君は天使を信じるかい?

立花万葉

第1話

1.プロローグ

俺は子供の頃じいちゃん子だった。

いつもじいちゃんはいろんな話をしてくれた。じいちゃんが子供の頃の話やメンコやコマの遊び方などいっぱい面白い話や昔の遊びを教えてくれた。

その中でも妖怪や狐や狸、ムジナが人を化かす話を聞くのが大好きだった。

聞く度に夜、トイレに付いてきてもらうハメになるのだが、怖いけどワクワクドキドキして何度も何度も話をして欲しいとせがんだ。その都度じいちゃんは笑いながら

「純は本当にこの話が好きだなぁ。また夜にトイレに行けなくなってもじいちゃんは付いて行ってやらんぞ。」

と意地悪を言ってもいつも話してくれ、ちゃんとトイレにも付いて来てくれたもんだ。そんなじいちゃんの口癖は「昔は妖怪やムジナなんかと人は上手に共存してたのに、今じゃ人間はそれを忘れて人間様が一番だと思っちょる…」だった。

その頃の俺にはその言葉の意味が分かるはずもなく、ただ遠くを見つめ淋しそうな顔をしてるじいちゃんの横顔が印象に残った。

そんなに大好きだったじいちゃんも俺が中1の時に病気で死んでしまった。

それなのにその頃の俺は友達と遊んだり、部活に夢中でじいちゃんとあまり話す事も無くなっていて子供の頃にあれだけせがんで聞かせてもらった妖怪やムジナの話も段々忘れていった。

そして大学生になった今では、妖怪やムジナの話など頭の片隅にも無くむしろ幽霊の存在さえ信じなくなっていた。

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