アイドルV配信者をフったらヤンデレ化して、とんでもない事になった

烏目 ヒツキ

配信もいろいろ

どうして

 オレは配信を趣味とする高校一年生だ。

 配信をすれば、広告が流れて、収益が入る。

 つまり、お金がもらえるという事だ。


 甘い誘惑に負けて、動画サイトで配信をしたはいいが、鳴かず飛ばず。

 でも、十数人程度のリスナーがいてくれて、オレは配信というものを趣味として楽しむ道を選んだ。


 そして、まさか自分の人生で、こんな目に遭うとは思わなかった。


『男の声入ると荒れるよ?』


 ぴらっ、と千切ったメモを指で挟み、肩口に見せてくる女。


「~~~~~~っ!」


 こんな忠告をされて、声なんて出せるはずがなかった。

 オレの場合、マスク姿なので、ほとんど素顔で配信している。

 ネットが荒れたら、絶対にヤバいことになる。


 メモ用紙を下げると、女は画面を向いて配信を続ける。

 家の前のブロック塀に寄りかかり、女はニコニコと笑った。


「んー。今は歌えな~い。ふははは」


 ウェーブの掛かったセミロングの髪。

 体つきは細くて、スレンダー。

 夏の夜道で、シャツとスカートのラフな恰好で奴は笑っていた。


「んねー。もうちょいで、コンサートあるじゃん。喉の調子ヤバいのよねぇ。あー、……セーブしなきゃ」


 配信をやっていれば、アイドルでなくても喉は枯れる。

 ずっと喋ってるからだ。


 オレがどうして、この女がアイドルと気づいたか。


 スマホの画面に映った容姿だ。

 画面には、アニメキャラのようなイラストが映っており、これが配信者の動きに合わせて、細かく動いてくれる。


 そして、画面に映ったキャラクターに見覚えがあった。


 玄道くろみちカナデ。

 大手のバーチャルアイドル事務所に所属している、超人気のアイドルだった。

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