第18話 小学生の朝

 

 目覚まし時計の音で目が覚める。


 小学校へと通うようになってから半年が過ぎ、十一月の初旬。


 段々と肌寒くなり、暖かい布団が恋しい。


「ふんっ!」


 忌々しい目覚まし時計を止めるため、掛け声とともに、布団の抱擁から抜け出す。気合いを入れないと何時までも囚われてしまうからな。


 時刻は六時前。


 今日も早速、日課をこなそう。


 寝間着兼、運動着のジャージのままで俺は家を飛び出した。


 準備運動をしながら歩いて一、二分。


「おはよー」


 目的地で準備運動をしていたのはテニス仲間の美月ちゃん。テニス仲間であり、早朝のジョギング仲間でもある。


 彼女は俺が毎日、走っていると知ると翌日から混ざるようになった。サボれない理由になるし、暇つぶしの雑談も出来るしで歓迎し、一緒に走ることになった。


 それにしても根性のある子だ。少なくとも前世の俺はこんな面倒なことは続けることが出来ない。強くならなければ死ぬ制約が有るからこそ、ようやく習慣化出来たのだ。


「えへへっ、それでねぇ、裕子ちゃんがねっ――」

「へえ、良かったね」

「うん!」


 俺のなんてことない相槌を相手にも、楽しそうに話す美月ちゃん。正直、会話は得意じゃないので彼女から話してくれるのは凄く助かる。


 そんなこんなで予定のコースを走り終わり時刻は六時半。各々の家へ戻った。


 家に入ると朝食のいい匂いが漂ってくる。

 空っぽのお腹が催促するように音を立てた。


「いただきまーす!」


 毎日朝食を用意してくれる母には頭が上がらない。

 出勤前の父親も朝食を共にした後、時間もあまりないのでササッと身支度を整える。


 七時、登校の時間だ。

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