活動記録8:『転校生』←異性で美形をキボンヌ
あき達と合流。
「おかえり、早かったわね」
「そりゃあな! バケツの水ぶっかけられただけだもんな!」
蜘蛛のねーちゃん、『パン』って名前らしいけど、そのパンさんに「ここ風呂」と何もない場所に案内された。
そしたら、バケツの水をぶっかけられた。
そしたら、綺麗さっぱりになった。
チョコまみれだったワイシャツは、クリーニングに出したかのように真っ白になり、身体はとってもいい匂い。フローラル。
その後、パンさんに案内されて、俺たち四人のクラスがあるという場所へ来た訳だが……
「これ、仮設トイレだよな?」
その連れてこられた場所とやらは、建設工事現場によくある、あの仮設トイレ。
数メートル置きに、壁にトイレットペーパーが付けられている廊下の突き当たり。そこにポツンと、そいつは設置されてある。
「教室みたいよ、ここ。私たちの」
「マ?」
「マ。マジよマジ」
よく見たら確かに、仮設トイレのドアに『1年C組』と書いてある。
パンさんから事前に、俺たち四人のクラスは1年C組と聞いてはいるが……。
「んじゃ、ユウも来たことだし、開けようか!」
「お前ら、わざわざ待っててくれたのか。ありがとう。でも、これは一人ずつ入るもの。というか入れないもの。そうだろう?」
仮設トイレは壁にくっついてない。
つまりこういうデザインの出入り口ってだけで、壁の向こうが教室……という訳はない様子。
それは当然、この中は一人分のスペースしかないはずで……。
「普通ならそうでしょ。でもほら、ね?」
今更そんなこと、フシギに思うまでもない。と、あきは言いたいのだろう。
「じゃあ……」
意を固めて、仮設トイレのドアに触れようと――
ガチャッ
「おはざますでーす!」
するより前に、シェイが開けやがった。俺の覚悟がぁ!!
「おー、やっと来やがったかー。皆首を長くして待ってたんだからはよ入れやァゴラァ!!」
なんかキレられたんですけど。怒鳴られたんですけど。竹刀持ったショタっ子に。野太い声で。
(おいあき、アレなんだと思う?)
小声であきに話しかける。
(私が知るわけないじゃない。……んまぁ、多分、アレがこのクラスの担任なんでしょ)
(どう見ても小学校入学したてのガキンチョじゃねぇか! 声以外!)
ちなみに仮設トイレの中はちゃんと教室だった。それもごく普通の。
この期に及んで何故教室だけ普通なのやら。
シェイに続いて、俺たち三人もそんな普通の教室の中へ。
教室には、ざっと四十人程の多種多様な見た目をした連中が。皆、首を長くして待っていた。
「「「わーお」」」
ホントに、みんな首を長くして待っていた。天井に、頭がくっついてもうてる。すげぇ。あぁ、普通サイズに戻った。
(まるでキリンだね)
(違うわよトオル。あれはきっと有名な妖怪、ろくろ首さんよ)
(いやどっちでもいいわ。何なんだよこのクラスは。教師はショタでクラスメイト共は首伸びコスプレイヤーって。俺馴染める気しないわ)
そしてどういう訳か、窓から見える景色がまるで飛行機に乗った時に見える景色そのものなのだ。
つまりここは雲の上。そして、動いてる。雲だけでなく、景色が。
この教室が動いているのか。はたまた景色そのものが動いているのか。それとも単なる映像なのか。
様々な可能性が浮かんでは消えを繰り返す中、ショタ教師が教卓の上に飛び乗り、乱暴に竹刀を黒板に叩きつけた。
バシーン!! あぁうるせぇ。
「ういー、みんな首が定位置に戻ったなー。この四人が、例の転校生共だー。自己紹介はー、あー……俺が興味ねーからいいやー。んじゃー、テキトーに空いてる席座ってくれー」
こいつろくでもねぇな。
そんな大問題ショタ教師に対してクラスメイト共も、特に文句も言わず。
男子はシェイに、女子はトオルに首ったけ。一部の人(男女問わず)は、あきに興味がある様子。
いや俺には興味無しかい!
素直に空いている席に向かおうとする三名。
俺はあきだけ呼び止めようとした。こういう理不尽な教師には文句を言うタイプであるはずなのに、何もしなかったから。
だが、「ここで面倒事起こしても仕方ないでしょ」と目で訴えられた。へいへいわかりやしたよ。
てなわけで、俺も素直に席へ。おっ、窓際空いてんじゃーん。
「よぉ。よぉよぉよぉ。転校生さん、どうもだぜ。おらぁは『ウィリアム・ウェルダーン』。気軽に『ウィア』って呼んでくれだぜ。分からないことがあったら、これも気軽に聞いてくれだぜ」
黄色が基調の、道化師の服を着た男子生徒に話しかけられた。
やっちまった。隣の席の人、ちゃんとよく確認しないで座ってもうた。まぁ見た目が派手なだけで、悪いヤツではなさそう。
てか顔近くね?
「お、おうサンキュー。じゃあ早速一つ聞きたいんだが。あの教卓に立ってるヤツ、あれマジで俺らの担任なん?」
「もちろんだぜ。あれが1年C組の担任、『香取先生』。通称『カトリセンコー』だぜ」
「あだ名はどうでもいいわな。それよりアレ、どうみても小一よな? ショタよな?」
背丈だけの問題じゃない。顔がもうアレなのだ。可愛いプラス、ちょっとイケメン。
「あぁ、あれはカトリセンコーの『目力』だぜ。なんでも、小学校低学年の女の子と仲良く遊ぶことを強く望んだら、あの姿になったらしいぜ。ちなみに今年で五十二歳だぜ」
「法律まで狂いやがったのかこの世界は。普通、あんな存在は即刻処されるべきなんだが」
物理法則だなんだらはまだいい。だが倫理観がイカれるのはマジ勘弁してほしい。あと『めぢから』ってなんだ。
「おーし席ついたなー。一限の俺の授業だが、今日は抜き打ちで『目力』の測定すっぞー。んじゃおめーら、表出ろー」
各々、「えー!?」だの、「マジかよー」だの、「ダリー」だの不平不満をこぼしながら、外に出た。まさかの窓から。
皆、でけぇ雲の上に乗ってやがる。
それはまぁいい。そんなことより『めぢから』ってなn ――
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キャラクターNo.6
『カトリセンコー』
香取さん。下の名前もあるらしいけど、知らん。子供、特に小学校低学年の女の子が大好きらしくそのために教師になったが、上の懸命な判断により小学校には配属されなかった。ざまぁ! 熱血教師みたいに、ジャージに竹刀とか属性付けちゃってるけど、あんまり職務にはやる気ないダメなやつ。理由はもちろん、相手する生徒が高校生だから。
瞳の色:レッド・ベリル
目力:違法ショタ
自分の姿を、可愛らしい男の子にチェンジ。きったねぇ意志のため、声までは変えられず。
フシギ豆知識その8
今回は作中でちょこちょこ出てくるワード、『目力』について解説するぞ!
『目力』は、まぁざっくり言ってしまえば『超能力』的なやつのこと。
空飛ぶ蛇を生み出したり、手から電気やら炎やらを出したり。あるいは、自分の姿を変化させたり。ユウ達の思う『フシギ』は、大体このせい。
人間だけでなく、ありとあらゆる生命が使用可能で、規模の大小はあるが全く『目力』が使えないものはいない。
解明していることとしては、『当人の持つ、常識・運命・不条理を変えてしまうほどの強い意志』によって発現しているということのみ。
詳しいことは、フシたんを読み続けていれば多分わかる。
ちなみに名前の由来は、能力を発現するときに目が見開いて光るから。まるで宝石のように。
残念ユウ君! 長くなるからこっちで解説させてもらったぜ!
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