いつもと同じ

はる

タロット

「立花」

 横峯が俺を呼んだ。

「何? 横峯」

「立花はさ、自分をタロットに例えるなら何だと思う?」

「う〜ん……自分じゃ分かんねぇ」

「そうだなぁ、僕は『愚者』だと思うな」

「ふふ、そう?」

「無垢なところがかな」

「横峯は……魔術師かな」

「はは、そうかも」

「高槻は?」

「高槻は……女帝かな」

「落ち着いてるところがそうかもね」

「香宮は?」

「香宮は女教皇」

「ふふ」

「成瀬は世界かな」

「分かる、博学なところがね、理想的かも。及川は……太陽かな」

「明るいところがね」

「なぁに、私が太陽って? そりゃそうでしょ〜」

 と言いながら、放課後の教室に及川が入ってきた。後ろに成瀬もいる。

「そう。タロットの話な」

「へぇ、タロット詳しいの?」

「俺は大アルカナくらいなら分かる」

 そう横峯が笑いながら言った。

「俺は姉が占い師だから」

 そう俺が言うと、「へぇ!」と及川が驚いた声を上げた。

「お姉さん占い師なの」

「外国周って修行したりしてる」

「わぁ楽しそう〜」

 及川がきゃっきゃと声を上げた。

「最近帰ってきたんだよ」

「私、占ってほしいな」

「話しとくわ」

「わぁ嬉しい、ありがとう!」

「やっぱり太陽だな」

 そう横峯が俺に笑いかけた。

「そうだな」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る