恋愛シュミレーションゲームが好きなだけなのに、異世界転移したら悪役令嬢に恋愛マスターと思われてしまった

みちゅき

第一章

第1話 まさか乙女ゲームに転移したのか!?

 


 俺の名前は、草下翡翠(くさかひすい)。


 ゲームをこよなく愛する、普通の高校1年生だ。


 ジャンルは何でもやるけど、最近ハマっているのは恋愛シュミレーションゲームってやつだ。


 主人公になりきって、恋愛イベントをこなしたり、プレゼントを渡したり会話したりする事で、攻略対象キャラの好感度を上げて、告白に成功すればクリアのゲーム。


 俺は男なので、基本男主人公で始めるギャルゲーの方が好きなんだけど、最近は女主人公でやる乙女ゲームにハマっている。


 本日は、学校も休日なので買ったばかりの乙女ゲームを始めようと思い、ワクワクしながらパッケージを開ける。


 ここで、この乙女ゲームの説明を簡単に始めよう。


 主人公は、16歳の可愛い女の子。ある日両親が亡くなった事により父の経営するお菓子メーカーの会社が倒産寸前に。1億円の借金を抱えた没落貴族の令嬢になってしまった。


 僅かな遺産を貰いながら、幼少期から世話をしてくれていた執事と共に、会社を発展させて没落貴族から脱する事を目指す。


 地道に会社を大きくしていくと、攻略対象の男の子好感度も上がっていき、恋愛イベントを全てこなせば、プロポーズの運びとなり結婚出来る。


 会社の売り上げをコツコツ増やすよりも、金持ち男子を捕まえて結婚する方が、早く没落貴族から抜け出せるという謎システム。


 会社経営というシュミレーション要素が果たして必要なのかは謎だが、借金をすぐに肩代わりしてくれる金持ち男子は、皆性格も良すぎて気持ち悪いのだが、そこはゲームなので多少は目を瞑らないといけない。


 とはいえ、攻略対象が同じ没落貴族になりかけの男の子──結婚して意味あるのだろうか──から、若いやり手の社長、何故か隣国の王子様まで6人のイケメンと出会える。


 だが、主人公が男性キャラとの好感度を高めていくと、頻回に恋路を邪魔する敵キャラがいる。

 それが、悪役令嬢のサラだ。


 この悪役令嬢がなかなか厄介で、気を抜いたらすぐに攻略対象の好感度が下がるイベントを発生させるので、正直、攻略サイトを検索しないと回避出来ない。


 事前に、その情報は収集済みなので攻略サイトを開けたままの携帯を近くに置いて、いざ乙女ゲームを始めようと思う。


 ソフトをゲーム本体に差し込んで、電源を入れた。


 次の瞬間、ゲーム画面が眩しく輝き出し、思わず目を瞑る。


 次に目を開けた時、悪役令嬢サラが俺を覗き込んでいた。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る