしそこは聖域で弱体化された2体だ。アルトのホーリースパーク二重詠唱で同時にスタンされ、アルトとノーアが電光の剣で切断した。本当にSランク? っていうくらいあっさりだ。まあ、雷が弱点だからこそだと思うけどね。
偽物のときも思ったけどこの言葉を送ろう。
どんまい。水竜王さん。
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