恋人との甘い時間

 

「ラッ、ラブホ……!?」


「俺はそこまで紳士じゃないさ。ましてや、家に帰るまで、お前を我慢するなんて出来ないタチでね?」


「つ、司…――!?」


 司はそう言って話すと片手でネクタイを外して床に落とした。その言葉に顔が一気に真っ赤になると胸のドキドキが止まらなかった。


「おっ、お前…!? 日本に帰ってくる間、飛行機の中でそんなこと考えていたのか…――!?」


「ああ、俺はいつだって欲望に素直だぜ? 素直な男はお前も好きだろ?」


 司は余裕の表情で俺を見てくると、いきなりベッドに押し倒してきた。そして、堂々と上に覆い被さって来た――。


「ッ……!?」


 俺を押し倒すと黙ってジッと見つめてきた。その瞳で見つめられると再び身体の奥が燃えるように熱くなった。そして、俺も黙って見つめ返した。


「可愛い一希。一日中お前を見みていたいよ……。ファインダーに写るお前は本当に綺麗だ――」


 そう言って司は俺のオデコにキスをしてきた。その言葉に急に照れると慌てて言い返した。


「……そっ、そう言って本当は他の奴にも言ってるんじゃないのか?」


 彼の前で急に子供みたく拗ねた。


「なんだよ一希、ヤキモチか? バカを言え! 俺がそんなことを言うのはお前だけだ!」


 司は真っ直ぐな目でストレートに話してきた。俺はベッドの上で彼の体温を服の上で感じた。強い眼差しでジッと見つめられると、心が吸い込まれていく感じだった。顔が赤くなるとその瞳を反らした。


「本当か? 本当は海外で出張中の間とか、お前の事だから現地にいる若い子にそんなこと言ってたんじゃないのか…――?」


 その事を何気なく尋ねると司は苦笑いしてデコピンしてきた。


「あのなぁ、なんで俺がお前以外の男にイチイチ手を出すんだ? 俺は最初からお前しか見えてない。それくらいわかるだろ?」


 真剣なその言葉に顔中が真っ赤になってしまった。そして、顔を近づけてくると耳元で甘く囁いた。



「愛してるよ一希……」



 そう言って俺のてのひらに自分のてのひらを重ねてきた。彼の手が重なると、体はピクッと反応して熱を帯びたように全身が熱くなった。



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