第2話 初めての異世界
見渡す限りの星空が広がっていた。「夜か?」そう声を漏らしたが、その音は聞こえない。状況を確認しようと、あたりを見渡しても星空しかなかった。地面すらないのだ。そこでやっと自分が宇宙空間に居るのだと理解した。肉体保護スキルで辛うじて意識を保てているが、大気すらない状況では長くは持ちそうにない。万全を期したつもりだったが、宇宙は想定外だ。
異世界転移するはずが、こんな何もない空間に飛ばされるとは思ってもみなかった。神的な存在が間違えたのだろうか。何故こんなところに居るのかを考えていても仕方ない、今考えることはどうすればいいのかだ。
空間飛翔スキルで移動できるが、時速数百キロは宇宙では遅すぎた。これでは近くの小惑星に近づくのがやっとだ。それでも、悪あがきと分かっていても希望を捨てられず小惑星に向かって飛んでいた。すると小惑星の軌道が変わり、こちらに向かってきた。もしや宇宙船か?それなら助かるかもしれない。肉体保護スキルもギリギリ持ちそうだ。助かった。そう思ったのも束の間、希望は絶望に変わった。あれは小惑星でも宇宙船でもない。宇宙生物だ。小惑星規模の巨大生物の捕食に耐えられるはずもなく、二度目の人生は終わりを迎えた。
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