笑って!マリア。 〜 ぴゅあそりっど〜

猫野 尻尾

第1話:マーケティングリサーチ。

この物語は今よりけっこう未来の話。

人間の社会に混じってアンドロイドやガイノイドが普通に街中を横行している時代。


その中にセックスに特化したセクサロイドと呼ばれるヒューマノイドがいた。

普通は人間の欲求を満たすために愛玩用に作られて普及した。


この物語に登場するセクサロイドは他のセクサロイドとは少し違っていた。

彼女は以前一般レンタルされていたが、その後新しい研究のためラボに戻された。

そこで研究のためその子にだけ新しい技術が導入され、まったく新しいセクサロイド

として生まれ変わった。


彼女は人間と同じ感情を持ち喜怒哀楽まで持ち合わせていた。


その後、彼女は駅前で半年間のアンドロイドレンタルのマーケティングリサーチ

としてモニター用に回されることになり、この物語の長尾って男子と巡り合う

ことになる。


僕は「長尾 修平ながお しゅうへい」23才・・・いちおう社会人。


某広告会社に勤務してて、毎日パソコンの前でデザインを担当している。


僕は社会人になってから、彼女がいない日々を悶々と送っていた。

だから誰か家のことをしてくれるパートナーが欲しかった。

人間の女性じゃなくてもガイノイドの女の子でもいいからいてくれたらって

思っていた。


その日、いつものように仕事を終えて、もよりの駅まで来た時のことだった。

パンフを抱えた、キザそうなメガネをかけた痩せぎすな中年女性がなにやら

モニター募集のアルバイトの求人をやっていた。


なんとなくだけど興味を惹かれた俺は、立てかけてあった看板に貼られてあった

ポスターの女の子を見て釘付けになった。

その写真の女の子がめちゃ僕のタイプだったからだ。

それは、可愛いメイドの衣装を着たガイノイドの女の子の写真。

最初は人間かと思ったけど、ガイノイドと書いてあった。


人間じゃないとは言え、僕はその子に一目で惹かれた。

で、何を血迷ったのか、魔が差したのか、中年女性の話を聞いてみようと思った。


中年女性の名前は及川 玲子おいかわ れいこさん。

ガイテック・グローバルって企業の広報担当及びこの企画の責任者でも

あるらしい。


モニター募集の内容は、好みのガイノイドを半年間レンタルしてもらって、

その間のデータを収集するって言うものだった。


ガイノイドをレンタルしている間、1週間ごとに体験した率直な感想や

使い心地などのアンケートデータを会社に送ればいいってことだった。

なんでも、カタログの中から好みの子が選べるって話だったけど僕は迷わず

ポスターの子がいいと言った。


レンタルとして提供されるガイノイドたちは実はみんなセクサロイド

なんだそうだ。

そのためのデータ取りだってことらしい・・・なるほど。


「セクサロイド」って言うのは文字通りセックスに特化したガイノイドのこと。

昔はラブドールなんてあったらしいが、いまはセクサロイドに取って代わられてる。

そりゃ、しゃべらない動かないってより、ちゃんと意思表示してくれるほうが

いいに決まってる。


僕はポスターの彼女が俺のマンションに来るってだけでテンションが上がった。


ガイノイドでもいいから彼女が欲しいと思ってた僕は、まさに今回のモニター

募集はベストタイミングだった。


つづく。


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