第4話 再びの異世界

 考えが甘かった。転移先に惑星を選択したところで、そこが人の住める星になるとは限らない。次の異世界はガス惑星だった。その次は灼熱、その次は極寒。いわゆるハビタブルゾーンの地球型惑星に限定するには更にポイントが必要になった。今度の異世界は地面も大気もある。重力や酸素濃度も地球に近い。


 しかし、それでもなお肉体保護スキルが発動している。なぜだ?地球のそれとは異なるものの、むしろ異世界らしい植物の葉は風に揺れている。他に動くものはなく攻撃は受けている様子はない。

 スキルの発動場所を調べてみると体内だった。どうやら微生物だかウイルスだかに攻撃されているようだ。地球人の体にそんな免疫はないのでスキルがなければ耐えられないだろう。まあ、この程度であれば常時発動していても問題はない。転移先を限定するよりは安いものだ。


 転移先の選択にかなりのポイントを使ってしまったため、チートスキルやアイテムは少なくなったが、それでも十分だ。空間飛翔スキルで周囲を散策してみよう。美少女が族に襲われているところを助けてフラグを立てるとしよう。


 この惑星を一周したが美少女どころか人類の痕跡一つ見つからなかった。生物感知スキルを最大出力で発動しても、見つかったのは植物のほかは微生物や虫だけだ。さすがに人間を創り出すスキルは持っていない。生前は人付き合いが良い方ではなかったが、それでも唯一人の孤独には耐えられない。強敵と戦うために用意したスキルを使い、自らの命を絶った。

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