浮気女の末路について
……
確かに俺とあいつは付き合ってたよ。子供の事からの腐れ縁ってやつでな。
――その辺の話を、詳しく聞きたい?
正直あまり思い出したくないんだがな。
何でって?あんたに関係あるのか?
はあ……いや、そりゃ……わかるだろ。
浮気してやがったんだよあいつ。
ちょっと調べたら、怪しい話がわんさか出るわ出るわ。
で、ちょいと突いてみたら案の定って奴だよ。
あんた、あいつが居たサークルの先輩だったっけか。
行儀が悪いのは勘弁してくれよ。
不愉快な話題を出されて気が立ってるんだ。
後輩が音信不通になったから探偵ごっこ、って……よっぽど暇なんだな。
もう一月ぐらい連絡がとれない……へえ。
俺としちゃ、今更あの女の事なんて――あっ。
ええと……………………ああ、まあ、ちょうど暇だったしな。
話すだけ話してやるよ。
と言っても、話すような事なんてそう多くはないんだがね。
昔からの腐れ縁だった、って言ったろう?
確かに何かと一緒に居る事も多かったが、俺もあいつも、お世辞ににもお行儀のいい
昔流行ってたゲームの……なんだったかな、とにかくそういうので、皆でバカ騒ぎして夢中なってたくらいしか記憶に残ってないな。
……史奈も混じって、よく一緒にやってたっけな。
暫く会ってないが……
ちょっと懐かしくなっちまった。
――と、話が逸れたか。
まあ……少なくとも、中学に入るくらいまでは代わり映えのない感じだったよ。
花より団子、って奴か。
え、じゃあ中学からは何か変わったのかって?
思春期だからかね。だんだん体が出来上がってくる
当時は自分でも認めたくはなかったんだが、気が付いたら視線であいつを追っかけるようになってて……
その癖、向こうの方は、変わらない距離感のまま詰めて来るもんだからさ。
気が付いたら好きになってた……いや、好きだって気づいたって言ったらいいのかな。
……で、まあいろいろと小っ恥ずかしい経緯を経て、丁度高校に上がるころに、こっちから告白することになった訳だ。
受けてくれた時は……まあ、恥ずかしくなるくらい舞い上がったもんだよ。
最後は大学に上がった後の事だが――これはもう、最初に言った通りだ。
なんだかんだでガキの頃から一緒に居た奴だったしさ、俺なりに大事にしてたつもりだったんだがね。
――今となっちゃ、黒歴史もいいとこだが。
笑っちまうよな。笑えるよな?
おい……何、目逸らしてるんだ?
笑えよ、なあ。
……いや、まわりくどいのは、もういいか。
急に静かになったな。
これからあんたが知りたい事を、教えてやろうってのに。
ああ、いいよ。別に。
カスの上っ面の謝罪のフリとかうざったいだけだし……もう全部終わった事だからな。
で、本題……
なあ――あんた、ナローマンって知ってるか?
ああ、いいから黙って聞いとけよ。多分もうすぐだから。
ほら、例のバレンタインから現れたっていう、あの宇宙人だよ。
いや冗談じゃねえって。
テレビとか新聞とかじゃ、いない物みたいに扱われてるけどな、SNSとか、アングラ系のネットニュースとかだと凄いぞ。
毎日の様に浮気やらなにやらをやらかした馬鹿が、文字通り血祭にあげられてる動画やら何やらが上がってくるんだ。
……ん、あんた、そう言うの見ない方?
何にしてもご愁傷様ってやつだね。
つまり何が言いたいかって言うとだな。
史奈の奴――
その、ナローマンに。
だから嘘じゃねえよ。丁度一月前くらいに……あいつに浮気の件で問い詰めた時に、いきなり、ぱっとあれが湧いて出て来てな。
必殺技っていうか……ええと、「ナローマンクラッシュサンダー」だっけ?
ばちばちー、って雷みたいなのが光ったと思ったら、次の瞬間には消し炭になってたよ。
一応警察にも届けたんだが……世間的には行方不明って事になってたのか、あいつ。
……ふざけてるのかって?
さあねえ。俺としちゃあんたにだけは言われたくねえよって感じだが。
まあ、そろそろ嫌でもわかると思うぜ。
いや……念のために言っておくとな。
別に俺が呼び出したとかそう言うのじゃないからな。
気が付いたらもう居たっていうか、ええと……
だから何もったいぶってるんだ、って?
ああ、うん。
もういいや、めんどくさい。
少し前くらいからな、居るんだよ。
あんたの後ろにも。
何だ、ええと、その……ナローマンが。
「……え、は?」
『打ち潰せ――ナローマンスレッジハンマー!』
―――どぐしゃぁっ!
……………………
………………
…………
……
◇
――自由恋愛は、この
この島国を含めた
あの誠実な青年も、何というか、いろいろと投げやりな態度であったが――どうか絶望に吞まれないで欲しいと、ナローマンは切に願った。
本日のノルマは、後十件。
さあ――未来を掴め、ナローマン。
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