016.異変の報告
前書き
短いので2話投稿
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討伐した十体以降、フォレストリザードの襲撃はなかった。これは予想通りだ。やっぱり前回も追加の魔物の襲撃はなかったってことだ。
しかしそれに伴い〈アークライト〉の動きが何もなかったことがちょっと気になる。流石になんかしらのアクションはあると思ってたんだけど? やっぱりただのわたしの邪推だったのだろうか?
今、アルト達は倒したフォレストリザード達の素材を回収している。前回も思ったけど倒されると消えてドロップだけを残す不思議設定ではないんだね、とちょっと思ったことは内緒だ。
そしてその回収の間にわたしは〈天命ポイントの更新〉について考察していた。
まず考えたのは〈天命〉の残機の回復。だけどこれは違うと推測した。なぜなら、
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技能:
副技:天啓
天眼
天授
天与
??
天声ポイント:12pt
天命 ★★☆
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〈天の声〉のステータスの〈天命〉の星マークがアルトが一回死んだ時のままだったからだ。
この星マークが〈天命〉の残機を示しているというのも推測にすぎないがそれでも確度は高いと思う。
そうするとこれは一体なんなのか。
思うに、アルトが死に戻る地点が更新されたんじゃないだろうか? つまり、さっきまではわたしが転生?した昨日時点にアルトが蘇るように設定されていたけど、今はアルトがわたしを信頼すると言った後に蘇る、ということなんじゃないかな? 完全に推測だけど。
なんかセーブデータを保存をしているようでゲームをさせられている錯覚に陥る。だけどこれはアルトの命がかかってるんだよね。このシステムを考えたケイは本当に悪趣味だと思う。
あと、これは話がずれるけど天声ポイントが1から12ptに増えていた。
思ったより増加ptが高い。これはフォレストリザードのポイントが高かったのか、それとも〈天命ポイントの更新〉が関わっているのかはちょっとわからない。これからも検証を続ける必要があるね。
あ、フォレストリザードの解体が終わったようだ。
◇◇◇
ところ変わって冒険者ギルド。
そこではアリアと受付嬢の壮絶な言い争い、いや、アリアによる一方的な舌戦が繰り広げられていた。受付嬢が青ざめてかわいそうなことになっている。
「こちらがフォレストリザードの魔石十個です。昨日アルトが言いましたよね? フォレストリザードが複数いるかもしれないと。それを意に返さなかった結果がこれです。どう落とし前つけてくれるのかしら?」
「申し訳ございません。魔石と魔物素材には色をつけて──」
「そういう話ではないのだけれど?」
「すまないがここからはわたしが聞こう」
アリアの話を遮ったのは、優雅な中にも厳かな雰囲気を漂わせている中年の男性だった。顔には深いしわが刻まれ、その風貌からはどことなく精悍さが漂っており、数々の冒険者たちを束ねてきた技量を物語るような風格が感じられる。
誰だこいつ?
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名前:ヴァルモンド
種族:人族
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〈天眼〉さん。あなたには聞いていない。でも、情報を絞って表示したのは優秀です。
「ギルドマスター。職員はきちんと躾けておきなさいよ」
「分かっている。適切に指導すると約束しよう」
「指導、ね。まあいいわ」
「では、ここではなんだ。別室で話を聞こうじゃないか」
「分かったわ。他の三人も一緒でいいわよね」
「もちろんだ」
ヴァルモンドさんはギルドマスターらしい。
ギルドマスターは補佐役らしき人を引き連れ2階にある会議室らしき部屋に案内し、奥の席に腰掛ける。
〈アークライト〉のメンバーが腰掛けたのを見届けた後、口を開いた。
「さあ、話を聞こうじゃないか」
「ええ。グローブの森でフォレストリザードの群れに遭遇したわ──」
アリアはグローブの森であった出来事、そして、これは推測だと付け足した上で他にも魔物がいる可能性も否定できないことを報告した。
ギルドマスターは鋭い眼光で話に耳を傾けている。
「魔石はさっき提出したわ」
「ふむ。理解した。しかしそうとなると調査が必要か」
「でしょうね」
「もしかすると〈魔物排出型のダンジョン〉が発生している可能性もある。おい。至急でグローブの森の異変調査依頼を出せ。Dランクで隠密行動が得意なやつに指名依頼だ。それとヴァーディアンから高ランク冒険者を招集する準備をしておけ」
「かしこまりました!」
補佐役らしき人は勢いよく返事をすると扉から飛び出していった。
「報告ご苦労だった。報酬と素材の買い取りには色をつけよう」
「そうしてもらわないと困るわね」
「それと、悪いが君たちにはこちらから依頼を出すことになるだろう。明後日くらいにでもギルドに顔を出してくれ」
「分かったわ」
「それではわたしはこれで失礼する」
「ええ。わたしたちもこれで失礼するわ」
アルトたちは会議室を後にした。
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