ムーンナイトキャット。 〜クローンの嘆き〜
猫野 尻尾
第1話:果無 永遠(はてなし とわ)ムーンナイト。
第31回電撃大賞 電撃小説大賞 応募作品です。
遺伝子操作やクローン技術に代表される「バイオテクノロジー」の研究が
進んだ今より未来の話。
俺の名前は「
年齢は30歳、郊外のマンションに某大学の研究所に通っている弟と、そして
俺の彼女と三人で暮らしている。
弟の名前は「
そして彼女の名前は「
彼女とはとある事件がらみで知り合った。
刑事って職業柄、身寄りもなく天涯孤独な彼女の面倒を見ているうちに愛が
芽生えた。
そこから付き合うようになって現在も恋人関係にある。
そして俺の彼女、
当然、最初俺は何も知らなかったわけで刑事の俺と一緒にいる以上はいずれ
分かることだからと彼女は自分のことを俺に話した。
彼女はミュートと呼ばれる特殊能力の保持者でいわゆる一般的に超能力者と
呼ばれる人で、
ではない運動能力に特化していた。
これはどうやら突然変異・・・先天性のもの持って生まれたセンスだった。
永遠には昼間の顔と夜の顔がふたつある。
昼間は某商社に勤める普通のOL。
そして夜の顔はシーフ「泥棒」・・・クライアントの指示で重要データを
盗んだり会社が極秘にしてる案件を盗んだり・・・時にはハッカーもする。
それが「ムーンナイト」と名乗る永遠の夜の仕事。
で、そんな悪い女の行動を俺は見て見ぬふりをしている。
刑事なのに・・・。
たしかに永遠は犯罪者だが、汚いことを裏でやってるブラッック企業への
いわば嫌がらせのようなもの・・・それは必要悪。
だから俺は見て見ぬ振りをしている。
だけど、そんな俺にも夜の顔がある。
同じくクライアントの指示で、情報をもとに麻薬現場に赴き薬と金を奪って
回収してくる・・・それが俺の仕事。
だから仕事はお互い違うがやってることは闇の仕事、公にはできないんだ。
はじめて永遠に会った時は、彼女はまだ大学生だった。
その頃、彼女は不倫をしていて、なんでも相手の男の奥さんがパニックを
起こして不倫旦那を出刃で刺したらしい。
俺は管轄外だったから直接は彼女と関わることはなかったんだが、
担当の婦警から一時的でいいからと言うので彼女の保護を頼まれた。
ヒマしてた俺は彼女のガードをふたつ返事で引き受けた。
でまあ昼間はいいが夜は警察の留置所ってわけにはいかないから俺の
マンションへ永遠を連れて帰った。
「刑事さんすいません、お世話になります」
「気なんか使わなくていいから・・・ほとぼりが冷めるまでいていいからね」
「ごめんなさい」
「これに懲りてさ、不倫なんかやめな?ロクなもんじゃねえ」
「君くらいのビジュアルなら、なにもおやじとなんか不倫したくったって
若い男に声かけりゃ、彼氏なんかすぐできるだろ?」
「おやじは喜んだだろうけどな・・・まあ本妻に刺されたのは気の毒だけどよう
自業自得だな」
「多少の悪さはしかたねえけどさ、人を傷つけたり恨みをかうようなことは
やらねえほうがいいな」
永遠は、すまなそうに俺の顔を上目遣いに見た。
話を聞くと、彼女は施設で育ち家族もなく天涯孤独。
街で知り合った怪しげな男から闇の仕事を頼まれたことから、今の夜の仕事を
する羽目になったんだそうだ。
まあ、危ないよな・・・若い女が・・・下手すると普通の生活には戻れなく
なるかもしれないのに・・・。
俺が永遠を保護したことで、永遠は俺のマンションにいることが心地よかった
のか、ずっとここにいたいって言い出した。
俺も特に悪い気もしなかったし、なにより弟が永遠を姉のように慕った。
永遠が来たおかげで、俺のマンションは明るくなったのは事実。
で結局、大人の男と女・・・自然と惹かれあって行くわけで、永遠は
全面的に俺に心を許し俺の彼女に・・・恋人になった。
それに永遠は俺のタイプだったし、人は性格うんぬんっていうが、やっぱり
最初はビジュアルだろう、そこから好きになって行くもんだ。
性格なんてあとから付随して来るもんだろ?
でもそんな俺の彼女・・・
永遠は我々警察の中でも闇の世界でも泥棒「ムーンナイト」としての
名前が轟いていた。
永遠はこれ見よがしに仕事のあと猫のイラストにムーンナイトの
文字が書かれた名刺を現場に残したからだった。
そして永遠が好んで飲むカクテルの名前も「ムーンナイト・キャット」
つづく。
※実際にはグッドナイト・キャットなんてカクテルはありません。
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