第2話 地獄絵図の街街街、平和な日常

 人々は恐怖のどん底にいた。


 異形の魔物が現れて幼い子供を中心に食い殺し始めたからである。


 魔物は龍と人のような外観だがリザードマンにも似た群れをひきつれている。それは建物を壊し、人間たちを追い立て、まるででも行うように子供を庇う父や母、祖父や祖母を殺して子供を捕獲して頭から食らう。まさに地獄絵図である。

 街の領主も冒険者などを集めて魔物の撃退を試みたがことごとく殺されてしまった。

 もはや神様仏様に祈るしかなかった。


 その街だけではない。


 広い範囲の多くの街も同じ惨事に見舞われている。

 何万人もの子供が喰われたがどうしようもなかったのである。

 

****

 「少しに行ってくるわ。」


 ハーリーティ王妃は日課の外食に出かける。専任メイドのアーリーコレットが見送る。

 「行ってらっしゃいませ王妃様、お嬢様方はすやすやと寝ていらっしゃいますのでお任せください。」


 アンとショウコはもうすぐ3ヶ月となる。

 二人は本当に似ていてアーリーコレットも見分けるのに一苦労である。

 ハーリーティ王妃は優しい性格なので間違っても怒られることはないが、他の八大龍王妃であれば双子を見間違えたりしたら即八つ裂きにされるだろう、つくづくハーリーティ王妃のメイドで良かったと胸を撫で下ろすのである。


 しかし顔立ちは見分けがつかないくらいだが二人のスキルは全くの正反対のものである。

 古参の龍聖女の見立てによると姉は攻撃力の高い破壊神のスキルがあり、妹には癒し与える慈母神のスキルがあるだろうとのこと。

 は人々から富を奪い病を蔓延させて健康を奪い、は人々に富を与えて病気を治すというまるで正反対のスキル持ちである。

 この定められた数奇な運命が二人を翻弄することになるのだがそれはまた後日の話で。


 とにかく二人は母親譲りの頑健さ、健康そのものでよく飲み、よく動き、すくすくと成長していった。


 ****

 基本食いしん坊のハーリーティ王妃は街で外食を楽しんでいた。

 本当はもう少し食べたかったけどお乳が張って痛くなってきたので少し早めに外食を切り上げて街を出た。


 「おかえりなさいませハーリーティ王妃さま、外食は楽しまれましたか?」


 「ええ、お腹いっぱい食べたわ、美味しかった〜。今日は少し遠くの街で外食してきたのよ。」


 「それはようございました。お嬢様方がお待ちですよ。」

 入浴して身体の汚れを落とす。

 ハーリーティ王妃は八人の龍王妃の中ではバストは大きなほうではないが、この時期はお乳が張って超巨乳となっている。

 娘たちが待っているのでガウン一枚で子供部屋に向かった。


 ハーリーティの姿を見つけた双子の天使のような姉妹は両手両足を伸ばして歓喜の表情を見せる。

 たちまち慈母の表情に戻ったハーリーティはガウンを脱ぎ捨て二人を両手に抱く。


 二人は仲良く左右の乳首に吸い付きちゅうちゃうと音を立てながら一生懸命乳を吸う。

 全く平和な日常だった。

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