異能解放学園の覇者

浮世ばなれ

第1話 異能解放(セレスティアル)

-超能力-超常現象-日本神話-

 世間ではそう言い換えられて、我々の生活に入り乱っている。

 しかし、それは単なるバラエティの妄言ではなかった。それらは一つの言葉として本来は言い表すとことができた。

 異能。

 その力は実在した-


 空は雲一つない晴れ間が続き、太陽が街を明るく照らす。

『−まもなく、2番線に電車が到着します』

 駅のホームからアナウンスが聞こえてくる。

 人を乗せた機械の固まりは、目の前で一人でに扉を開き、俺は少し窮屈な車内に乗り込む。

「ヨォ桜木!」

 椅子に座っているやつが声をかけてきた。

 このジーパンに半袖という奇妙なファッションをしているのが、山羽あつし。俺の中学の友達で、一つ前の駅から乗ってきてここで落ち合う約束をしていた。

 俺は山羽の隣に腰を下ろす。

 肌寒い季節がようやくすぎ、俺は来週から公立の高校に通うことになっていた。今は中学を卒業して春休み期間でどこにでも自由に行ける。だから、俺たちは、ここら少し先にある都会に映画でも見に行こうと決めたのだ。

「お前、学校で見るよりもおしゃれだな」

「センスだよ、センス。お前も妙な高校生となれば、余計それが大事になってくる。山羽のその格好はもう通用しないかもな。特にそのシャツ。ガラもはだけてるぜ」

 言われた山羽は自分のシャツを引っ張って見やる。

「なんだよ、俺だってそりゃ欲しい服ぐらいあるさ」

 そう言ってスマホを取り出してポチポチと何かを検索し始める。だが、どうやら山羽がスマホを買ったのがここ最近らしく、あまり使い方に慣れていないのか、文字を打つのが遅い。急に退屈になった俺は、スマホを取り出して、内カメラを使って今日のファッションチェックする。

 事前にネットで購入しておいた上下セットの服装に、それに似合うスニーカー。うん、今日の俺もイケてるな。

 そうこうしている内に、俺たちが目標としている駅に電車がついた。ここからは乗り換えだ。

「行くぞ、山羽」

「お、おう」

 山羽は慌てたように、両手を電車の椅子についてから、立ち上がった。


 すぐ目の前の駅の改札を出る。ここから乗り換えの駅まで10分ほど歩いたら着くだろう。

「だぁーしまっった!」

 改札を出たところで後ろから山羽の焦った声が聞こえた。

「なんだ?」

「スマホ、忘れて来てしまったよ。 あの電車の椅子んところだ」

 落ち込む山羽。

 俺は扉が閉まり、出発する電車を見る。

 各停か。

 いけるな。

「山羽、今日の昼メシおごりな」

「ん?」

「取り返し行ってやるよ」

 そう言いながら、俺はわずかに屈伸。

 強く踏み出した。


 俺はついさっきまで乗っていた電車に向かって走る。電車は幸い、トップスピードに乗るまでに時間がかかる。

 この程度なら、俺が本気で走ればすぐに追いつける。

 踏切の横を風のように駆け抜ける。それを踏切待ちしていたおばあちゃんが、びっくりして、俺の方に顔を向ける。だが、俺のスピードについてこれず、顔を向けた瞬間には反対側の方向に向かっていた。

 俺の身体能力は常人離れしていた。昔からそうだ。

 車内からもはるかに電車をしのぐスピードで走っている少年に何人かが気づいては驚きの声をあげている。

 その中には、白い制服をきた、肩より上で切った紫色の髪色を女子高生から、車掌さんまで、みんなが俺に気づいては目を丸くしていた。

 だが、今は注目されるより、山羽のスマホを取る方が大切だ。

 次の駅の改札が見える。

 スピードを緩めて振り返ると、かなり後方に電車が見える。

 間に合った。

 俺は足を緩めて適当に切符を買って改札を通る。


 そのタイミングで電車がきた。俺たちが乗っていたのは1両目で分かりやすい。扉が開くと、確かにそこには山羽が忘れたスマホが無造作においてある。

「たっく…世話かけやがって」

 俺そう呟いて、手を伸ばし、おいてあるスマホを掴んだ。


 その瞬間。

異能解放セレスティアル

 誰かが言った。


 ドゴオオオオオオオオオオオオオオオン!


 視界は真っ白。

 耳がキーンと鳴る。

 何が起きたかも分からない。

 ただ、全身に衝撃波をくらい、気づいたら俺の身体は宙を舞って自由落下で落ちていく。

「グッ…痛って……!」

 地面に投げ出された。

 無理やり身体を起こす。

 ここは駅のホームの向かいにある。ついさっきまで走って来た道路だ。

「やっと捕まえたでドスな〜この女ァ。一般人に紛れ込んだからって逃げられると思ったドスかぁ?」

 爆発で粉々になった電車と駅のホームから黒い服装をした二人の男が出て来た。今喋っているのは太っているほうだ。

「おい、目的は女のクリスタルだ」

 細いほうが太っているほうに注意する。太っているほうは、気絶した白い制服でここらでは珍しい、紫色の髪色の女子高生を背負っている。

「おや、あの少年。なんだかこっち見てるドスよ〜」

「…チッ仕留め損なったか」


 なんだこいつら…。

 この状況、尋常じゃない。

 駅が丸ごと消し飛んでるぞ。

 平然と女子高生を担いでなに喋ってんだ。

 

 俺が無事な理由。

 俺は特別な身体能力を持っているからだ。

 普通の人間ならひとたまりもないほどの威力。


「あばよ、ガキ。今度はもっと威力を上げる」

 細いほうの黒服の男はそう言って片手を俺の方に向ける。そこから何か黒い球のようなものが出て来た。

 なっ…速い!

 避けるよりも先に、黒い球は俺の側で爆発した。

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