題名「見えない竹林をつかまえるはなし」

中村翔

第1話

私「この奥にいるはず・・・千年竜の巫女。」


私は今千年に一度の千年竜の巫女の現れるという祠の奥に立ち寄っていたのだ


私「♪ーーー♫↑↑↑♪↓↓↓」


ここは中東にあると言われている祠。千年竜は見たものの精神に反作用を引き起こし、どんな病も克服させてくれる。そんな”都市伝説”のようなものではあった


私「いやしかし、本当に祠があるなんて・・・」


私でも辿り着くのは困難を極めていた、一見誰かが嫌がらせで置いてると思わせるそんな場所にあった


私「千年竜って遊戯王でも出てきたような?とりあえず中に入ろうかな…?」


中は真っ暗!


中を進むにはまず松明を用意しなければならない


そんな時にもまあ安心!


私「オイルライターの油を布にしみこませて・・・木の太い棒に巻き付けて、残った油で火をつける。」


ぼっ!


瞬く間に火が布を燃え移り松明へと変えていった。


私「おぉぉーーー」


思わず感嘆の句が漏れ出るほどに鮮やかなオレンジ色。普通であれば 化学薬品であるライターオイルで火をつけたので”青い炎”がつくはずだったのだけれど・・・?


私「ではさっそく・・・」


祠の奥に向かって松明を向ける


松明で照らされた祠に入っていく


じゃりじゃり・・・


奥の方に行くにつれ、何かの音が大きくなっていく


じゃりじゃり!!


私「・・・?これって男の子?」


祭壇の奥に祭られるように寝かされる少年


きっと宗教上において重要な意味があるのだろう


私「周りの文字を解読してみよう・・・。時・・・場・・・目覚・・・秋・・・?」


この組み合わせで意味のある文章だとすれば?


私「”時”が来ればこの”場”所で”目覚”める。それが秋・・・?」


単純に考えればそういう意味になるだろう


「うーーーーん・・・?」


私「えっ・・・?」


てっきり、死体だと思っていた男の子が動いていた


「わたしは・・・うーん?」


私「つまりこの子は生贄でこの場所に安置されていたわけではなく、この子自体が秋・・・?」


秋「お姉さんはだれ?まぶしい・・・。」


秋と定義された少年がなぜか一人称が私で?ん?私?


私「千年竜の生贄ではなく、秋という男の・・・?」


私は彼の股間をつかんだ


秋「きゃっ・・・なにするんですかぁ・・・!?」


私「女の子だと・・・!?」


そういえばいけにえに選ばれる子供に選ばれるには条件がいくつかあったな


その中の一つが女の子であること?だったっけか・・・。


私「生贄である身は清くなければならない・・・か。」


秋は腕をさすりながらこう聞き返してきた


秋「ここはどこですかぁ??」


語尾があざといというか・・・。


私「ここは千年竜を祭った祠だよ?」


秋「千年?」


『千年竜は千年とは関係がない』


せんぱいの言葉が思い出される


私「千年竜とは日本で言うお盆にあたる日に祭られた祠の奥で子供を産むと言われる、伝説上の生き物っていってた。」


秋「聞いたことないよぉ??」


くっ!いちいちあざとい!


私「秋ちゃん?まずそのうっとおしい喋り方やめようか?」


威圧しながら近づきながら言い寄った


私「いい?その喋り方はうっとおしいの!わかるかな?」


秋「えっ??何か不都合でも??」


普通に喋れることを確認して続けていった


私「ここから出るんだけど、あんたはどうするの?」


秋「わたしは・・・うーん?どうするべきなんだろう?」


やっと、うっとおしい喋り方が止まった


私「まあ、ここにいてもいいけど光源は私だからここにいたら真っ暗になるけどどうする?」


秋「そ、そんな殺生な・・・。」


私「いい?この世の中はね?持ってる人が偉いのよ。」


秋がどうすれば?というような顔をしているが気にしない


かまわず松明を持って出口へとむかう


出口、つまり入り口から反対の方にある別の入り口


秋「わわっ・・・まって、私も行く・・・!」


しゃん!


鈴の音が鳴ったかと思うと光が差し込んだ


竹林。


外へ出て目に入ったのは竹の林


しゃん!


よくみると上の方に鈴がつけられているようだった


私「鈴?たしか意味は結界?」


古来より鈴で囲った場所は結界が張られることが多かったという


秋「はぁ・・・はぁ・・・おねえさん・・・一歩がでかい・・・はぁ・・・(この巨女)」


私「なに?」


きょどっているところを見るに何か聞かれたらまずいことでも呟いたんだろう


私「秋がなに言おうと特に気にしないけど、今度言ったらグーだからね。」


びくっとなり手を頭の後ろに持っていき『ははは...』といったような感じでこちらに合わせてきた


祠を出たら竹林。これは厄介だ


祠の奥に行けたということはそのさらに奥には村があるということ


私「ただ、方向がね。」


竹林では太陽の位置がわからないことが多いつまり方位磁石に頼れということではあるのだけれど・・・


方位磁石をとりだしてみる


方位磁石「ぐるーーーーーーーぐるーーぐるぐるーーーー」


地下に水脈が流れることの多い竹林では方位磁石は役に立たない


秋「雪・・・降ってますね。」


私「あっ、ちょっとまって」


私は秋にヘルメット、軍手、レインコート、長靴をはかせた


秋「ん・・・?なんかこの完全防具は意味があるんですか?」


私は軽く天を仰いだ


私「この赤い雪にふれたらね・・・※ぬんだよ」


秋「えっ?聞こえませんでした。なんて?」


私は次の瞬間十数歩分移動した


私「何やってんの?早く来なさい」


秋「・・・???」


混乱にも似た感情に酔っていると


私「ここかな?」


次の瞬間隣へと移動していた


秋「あの」


私「なに?」


「私さんの本名って?」


がざざざざーーーー


周りの景色がノイズ交じりの光景へと変化する


秋「なに???」


私「どうかした?」


私は秋にやさしく語り掛ける


私「?」


秋「いっいえ、ナンデモナイデス・・・。」


そうこうしてるうちにもう夜だ


私「やっぱり・・・この近くには村があるんだ。暗号のように目印が置いてある」


秋 (なんかこれみたことあるなぁ・・・)


私「なにか?もしかしてこれ解る?」


石に右矢印、葉っぱが1枚と棒切れが二本


秋「普通に考えて・・・」


秋(はっ!もしかして試されてる?)


秋「右に行けば?」


本当は真っ直ぐが正しい


私「右?石に彫ってあるからね・・・。」


右へと歩いていく


私「・・・?・・・!!きゃあああああああ!!」


私はトラップに引っ掛かり竹やりに落ちて串刺しになった


THE・E・N・D・


私「それでさ。この暗号の意味わかった?ん?おーーーい?」


秋「へあ!?な、なにが??」


私「だから、この暗号だよ」


さっきの暗号が目の前に広がっている


秋「葉っぱが1枚棒切れが二本つまり棒の方向には罠があり、葉っぱの方向へが正解っぽい」


私「つまり、まっすぐ?」


秋「そうかな」


まっすぐ行くと村にたどり着いた


ただ”だれもいない”


私「すみませんが、今晩泊めていただけませんか?」


私ちゃんが虚空へと向かって話しかけている


私「あ、ありがとうございます!」


虚空に了承を得るとこちらへと向かって行っていた


私「泊めてもらえるって。一人ですか?っていわれちゃった。えへへ。」


「一人で山越えできて偉いねって。」


ひとりで何でもできるねって。


・・・ひとりで?


次の瞬間ノイズが走った


秋「・・・!?」


気付くと村の中心で寝ていた


「そうか、私ちゃんの名前は『秋』つまり、”わたし”ってこと」


竜が村人を全員残らず食べてしまった


残されたのは竜の巫女である僕だけ


白骨の死体が住まう村でただ出ることもかなわず佇んでいるだけの僕


そう、後ろを向いたら・・・END

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

題名「見えない竹林をつかまえるはなし」 中村翔 @nakamurashou

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ